「生活資金の足し」「子供の教育資金」「老後の生活費」といった様々な目的で資産運用を行っている人がいます。
資産運用の中には株式投資やFXなど、様々な手段がありますが、株式投資はある程度のまとまった資金が必要になることから敷居が高いと感じている人も多いのではないでしょうか?
でも、実はそんなことありません。
取引方法によっては、1万円からでも株式投資を始めることができます。
ただ、少額での株式投資にはメリットもあれば、デメリットもあります。
そこで今回は、株式投資を始めるにあたって必要な知識をお伝えした上で、いくらから始められるのかについて解説します。
株式投資の最低単位は「単元」
株価は銘柄ごとに異なっており、証券会社などに表示されているのは、1株当たりの価格となっています。
株式投資を行う際は、この1株当たりの株価ではなく「単元」と呼ばれる最低単位に基づいて取引を行います。
単元は、100株に設定されているのが一般的です。しかし、銘柄によっては1株や1000株単位に設定されているケースもあります。
例えば、1株の価格が1万円の銘柄があっても、1万円で購入できるわけではありません。
もし、その銘柄の単元が100株の場合は1万円×100株=100万円と、100万円が最低購入価格になるので注意が必要です。
1万円以下で取引できる銘柄は限られている
証券取引所に上場されている3804銘柄(2019年3月7日現在)のうち、1万円以下で購入できる銘柄はわずか45銘柄です。
ほとんどが1万円以上で、約2400銘柄は10万円以上の資金を必要とするため、敷居が高い資産運用と言えます。
「約1400銘柄は10万円以下なら十分に選ぶ余裕がある」と思った人も多いのではないでしょうか?
確かに、十分に選ぶ余裕がありますが、価格が安い銘柄ほど業績があまり良くないケースが多くあります。
それらを踏まえると、少額で株式投資を行うことはリスクが比較的高いと言えるでしょう。
少額でも株式投資ができる3つの手段
少額で株式投資を行う際には銘柄が限られるだけでなく、業績などの悪化によって株価が低迷している銘柄に投資するといったリスクを伴うことになります。
しかし、少額でもほぼ全ての銘柄に株式投資できる手段があります。
それは以下の3つです。
- 単元未満株
- ミニ株
- るいとう
それぞれの手段について見ていきましょう。
単元未満株
少額でも株式投資ができる手段の1つ目は単元未満株です。
単元未満株とは、証券会社から単元に達していない単元未満株を購入するという手段です。
ほぼ全ての上場銘柄を1株単位で購入できます。
取引を行う際は単元未満株を取り扱っている証券会社に発注しますが、発注の時間で前場の始値もしくは後場の始値のどちらかの価格で取引を行うことになります。
また、手数料も一般的な取引より高く設定されているなどの制限がある一方で、保有株数に応じた配当金や株主優待をもらえる可能性があります。
2019年3月7日時点で購入に最も資金が必要になる銘柄は、東証1部上場のキーエンスで672万6千円です。
単元未満株の場合は6万7,260円で購入できるため、手軽に株式投資を行えると言えるでしょう。
ミニ株
少額でも株式投資ができる手段の2つ目はミニ株です。
ミニ株とは、単元未満株同様、証券会社から単元に達していない単元未満株を購入するという手段です。
単元未満株はほぼ全ての上場銘柄の取引が可能であるのに対し、ミニ株は証券会社指定の銘柄のみで、最低単元の10分の1単位で購入できます。
取引を行う際は単元未満株を取り扱っている証券会社に発注しますが、前場の始値の価格で取引を行うことになります。
また、単元未満株よりも手数料が高く設定されているなどの制限があります。
しかし、保有株数に応じた配当金をもらえる一方で、単元未満株のように株主優待はもらえません。
全体的に制限が多く、少額での取引を希望する場合には、ミニ株よりも単元未満株を選んだ方が良いと言えるでしょう。
るいとう
少額でも株式投資ができる手段の3つ目はるいとうです。
るいとうとは、上記の2つとは異なり、毎月一定額(1万円以上)で株を購入し続けるという手段です。
ミニ株同様、証券会社指定の銘柄のみで、購入単位は金額に応じた単位であるので小数点が生じることがあります。
あらかじめ決められた日に月1回取引を行います。
また、ミニ株同様、手数料が高く設定されているなどの制限があります。
保有株数に応じた配当金をもらえますが、次の買付に使用され、株主優待はもらえません。
ミニ株の積み立て投資版という特徴がありますが、制限の多さを考えると、るいとうよりも単元未満株の方が良いと言えるでしょう。
単元未満取引のメリット
一般的な取引と異なり、単元未満取引にはどんなメリットがあるのでしょうか?
単元未満取引のメリットは以下の2つです。- 少額で取引可能
- 分散投資によるリスク軽減
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
少額で取引可能
単元未満取引のメリットの1つ目は少額で取引可能ということです。
株式投資で東証1部上場のキーエンスの株式を購入するには、通常672万6千円が必要です。
しかし、単元未満取引であれば、100分の1の6万7,260円で購入できます。
証券取引所に上場されている銘柄の最も高い銘柄でも10万円以内で取引できるため、株式投資の敷居が低くなったと言えるでしょう。
分散投資によるリスク軽減
単元未満取引のメリットの2つ目は分散投資によるリスク軽減ということです。
一般的な株式投資は、単元に基づいて購入するため、購入額が大きくなります。
購入額が大きくなるということは、1銘柄に集中投資することになるため、もしその銘柄の業績が悪化すると、損失を一点に集中して受けてしまいます。
しかし、単元未満取引で購入額を少なく抑えられれば、1銘柄に集中せずに複数銘柄に分散投資することでリスクを軽減できます。
単元未満取引のデメリット
単元未満取引には、「少額で取引可能」「分散投資によるリスク軽減」などのメリットがありましたが、どんなデメリットがあるのでしょうか?
単元未満取引のデメリットは以下の2つです。- 取引制限がある
- 株主優待を得られない場合がある
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
取引制限がある
単元未満取引のデメリットの1つ目は取引制限があるということです。
単元未満株はほぼ全ての銘柄の取引を行えますが、ミニ株やるいとうは証券会社が指定する銘柄に限られています。
そのため、少額で取引を行えるものの、場合によっては取引したかった銘柄を選択できない可能性があります。
また、通常は株価変動の様子を見つつ指値による発注が可能ですが、単元未満取引は前場の始値または後場の始値のどちらかです。
思っていた価格で取引できない可能性もあるので注意しましょう。
株主優待を得られない場合がある
単元未満株取引のデメリットの2つ目は株主優待が得られない場合があるということです。
通常は株主優待を出している企業の銘柄を保有していると、株主優待を受けられます。
しかし、単元未満株の場合は株主優待を得られる可能性がありますが、ミニ株やるいとうは株主優待を得られません。
魅力的な株主優待が目的で株式投資を行おうとしている場合は、目的が達成できない可能性があるので注意しましょう。
まとめ
株式投資に興味を持っているものの、1万円以下で購入できる銘柄はわずか45銘柄とほぼ1万円以上で、約2400銘柄は10万円以上の資金が必要です。
そのため、株式投資に対して敷居が高いと感じている人も多くいます。
しかし、「単元未満株」「ミニ株」「るいとう」という手段を活用すれば、ほぼ全ての銘柄に少額で投資できるようになります。
少額で投資できると言っても、「取引制限がある」「株主優待を得られない場合がある」などのデメリットもあるため、よく考えたうえで行いましょう。