独身者は自分の生活費だけしかかからないため、既婚者よりも貯蓄しやすい環境にあると考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、意外と独身者の生活費はかかるため、計画的に貯蓄していないと老後を迎える際に後悔することになるので注意が必要です。
そこで今回は、独身者の平均的な貯蓄や生活費はいくらなのか、独身者の実態について解説します。
独身者の平均的な貯蓄や生活費はいくら?
生涯独身者だった場合、生活費が一人分で済むため、既婚者より貯蓄しやすい環境にあると考えている人は多いと思います。
しかし、一人暮らしでは、食事を外食で済ませるケースも多く、生活費がかかりやすいので注意が必要です。
そのため、生活費がかかりやすいということは、それだけ手元に残るお金も少なくなるため、老後を安心して迎えるために必要な貯蓄を行いにくいと言えます。
独身者はどのくらいの貯蓄をしていて、生活費はどのくらいかかっているのでしょうか?
独身者の貯蓄額と生活費について詳しく見ていきましょう。
20代の貯蓄額
金融広報中央委員会が公表している令和元年(2019年)「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)」によると、20代の貯蓄額は以下のようになっています。
- 平均値:106万円
- 中央値:5万円
20代は働き始めてすぐなので、得られる給料もそこまで多くありません。
さらに、奨学金返済や一人暮らしの費用などがかかるため、貯蓄に回せる余裕があまりないと言えます。
そのため、20代の独身者の貯蓄額は低い水準となっており、金融資産非保有者が45.2%もいます。
なかなか厳しい現状ですが、少しずつでも貯蓄を行っていく習慣を身につけましょう。
30代の貯蓄額
30代の貯蓄額は以下のようになっています。
- 平均値:359万円
- 中央値:77万円
30代は働き始めてからしばらく経過しており、人によっては役職が与えられて収入も安定します。
そのため、30代の独身者の貯蓄額は20代と比べて大幅に増えており、金融資産非保有者は36.5%と減少。
既婚者は20~30代にかけて結婚や子供の出産、住宅の購入などのライフイベントによって支出が増えやすくなります。
しかし、独身者は住宅の購入はあっても、それ以外はないのでこの時期に貯蓄を積極的に行うのが重要と言えるでしょう。
40代の貯蓄額
40代の貯蓄額は以下のようになっています。
- 平均値:564万円
- 中央値:50万円
30~40代は、賃貸住宅で暮らしていた人たちが収入の安定とともに住宅の購入を検討する時期と言えます。
そのため、住宅ローンの頭金拠出で一時的に金融資産の割合が少なくなることも影響して、金融資産非保有者が30代よりも増えて40.5%になります。
住居を賃貸のままにするか、持ち家に変更するかという判断は、老後の支出に大きな影響を与えるので簡単にできるものではありません。
そのため、どちらがいいか悩んだ場合には、不動産会社に相談することも選択肢の1つと言えるでしょう。
50代の貯蓄額
50代の貯蓄額は以下のようになっています。
- 平均値:926万円
- 中央値:54万円
50代は最も収入がピークに達する時期なので、貯蓄に回す余裕が出てきます。
そのため、貯蓄額の平均値は40代よりも大幅に増えており、金融資産非保有者が37.2%と40代より低下します。
既婚者は、40~50代に住宅ローンの返済や車の買い換え、子供の進学などの支出が一気に発生するため、この年代の貯蓄にあまり余裕がありません。
しかし、独身者は住宅ローンの返済や車の買い換えはあっても、進学費用は発生しないため、貯蓄のチャンスと言えます。
そのため、もしこの年代までの貯蓄が不十分で合った場合は、ここでしっかり貯蓄を行っておきましょう。
60代の貯蓄額
60代の貯蓄額は以下のようになっています。
- 平均値:1,335万円
- 中央値:300万円
60代は退職に向けて給与が下がる人もいますが、退職金が手に入る人も多いので貯蓄額の平均値・中央値ともに上昇しています。
そのため、金融資産非保有者も29.8%と、ついに30%を割りこみます。
ただし、ここから正念場です。
定年を迎えて退職してからは、年金収入と貯金を崩しながらの生活になります。
少子高齢化によって退職後の期間が長くなっているため、安心して老後を暮らすためにもより多くの貯蓄を残しておきましょう。
34歳までの生活費
続いて、総務省統計局の公表している令和元年(2019年)「家計調査年報」を見てみると、34歳までの独身男性の消費支出は16万7,710円となっています。
一方、独身女性は17万8,958円となっており、男女平均は17万2,324円です。
消費支出は人によって大きく異なるため、「これよりも多い・少ない」という人もいると思います。
少ない人は問題ありませんが、多い人は貯蓄を少しでも速やかに行うためにも、消費支出を見直した方が良いと言えます。
退職後は限られた年金収入の中で生活しなければならないため、早いうちに無駄な支出を減らした生活に慣れておくことが重要と言えるでしょう。35~60歳までの生活費
35~60歳までの独身男性の消費支出は18万7,294円、独身女性は19万1,028円となっています。
なお、男女平均は18万8,697円です。
勤続年数とともに収入が増えたことで、生活水準を35歳になってから高くしたことによる支出の増加が理由として挙げられます。
他にも、住宅ローンの返済や自動車ローンの返済も理由として挙げられます。
独身者は子供の進学費が発生しないため、その分の支出を抑えることができますが、収入に対する生活費の割合が少ないからと言って、安易に支出を増やすのは危険です。いくら収入と生活費を比べて余裕があっても、無駄遣いせずにしっかりと貯蓄することが老後に安心して暮らすためにも必要不可欠と言えるでしょう。
60歳以上の生活費
60歳以上の独身男性の消費支出は15万2,747円、独身女性は14万6,425円となっており、男女平均は14万8,601円です。
住宅ローンや自動車ローンなどの支払いが終わっている人が多いため、これまでの支出と比較すると大幅に減少します。
支出が減った分、余剰資金を貯蓄に回すことが重要ですが、さらに生活費に無駄がないのか見直しておくことも重要です。老後に得られる年金は支出平均より下回っているのが一般的なので、どのように生活していくか、資金計画をしっかり立てておきましょう。
計画的に貯蓄することが重要
独身者と既婚者の生活費を比較した場合に、単純に既婚者の生活費を2で割れば独身者の生活費になるというわけではありません。
住居費は、独身者と既婚者を比較してもそこまで大きく変わらないため、独身者の生活費は既婚者の3分の2程度と高くなります。
得られる年金収入は独身者よりも既婚者の方が多く、老後の収入と支出の割合を考えると独身者の方が不利です。
そのため、独身者は現役時代にしっかりと貯蓄しておかないと、老後の生活が苦しくなってしまうので注意が必要です。
収入が不足しているのであれば転職を検討する、アルバイトを始める、貯蓄を増やすために投資を始めるなど、安心して老後を迎えるためにも計画的に老後に備えておきましょう。
まとめ
独身者は既婚者と比べて毎月発生する生活費が少ないですが、決して半分になるわけではありません。
その理由は、独身者の住居費と既婚者の住居費はあまり変わらないためです。
ただし、40代になると既婚者は子供の進学や住宅ローンの支払いなどの支出が重なるため、なかなか貯蓄を行うことができません。
その点、独身者は進学費用が発生しないのでその分貯蓄を増やすことが可能です。
この時期に、生活費を引いた資金に余裕があると勘違いして散財していた場合には、老後を迎えた時に後悔することになります。
老後を安心して暮らすためにも、しっかり貯蓄の計画を立てておきましょう。