結婚して子供が生まれると、生活費が増えるだけでなく、子供が成長して進学した場合には教育費もかかります。
子供の数が多い場合や私立に進学する場合は、予想以上に費用がかかる可能性もあるため、事前にしっかり貯金しておく必要があります。
そこで今回は、教育費の備えにいくら貯金すればいいのか、子供の教育費にいくらかかるか解説します。
教育費の貯金は重要?
人生には、結婚、出産、子供の進学、車や住宅購入など、様々なライフイベントがあります。
これらのライフイベントには、ある程度の費用がかかるため、事前にどのイベントに対してどのくらいの費用がかかるのか把握しておく必要があります。
特に子供の教育費に関しては、子供が何人いるのか、学校が公立なのか私立なのかによって大きく異なるため、事前に貯金しておくことが重要です。
文部科学省が平成29年(2017年)12月に報道発表した「平成28年度(2016年度)子供の学習費調査の結果について」によると、幼稚園から高等学校までの15年間公立に通うと、約540万円かかるという結果になっています。
また、15年間私立に通うと、約1,770万円かかるという結果になっており、3倍以上も差が広がるという点に注意が必要です。
各進学過程における教育費は1年でいくらかかるのか詳しく見ていきましょう。
幼稚園でかかる教育費
幼稚園でかかる教育費は公立と私立で以下のように異なります。
- 公立幼稚園:23万4,000円
- 私立幼稚園:48万2,000円
公立・私立ともに、教育費に占める授業料(保育料)の割合は50%を超えています。
学校外活動費の割合は私立の方が高く、特にスポーツ・レクリエーション活動に対する支出が最も多いという特徴があります。
令和元年(2019年)から幼児教育の無償化で負担は軽減されますが、小学校以降は学費が発生するのでこの間にしっかりと貯金することが重要と言えるでしょう。
小学校でかかる教育費
小学校でかかる教育費は公立と私立で以下のように異なります。
- 公立小学校:32万2,000円
- 私立小学校:152万8,000円
公立小学校では教育費に図書・学用品・学習材料といった経費が占める割合が多い一方で、私立小学校では授業料が占める割合が多いという特徴があります。
また、学校外活動費については、公立小学校ではスポーツ・レクリエーション活動の占める割合が多い一方で、私立小学校では芸術文化活動の占める割合が多くなっています。
幼稚園は公立と私立で教育費に約2倍の差がありましたが、小学校はその差が約5倍に。
特に私立は教育費が大きくなるため、私立小学校を検討している場合はしっかり貯金しておきましょう。
中学校でかかる教育費
中学校でかかる教育費は公立と私立で以下のように異なります。
- 公立中学校:47万9,000円
- 私立中学校:132万7,000円
公立中学校の教育費の支出割合はバランスが良い一方、私立中学校の教育費の支出割合は授業料の占める割合が多いという特徴があります。
また、学校外活動費の割合よりも補助学習費の割合の方が公立・私立ともに高くなっており、特に公立中学校の方が占める割合が高くなっています。
塾に通う費用が生活費の負担になってくるため、いつから通わせるのか、集団・個別・家庭教師のどのタイプの学習方法を選択するのかなど、よく考えておくことが重要です。高等学校でかかる教育費
高等学校でかかる教育費は公立と私立で以下のように異なります。
- 公立高等学校:45万1,000円
- 私立高等学校:104万円
公立中学校と同様に、公立高等学校は教育費の支出割合はバランスが良い一方で、私立高等学校は授業料や学校納付金(入学金や寄付金など)の占める割合が多くなっています。
中学校では補助学習費の占める割合が私立高等学校の方が多いという特徴がありましたが、高等学校では私立高等学校の方が占める割合が多くなります。
高等学校卒業後に就職する場合は、高等学校までの教育費で貯金計画を立てれば安心して子供の進学に備えられます。しかし、この金額は平均値で地域差もあるため、余裕をもって貯金しておきましょう。
大学でかかる教育費
文部科学省の「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」と「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」によると、国立と私学の教育費は以下のように異なります。
- 国立大学:242万6,000円
- 私立大学文系:389万9,000円
- 私立大学理系:530万8,000円
また、歯学部や医学部などの専門性が高く6年制の大学はさらに教育費が大きくなるので注意が必要です。
大学院への進学を希望した場合には、さらに追加で教育費がかかるため、しっかりと計画的に貯金しておきましょう。
教育費を計画的に貯金する方法4選
日本FP協会によれば、幼稚園から高等学校までを公立、大学のみを私立に進学した場合の子供1人当たりの教育費は約993万円という結果になっています。
仮に子供が2人いると、約2,000万円の資金が必要です。これらの資金を集めるには計画的に貯金する必要がありますが、貯金だけで間に合わない場合には、資産運用を検討する必要があります。
しかし、資産運用で元本割れを起こしては意味がありません。
そこで教育費を計画的に貯金する方法としておすすめするのが以下の4つです。
- 積み立て貯金
- 投資信託
- 社債
- ソーシャルレンディング
それぞれの方法について詳しく解説します。
積み立て貯金
まずは積み立て貯金です。
給料から生活費を引き、残った分を貯金に回すという考え方では毎月の貯金額が変動するため、計画的に教育費を貯金できません。教育費は確実に貯金しなくてはならないため、毎月一定額ずつ積み立てる積み立て貯金をおすすめします。
給料から積み立て貯金に回す金額を引き、残った分を生活費に回すという方法に変えれば確実に教育費を貯めることができるでしょう。
投資信託
貯金だけでは金利が低いため、教育資金の全てを補いきれません。
そこでおすすめするのが投資信託です。
投資信託とは、資産運用のプロが代わりに資金の運用を行ってくれる資産運用の1つです。
時間と手間を省ける、自分で運用するより元本割れのリスクが低いため、教育費を計画的に貯金するのに適していると言えるでしょう。
社債
社債は、会社に融資して利息を受け取る資産運用の1つですが、業績の安定している企業に融資すれば、元本割れのリスクは低いと言えます。
ただし、満期までは解約できないため、急にお金が必要になった時に困る可能性があります。
そのため、社債をうまく使って教育費を貯金する場合は、満期日と必要になる日をしっかり確認してから申し込みましょう。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、社債と同じで、会社に融資して利息を受け取る資産運用の1つです。
社債は1口の融資金額が大きい場合が多いため、容易に申し込みにくいですが、ソーシャルレンディングは1口の融資金額が小さいので申し込みやすいという特徴があります。
ただし、貸金業法の関係上、どこの企業に対する融資かという情報を明確にできないため、破綻のリスクが少し高いことがデメリットと言えるでしょう。
まとめ
人生には様々なライフイベントがありますが、その中でも大きい支出を伴うイベントの1つとして子供の進学が挙げられます。
公立に通うのか、私立に通うのかという違いもあれば、子供の数によっても必要な教育費は異なるため、いざという時に不足して困ることがないようにしっかり貯金しておく必要があります。しかし、金額が大きいため、貯金だけでは貯まりません。
資産運用を組み合わせて教育費を貯金するのが一般的ですが、元本割れが起きては意味がないため、どの資産運用で教育費を貯金するかよく考えてから始めましょう。