これから老後を迎える人の中には「年金があるので老後は大丈夫」と思っている人も多いと思います。
しかし、少子高齢化が進む昨今、受給額が減額される、年金制度が破綻する恐れもあるため、貯蓄がなくても大丈夫か不安を抱いている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、貯蓄がなくても基礎年金で大丈夫なのか、老後の実態について解説します。
貯蓄がなくても基礎年金で大丈夫?
バブルの頃は、銀行預金に適用される金利が1%を上回っていました。
仮に、精一杯働いて1億円貯金できれば年間100万円以上の利息が得られるため、老後も安心して暮らすことができました。
しかし、最近のメガバンクの普通預金金利は1%を大きく下回る0.001%となっています。
そのため、利息を頼ることはできないので年金以外の収入がなければ、老後に厳しい生活が待っていると言えます。
では、現在の年金収入と老後の生活費はどのくらいなのでしょうか?
基礎年金の受給額と老後にかかる生活費について見ていきましょう。
基礎年金の受給額
公的年金は2階建ての制度になっています。
1階部分は基礎年金で、一般的には国民年金と呼ばれています。
2階部分は厚生年金で、基礎年金は国民全員、厚生年金は会社員といった会社に勤務している人が加入。
厚生年金は会社からもらう給料によって変動しますが、基礎年金は定額です。2019年度の基礎年金は78万100円となっています。
78万100円を1ヶ月分に換算すると、約6万5,000円です。
夫婦二人暮らしで両方が基礎年金に加入していて、合わせて約13万円の支給を受けていたとすると、この額で生活費を補うことができるのでしょうか?
老後にかかる生活費
日本FP協会のホームページに掲載されている平成30年の総務省の「家計調査年報」では、高齢夫婦無職世帯の支出は1ヶ月あたり約26万円となっています。
年間の生活費は312万円となるため、夫婦二人の基礎年金の合計を考慮すると、1年あたり約172万円老後の生活費が不足します。仮に65~85歳まで20年元気に過ごしたとすると、不足する老後の生活費は約3,440万円です。
不足する約3,440万円を貯蓄で補わなくてはならないため、老後安心して暮らすには貯蓄が必要不可欠と言えるでしょう。
貯蓄を増やすための5つの方法
貯蓄を増やすと言っても、具体的に何をどうやって増やせば良いのでしょうか?
代表的な貯蓄の増やし方として、以下の5つの方法が挙げられます。
- 無駄な支出を減らす
- 転職する
- アルバイトを始める
- クラウドソーシングを始める
- 投資を始める
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
無駄な支出を減らす
現在の支出を見直して、無駄な支出を減らすという方法です。
貯蓄を増やすためには収入を増やさなくてはならないと考える人が多いかもしれませんが、「収入-支出=貯蓄」なので、支出を減らしても収入が増えたのと同様の効果が得られます。
生活費を見直すと、無駄な支出が数多く潜んでいます。
例えば、電気やガス、通信費です。
電気やガス、通信費は、大手以外の第三者が参入できるようになったため、価格競争で安い料金プランが増えています。そのため、料金プランを変更するまたは会社を変更するだけでも十分支出を減らすことが可能です。
また、クレジットカードの解約も効果的です。
クレジットカードは手元に現金がなくても買い物ができるため、無駄な支出が増えやすくなります。
さらにあまり使わないにもかかわらず、年会費の発生するカードを持っていても意味がありません。
このように無駄な支出を減らすように心掛ければ、貯蓄を増やすことができるだけでなく、老後の生活費を減らす効果も期待できるでしょう。
転職する
収入を増やしたいと思っても、会社からもらえる給料は年功序列になっているため、すぐに増やすことはできません。
そのため、すぐにでも増やしたい場合には、同じ就労条件でより高い給料がもらえる会社に転職するのも1つの選択肢です。
例えば、前の職場よりも毎月もらえる給料が平均で2万円増えたとして、その後退職まで30年間働いたとすると、2万円×12ヶ月×30年=720万円収入が増えます。
この増えた分の収入を使用せずに、老後の生活費として貯蓄に回すことで、不足する老後の生活費を少しでも補えるようになるでしょう。
アルバイトを始める
給料が少ない場合は、転職するという方法を選ぶのが効果的ですが、年齢によっては転職が困難な場合もあります。
そのような場合には、少しでも収入を増やすために、アルバイトを始めるという選択肢があります。
休日が決まっている会社で働いている場合には、休日にアルバイトを入れることで多少は収入を増やすことが可能です。
例えば、土日に午後から時給1,000円で5時間、月に8日働いたとすると、1ヶ月の収入は8万円です。
1年では96万円と約100万円貯蓄を増やすことができます。
しかし、アルバイトは体力的、精神的にも負担が大きく、時間効率が悪いため、ある程度の限界があります。
無理のない範囲で取り組みましょう。
クラウドソーシングを始める
クラウドソーシングとは、インターネット上で仕事の依頼を受けて取り組む副業です。
少子高齢化によって企業も人手不足に悩んでいるケースが多く、仕事を外部に委託することが増えています。
クラウドソーシングは、自宅で取り組めることから勤務先に向かう移動時間がかからない、専門的な知識や技術を必要とする仕事は報酬が高いというメリットがあります。そのため、そのような知識や技術を持っている人の場合には、アルバイトに取り組むよりもより効率良く収入を増やすことが可能です。
また、クラウドソーシングである程度の人脈を作っていれば、退職後も依頼を受けることができます。
そうすれば、老後の基礎年金に収入を加算できるため、より老後の生活が安定すると言えるでしょう。
投資を始める
支出を減らす、収入を増やすという方法で貯蓄を増やすことができたとしても、ある程度の限界があります。
そこで重要になってくるのが投資です。
投資では支出を減らす、収入を増やすことによって得られた貯蓄を運用して増やしますが、リスクを伴うので注意が必要です。例えば、国債投資は、国が破綻しない限りは元本割れしませんが、利回りが高くないというデメリットがあります。
一方、株式投資は、価格変動が大きいので大きな利益が期待できますが、会社が破綻すると株式の価値が0になるというデメリットがあります。
このように投資方法によって特徴が大きく異なるため、各投資方法の特徴を理解してから投資方法を選ぶことが重要と言えるでしょう。
貯蓄を増やして基礎年金を繰り下げるのも選択肢の1つ
基礎年金は受給額が決まっていると言いましたが、繰り下げ受給を選択すれば、受け取れる基礎年金を増やすことが可能です。
基礎年金の繰り下げによる増額率は以下の通りです。
- 66歳~67歳まで:8.4%~16.1%
- 67歳~68歳まで:16.8%~24.5%
- 68歳~69歳まで:25.2%~32.9%
- 69歳~70歳まで:33.6%~41.3%
- 70歳以上:42.0%
基礎年金の受給を繰り下げることで、1ヶ月あたり0.7%ずつ年金受給額が上乗せされます。
最大42%年金受給額を増やすことができるため、繰り下げは魅力的と言えます。しかし、退職してから特に何もしていない場合は、70歳を迎えるまでの収入がありません。
そのため、繰り下げを予定している場合は、その間に生活できる分の貯蓄を確保することが重要と言えるでしょう。
まとめ
基礎年金と老後の生活費を比較すると老後の生活費の方が上回っているため、貯蓄がない状況では老後の生活が困難になります。
そのため、少しでも老後を安心して暮らすことができるようにするには、貯蓄をしっかりと行っておくことが重要です。
本記事に書かれている貯蓄を増やす方法を参考にしつつ、少しでも老後に向けて貯蓄を増やしましょう。