生活費や自動車ローン・住宅ローンの支払い、子供の教育資金など、人生では様々な場面で支出を伴うため、気づいた時には定年後のための貯金ができていない人もいます。
「年金があるから大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、年金だけでは定年後の生活費が不足します。
では、生活費を補うためにはどうすればいいのでしょうか?
そこで今回は、定年後の貯金を少しでも増やすための方法を4つご紹介します。
退職金や年金に頼ってはいけない
「定年後の生活費に困らないために年金を掛けている」「貯金していない場合でも退職金があるから大丈夫」と思っている人も多いのではないでしょうか?
確かに、年金を掛けていれば定年後に年金を受け取れるほか、退職時に退職金を受け取って定年後の生活費を補うことは可能です。
しかし、だからと言って貯金がなくてもいいというわけではありません。
その理由は、以下の2つです。
- 企業によっては退職金がでない
- 年金制度そのものが破綻する可能性がある
それぞれの理由について見ていきましょう。
企業によっては退職金がでない
「企業に勤めていれば必ず退職金が支給される」と思っている人も多いかもしれませんが、厚生労働省が行った調査では、約4分の1の企業は退職金制度がないという結果になっています。
退職金制度そのものは労働基準法上の義務ではなく、会社が独自に設置しているものです。
そのため、規模の小さな企業では退職金制度を設けることで業績に与える影響を考慮して、退職金制度を設けていない場合があります。
また、退職金制度を就業規則に一度盛り込むと、業績が悪化したなどの理由で退職金の額を減らしたいとなっても、労働者に不利な変更は簡単にできなくなります。
それだけではなく、いくら退職金制度を設けていても、企業が倒産すると退職金を得ることは現実的に不可能です。
そのため、退職金を最初からあるものと頼るのではなく、なくても問題ないようにしっかり貯金しておくことが重要と言えるでしょう。
年金制度そのものが破綻する可能性がある
昔は現在よりも年金の額が多かったため、「定年後は年金で悠々自適に暮らせる」ケースがありました。
しかし、現在の年金の支給額は年々減少しています。
年金の保険料は、自分たちが将来年金として受け取るために納めているのではありません。年金制度は自転車操業になっていて、現役世代が高齢世代の年金受給を支えているという構造になっています。
そのため、今まで高齢者の数より子供の数が多かったため、年金の受給を行うための資金がある程度貯まっていました。
ただ、少子高齢化が進んだ現在では、今まで貯めていた分の年金を切り崩しながら支給しています。
また、少子高齢化が進行することを想定して、貯まっていた年金の運用を行うことで不足を補おうとしています。
支給される年金の減額などを理由に保険金を納めない若者も増えており、財源が尽きてしまうと年金制度が破綻する可能性があるので、貯金しておく方が良いと言えるでしょう。
定年後に必要な生活費から考える貯金額
総務省が発表した「家計調査年報(家計収支編)」によると、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月の支出は約26万円となっています。
仮に、退職後の65歳から85歳まで20年間定年後を過ごした場合は、約6,240万円の支出が生じます。
もちろん、退職金や年金である程度は補えますが、補えなかった場合に備えて、定年後の生活費として1人当たり3,000万円は貯金しておくと安心できるでしょう。
定年後の貯金を増やすための方法4選
定年後の貯金を1人当たり3,000万円と言っても、そう簡単に貯まるものではありません。
仮に、25歳から65歳まで40年かけて3,000万円を貯めるには、1年で75万円貯金していく必要があります。
定年後の貯金を増やしていくには、資産運用が効率的と言えますが、資産運用を行う際には「ある程度のリターンが期待できること」「リスクを抑えること」の2点に注意することが重要です。
これらを考慮した上でおすすめできるのが以下の4つです。
- 投資信託
- 不動産投資
- ロボアドバイザー
- ソーシャルレンディング
それぞれの方法について見ていきましょう。
投資信託
投資信託とは、自分自身で資産運用を行うのではなく、お金を運用のプロであるファンドに預けて代わりに運用を行ってもらうという方法です。
日中働いているサラリーマンなどは、資産運用を行いたくても、資産運用の時間を確保できません。
しかし、ファンドが代わりに運用を行ってくれるため、忙しいサラリーマンでも効率良く貯金を増やせます。
また、投資信託は100円から運用できるため、少額からの資産運用が可能です。
積立投資も対応しているため、最初の設定をしっかり行っていれば、後は自動で積み立ててくれるので投資の手間を省くこともできます。
いくら運用のプロが運用してくれると言っても、必ず利益が出るというわけではないため、元本割れのリスクを想定しておく必要があります。
ただ、分散投資によってリスクを軽減できるほか、高いものでは利回りが10%を超えることを考えると、おすすめの運用方法と言えるでしょう。
不動産投資
不動産投資とは、マンションやアパート、戸建住宅といった不動産を購入して、貸し出して家賃収入を得るという方法です。
「不動産を購入する資金がない」という場合でも、不動産投資は資産運用の中で唯一金融機関の融資を受けながら運用できるため、少ない自己資金でも挑戦できます。
不動産投資を行うにあたって、返済額に余裕を持った場合には、毎月浮いた分を給与所得に上乗せすることが可能です。
逆に、返済を重視した場合には、完済した後の家賃収入が全て自分のものになるまでの期間を短縮できます。
家賃収入を退職後の私的年金代わりとして受け取れるだけでなく、万が一急にまとまった資金が必要になった場合には、不動産を売却すれば資金が得られます。
現金としてではなく、不動産として貯金しておく方法も1つの選択肢と言えるでしょう。ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を搭載しているロボットが代わりに銘柄の選択から運用までを行ってくれるという方法です。
今までこのようなサービスを受けるには、証券会社の窓口に出向くなど、人的支援を必要としていました。
そのため、手数料が高く、まとまった資金が必要になるというデメリットがありました。
しかし、人ではなくロボットが代わりに運用を行ってくれるため、手数料を抑えられます。
また、最低投資金額も1万円と比較的運用しやすい額に設定されているのが特徴です。
ロボアドバイザーではロボットの質問に答えることでどのような投資手法であるかを判断し、銘柄選択や売買、リスク管理も行ってくれるので安心して任せられるでしょう。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、融資を希望している企業と資産を増やしたいと考えている個人を結び付けるものです。
企業の中には、金融機関から融資を受けたり、社債を発行して融資を受けたいものの、直近の決算が赤字である、手間がかかるといった理由から融資を受けることを諦めている企業もあります。
しかし、ソーシャルレンディングでは、それらを手掛けている企業による審査はあるものの、比較的容易に融資を受けられます。
投資家にとっては、通常の社債よりも利回りが高いため、効率良く資産を増やすことが可能です。
企業が倒産することによる元本割れのリスクは伴いますが、中には担保が設定されていて元本保証が付いているものもあります。
特に使用予定のない資金の場合は、銀行で眠らせておくよりも、効率良く定年後の貯金を増やせるでしょう。まとめ
定年後には、退職金による一時所得や年金による継続的な収入が期待できますが、退職金が支給されない企業もあるほか、年金制度が破綻する可能性があるので注意が必要です。
上記のような事態が生じて困らないようにするためには、定年を迎えるまでにある程度は貯金しておく必要があります。
定年後のため貯金を増やすには資産運用が効率的です。資産運用では、リスクだけでなくリターンについてもある程度検討しなければなりません。
「投資信託」「不動産投資」「ロボアドバイザー」「ソーシャルレンディング」などが方法として挙げられますが、それぞれの特徴が異なるのでそれらを理解した上で始めましょう。