退職後の生活費に考えるにあたり、「退職金や年金があるので問題ない」と考えている人も多いと思います。
しかし、少子高齢化が進む昨今では、いつまでも現在のような年金を受け取れるとは限らず、大幅な減額になると年金だけでは退職後の生活費を補い切れるとは言い切れません。
そこで今回は、貯金がないのはやばいのか、各年代の貯金の実態について解説します。
貯金がないのはやばい?
少子高齢化の進行によって人生100年計画を立てる必要が出ています。
年金収入だけでは老後の生活費が足りなくなると予想されており、老後を迎えるまでに2,000万円の貯金が必要になるとの試算も。
しかし、これから老後を迎えようとしている人の中には、退職金と年金で悠々自適に暮らすことを予定していた人も多いと思います。
以前は金利が数%だったため、退職金を加えた貯金に付与される利息と年金で悠々自適に暮らすことが可能でした。
しかし、現在のメガバンクの普通預金の金利は0.001%と1%を大きく下回っています。
年金以外の収入を確保していない場合は、年金と利息だけでは暮らせないため、貯金を切り崩しながら生活することは避けられません。
そのため、貯金がないのはかなりやばい状況と言えます。
貯金がないのはやばいという状況は、今後さらに深刻さが増すと予想されます。
その理由は、年金が減額される可能性があることと退職金の額が減少傾向にあるためです。
それぞれの理由について詳しく解説します。
年金が減額される可能性がある
貯金は将来お金が必要になった時に備えて積み立てる積立方式です。
年金も将来に自分が受け取るための分を積み立てていると思っている人がいるのではないでしょうか?
しかし、年金は積立方式ではなく賦課方式が採用されています。
賦課方式とは、現役世代が年金受給世代を支える方式です。
自分たちの年金は、その時の現役世代に支えてもらうため、少子化が進行した場合は年金を支給するための財源が確保できなくなります。
その結果、年金の掛け金が増える、受給額が減額することに。
そうなると、現在よりもさらに老後の生活が苦しくなるため、貯金がないのはやばい状況と言えるでしょう。
退職金の額は減少傾向にある
仮に年金の受給額が少なくなっても「退職金があるので大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、退職金の額は減少傾向にあるので大丈夫とは言えません。
厚生労働省が公表した「退職給付(一時金・年金)の支給実態(平成30年)」では、大学・大学院卒の管理・事務・技術職に就いていた人が退職金として受け取る平均額は1,788万円です。
一方で、同じ職に就いている高校卒の人が退職金として受け取る平均額は1,396万円です。
平成25年の大学・大学院卒は1,941万円、高校卒は1,673万円とそれぞれ200~300万円少なくなっています。
また、退職金制度を導入している企業は全体の80.5%と5社に1社は導入していません。
退職金を受給できない可能性があることに加えて、受給できても額が減少している現状を考えると貯金がないのはやばい状況と言えるでしょう。
各年代の平均貯金額とは
金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(平成30年)」によると各年代の平均貯金額は以下のような結果になっています。
- 20歳代:283万円
- 30歳代:450万円
- 40歳代:673万円
- 50歳代:849万円
- 60歳代:1,290万円
- 70歳以上:1,555万円
- 全体平均:1,035万円
「20歳代で既に283万円も貯金しているの?」と驚いた人も多いと思います。
しかし、これはあくまでも平均です。
平均は極端に貯金額が多い人がいる場合には、それらに引き寄せられるため、現状を正しく反映できていない場合があります。年代別の平均貯金額だけでは現状が分かりにくいため、続いて年収別の平均貯金額も見ていきましょう。
年収別の平均貯金額とは
同調査の年収別の平均貯金額は以下のような結果になっています。
- 300万円未満:804万円
- 300~500万円未満:946万円
- 500~750万円未満:966万円
- 750~1,000万円未満:1,079万円
- 1,000~1,200万円未満:1,435万円
- 1,200万円以上:2,308万円
年収300万円未満には、退職した後に多少の収入がある人も含まれ、これまでの貯金も反映されています。
そのため、本当に年収300万円未満の人の貯金は、もっと少ないと考えられます。
しかし、300万円以上は、基本的には実際の収入が反映されていると考えられるため、各年代と各年収の平均貯金額を見ながら貯金の目標を立てるようにしましょう。
貯金を少しでも増やす方法
貯金がない状況は老後を迎えるにあたってやばい状況であることは分かったと思いますが、その状況を少しでも回避できないのでしょうか?
貯金を少しでも増やす方法として以下の3つが挙げられます。
- 無駄な支出を減らす
- アルバイトを始める
- 資産運用を検討する
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
無駄な支出を減らす
例えば、電気代やガス代などを見直すことで無駄な支出を減らすことが可能です。
昨今は、電気やガスは自由化によって以前よりも安い料金プランを提供する企業が増えているため、契約を見直すことで支出を減らすことができます。
スマホ料金も電気やガスと同様、安い料金プランを提供する企業が増えているため、見直すことで支出を減らせます。
他にも年会費の発生するクレジットカードを解約する、財布の中に入れるお金を減らして無駄遣いしないようにするといった工夫をすることで、支出を減らせた分を貯金に回せるでしょう。
アルバイトを始める
支出を減らす方法は誰でも簡単に取り組めるため、老後のやばい状態を回避するのに最適ですが、減らせる支出にはある程度限界があります。
そこで挙げられるのが収入を増やす方法です。
しかし、収入を増やすと言っても、会社からもらう給料は急に増えません。
そのため、収入を増やす場合には、転職する、アルバイトを始めるというどちらかの方法を選択することになります。
現在の給料が少ない場合は転職するという方法が効果的ですが、転職活動が成功するとは限りません。
そのため、確実に貯金を増やしたい場合には、アルバイトを選んだ方が良いと言えます。
しかし、本業以外に働く場合には、精神的・体力的な負担が大きくなるため、本業に支障が生じないように注意が必要です。
資産運用を検討する
アルバイトで得たお金を全て貯金に回せば、やばい状況を脱することが期待できますが、精神的・体力的な負担が大きく、取り組める時間にも限界があります。
そこで挙げられるのが資産運用です。
資産運用の場合、株式投資やFXを自身で行うという選択のほか、不動産投資や投資信託のように第三者に運用を任せるという選択もあります。
支出を減らして浮いたお金やアルバイトによって得たお金の一部を貯金、残りを投資信託・不動産投資といった資産運用に回せば、限られた時間の中でも効率良く貯金を増やせるでしょう。
まとめ
高齢化が進行しており、人生100年計画を立てる必要が出ています。
また、少子化の影響で今後の年金制度がどうなるか分からないため、老後に安心して暮らすには、少しでも貯金を残しておくことが重要と言えます。
年代ごとの平均貯金を見るとある程度は計画的に貯金をしている人が多いと言えますが、貯金ゼロの割合を見ると意外と高い割合に。貯金ゼロの人たちは、年金収入だけでは老後の生活費を補い切れません。
老後にやばいという状況に陥らないためにも、計画的に貯金するように心掛けましょう。