「人生100年時代」を考えると、年金だけでは老後の生活費が不足することから自助努力が求められています。

働いて得た収入だけでは老後の生活費を補いきれないため、資産運用で効率良く資金を貯めていく必要がありますが、資産のうちどの程度の割合を運用に回せばいいのでしょうか?

そこで今回は、資産運用を行うにあたって、資産をどのくらい運用に回すべきか解説します

資産運用の割合

資産運用の割合

高齢化の進行で「人生100年時代」を迎えるとされており、老後に向けての資金計画を立てる必要が生じています。

現状、定年は65歳であるため、約35年間は収入がない状況ですが、日本は年金に加入している限り年金を受け取れるのであまり心配していないという人も多いのではないでしょうか?

しかし、金融庁の審議会によると、今後年金だけでは2,000万円も不足することが予想されています

そのため、自助努力によってこの不足分を備えることが求められていますが、毎月8万5,000円を20年間貯めてようやく達成できる金額なので、働いて補うだけでは困難です。

そのため、資産運用によって効率良くお金を増やすことが求められていますが、持っている資産全てを運用に回しても良いというわけではありません。

日本FP協会によると、以下の支出がライフプランで生じると言われています。

  • 結婚費用:約463万円
  • 出産費用:約53万円
  • 教育資金:約993万円(子供1人あたり)
  • 住宅購入費:約3,340万円

他にも自動車の購入費用などを考えると、運用に回せる資産はかなり限られます。

無理なく資産運用を進めるためにも、資産のうちどの程度の割合を運用に回せばいいかあらかじめ確認しておくことが重要です。

目的に応じて運用方法を分けることが重要

目的に応じて運用方法を分けることが重要

ライフプランで様々な支出を伴うことを考えると、現金として手元にいくらか残しておく必要があります。

しかし、手元に残しておくと言っても、現金として手元に持っておいても全く増えないため、少しでも運用で増やした方が良いと言えます。

持っている資産を無理なく増やすには、資産を以下の3つに分類して運用することが重要です。

  • いつでも利用できる資産
  • しっかり貯めておくための資産
  • じっくりと増やしておくための資産

これらの割合をどのくらいに設定するかも含めて、それぞれ見ていきましょう。

いつでも利用できる資産

いつでも利用できる資産とは、いわゆる流動性資産のことです。

仮に資産運用していても、すぐに現金化できる資産が流動性資産に該当します。

例えば、銀行などの普通預金はすぐに現金化できるため、流動性資産です。

流動性資産には、ローリスク・ローリターンという特徴があります

例えば、普通預金は、ペイオフによって1,000万円の元本とその利息までが補償されています。

そのため、万が一銀行が破綻した場合でも、1金融機関あたり上記金額までは補償されるので安心です。

しかし、それだけリスクが低く、金利も低いので効率良くお金を増やせるとは言えません。

万が一現金化が必要になった場合に備えて、流動性資産の割合を高めておいた方が良いと言えるため、最低でも5割以上は流動性資産として保有しましょう

しっかり貯めておくための資産

流動性資産はローリターンで、老後の生活費を貯めるには流動性資産だけでは足りません。

そのため、ある程度のリターンが期待できる運用方法も組み合わせていく必要があります。

しっかり貯めておくための資産とは、使用目的が明確な資産で、タイミングが到来するまでできる限りリスクが低く金利の高い運用方法で貯める安定性資産のことです。

例えば、定期預金や国債などです。

定期預金や国債などは、普通預金のようにすぐに現金化できませんが、期日が到来すれば現金ができます。

資金がしばらく拘束されますが、金利は普通預金よりも高いことが多いため、効率良く資産を増やすことが可能です。

定期預金は普通預金と同様ペイオフによる補償、国債は国が発行しているという安心感があります。

こちらも割合をできる限り高めておいた方が良いため、3割程度は安定性資金にしておいた方が良いでしょう。

じっくりと増やしておくための資産

流動性資産はすぐに現金化できる資産、安定性資産は使用目的が明確な資産と分類すると、特に使う予定のない資産が生じます。

これがじっくりと増やしておくための資産で収益性資産のことです。

リスクを多少とってでも大きく資産を増やすことが目的で、老後の不足する生活費などは収益性資産で補います。

例えば、投資信託や株式投資などは収益性資産です。

短期の売買で積極的に増やすこともできますが、基本的には長期目線で増やしていくことを目的としています。

しかし、流動性資産や安定性資産と比べるとリスクが高くなるので注意が必要です。

割合は2割程度と少なくした方が良いと言えるでしょう。

リスク管理を徹底することが重要

リスク管理を徹底することが重要

資産運用は必ず何かしらのリスクを伴います。

そのため、資産運用を行う際は、流動性資産・安定性資産・収益性資産の割合をどうするかだけでなく、リスク管理も徹底することが重要です。

資産運用において生じる主なリスクは以下の4つです。

  • 価格変動リスク
  • 金利変動リスク
  • 為替変動リスク
  • 信用リスク

それぞれのリスクがどのようなものか見ていきましょう。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、価格変動が生じることで損失が生じるリスクのことです。

価格変動が生じなければ利益を得ることもできませんが、予想が外れた場合には損失を抱えることになります。

価格変動リスクを下げるには、感覚で取引するのではなく根拠に基づいて取引することが重要です。

また、損切りを徹底するなど損失が大きくならないようにリスク管理することも重要と言えるでしょう。

金利変動リスク

金利変動リスクとは、設定されている金利が下がることによるリスクのことです。

例えば、変動金利が適用される運用方法を選択していて金利が下がった場合は、当初の運用目標を達成できない可能性があります。

金利が高い状況で今後下がる可能性がある場合には、変動金利ではなく固定金利の商品を選ぶなど、リスク管理を心がけておきましょう。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、国の経済情勢の変化などで為替が変動するリスクのことです。

例えば、高金利の外貨預金などでは為替変動で金利以上の損失を抱える可能性があります。

特に高金利通貨は為替変動が不安定になりやすいため、為替変動リスクが高いと言えます。

そのため、マイナー通貨を選ぶのではなく、できる限りメジャーな通貨を選ぶなど、リスク管理を徹底することが重要と言えるでしょう。

信用リスク

信用リスクとは、社債を発行している会社や国債を発行している国が利息の支払いが滞るなどのリスクです。

会社や国が財政難に陥った場合などは、利息の支払いが滞るだけでなく最悪の場合には破綻して元本が回収できない可能性があります。

そのため、社債や国債などを運用する際は、発行元の経済状況に問題がないのかあらかじめ確認することが重要です。

「まずそんなことは起きない」ではなく、万が一の事態に備えることが重要と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

資産を増やすためには資産運用を行うなど、給料以外で資産を増やす必要があります。

しかし、資産運用を行う際に、持っている資産全てを運用に回せるわけではありません。

ライフプランでは様々なタイミングである程度のまとまった支出が生じるため、それらの支出を考えながら資産運用を行う必要があります。

流動性資産・安定性資産・収益性資産の目的別に3つの資産がありますが、万が一に備えて流動性資産の割合を高くしておくなど、リスク管理を徹底することを忘れないようにしましょう

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