ライフイベントや老後に備えるために貯金や貯蓄に取り組んでいる人も多いと思います。
しかし、貯金や貯蓄に取り組むと言っても、設定目標金額が分からない人も多いのではないでしょうか?目標金額が決まっていないと、逆算できないため、各年代の貯金・貯蓄状況を把握しておくことが重要です。
そこで今回は、貯金・貯蓄が500万円は少ないのかどうか、各年代の貯金・貯蓄状況を解説します。
貯金・貯蓄が500万円は少ない?
バブルの頃は銀行の利息も良かったため、退職後は年金と利息で悠々自適に暮らすことを夢見て現役時代に必死に働いている人が多くいました。
しかし、現在は銀行の利息がメガバンクの普通預金金利で0.001%と大幅に下がっており、1億円預けたとしても1,000円の利息しか受け取ることができません。
そのため、将来に備えるためにも貯金や貯蓄が重要と言えますが、どのくらい貯金や貯蓄を行えば良いか分からない人も多いのではないでしょうか?
「老後は年金ももらえるので500万円あれば十分では?」と考える人もいると思いますが、不足していた場合には将来困ることになるので各年代の貯金・貯蓄状況を把握することが重要です。
金融広報中央委員会が公表している令和元年(2019年)の「家計の金融行動に関する世論調査」の結果で各年代の貯金・貯蓄状況を確認してみましょう。
20代の貯金・貯蓄状況
20代の単身世帯の貯金・貯蓄の平均は106万円、中央値は5万円となっています。
一方、二人以上世帯の平均は165万円、中央値は71万円となっています。
平均値と中央値の差が開いているのは、極端に貯金額が多い人がいるとその人に平均値が引き寄せられてしまうためです。
単身世帯の金融資産非保有者の割合は45.2%、二人以上世帯は22.9%となっています。
つまり、平均値は100万円を超えていますが、単身世帯で約4割、二人以上世帯で約2割が金融資産なしと格差が大きいのが現状です。
20代で貯金・貯蓄が500万円以上の世帯の割合を調べると、単身世帯5.1%、二人以上世帯10.5%となっています。20代はまだ収入が少ないため、その中から生活費や奨学金の返済などを行うと、なかなか貯金・貯蓄ができません。
そのため、20代は無理のない範囲で貯金・貯蓄を行いましょう。
30代の貯金・貯蓄状況
30代の単身世帯の貯金・貯蓄の平均は359万円、中央値は77万円となっています。
一方、二人以上世帯の平均は529万円、中央値は240万円となっています。
単身世帯の金融資産非保有者の割合は36.5%、二人以上世帯は15.8%と、20代と比べると減少しているのが特徴です。
これは、30代になると収入が安定してきており、貯蓄に回す余裕が出てきたためと言えます。
30代で貯金・貯蓄が500万円以上の割合を調べてみると、単身世帯24.0%、二人以上世帯31.0%となっています。30代の貯金・貯蓄が増えるのは、収入が安定する影響が大きいと言えるため、この時期にしっかりと貯金・貯蓄を行うことが重要と言えるでしょう。
40代の貯金・貯蓄状況
40代の単身世帯の貯金・貯蓄の平均は564万円、中央値は50万円となっています。
一方、二人以上世帯の平均は694万円、中央値は365万円となっています。
単身世帯の金融資産非保有者の割合は40.5%、二人以上世帯は18.7%と、30代と比べると増加しているのが特徴です。
これは、40代になると住宅ローンの返済や子供の進学費用が発生するためと言えます。
40代で貯金・貯蓄が500万円以上の割合を調べてみると、単身世帯25.1%、二人以上世帯39.2%となっています。40代は支出増を理由に金融資産非保有者の割合が高くなりますが、貯金・貯蓄が500万円以上の割合は増加。
この結果から支出増の影響を受けないためには、計画的な貯金・貯蓄を行うことが重要と言えるでしょう。
50代の貯金・貯蓄状況
50代の単身世帯の貯金・貯蓄の平均は926万円、中央値は54万円となっています。
一方、二人以上世帯の平均は1,194万円、中央値は600万円となっています。
単身世帯の金融資産非保有者の割合は37.2%、二人以上世帯は21.8%と、40代と比べると単身世帯は減少、二人以上世帯は増加となっているのが特徴です。
これは、50代の単身世帯は進学費用がかかりませんが、二人以上世帯は最後の進学費用が発生するためと言えます。
50代で貯金・貯蓄が500万円以上の割合を調べてみると、単身世帯29.6%、二人以上世帯48.0%となっています。50代になると二人以上世帯の中央値が500万円突破。
貯金・貯蓄が500万円以上の割合も50%弱まで増えているため、老後に向けて最後の踏ん張りどころと言えるでしょう。
60代の貯金・貯蓄状況
60代の単身世帯の貯金・貯蓄の平均は1,335万円、中央値は300万円となっている一方、二人以上世帯の平均は1,635万円、中央値は650万円となっています。
単身世帯の金融資産非保有者の割合は29.8%、二人以上世帯は23.7%と、その差が徐々に狭くなっているのが特徴です。
これは、50代で単身世帯の支出が比べて少なかった影響が大きいと言えます。
60代で貯金・貯蓄が500万円以上の割合を調べてみると、単身世帯42.1%、二人以上世帯51.2%となっています。まずは500万円を目標に貯蓄・貯金を始めて、余裕があれば50~60代の支出が少ない時に最後のラストスパートを行いましょう。
確実に貯金・貯蓄を増やす方法
貯金や貯蓄を増やすと言っても、ライフイベント関連の支出が生じる、給料を増やすことが容易ではないため、なかなか貯金や貯蓄を増やすことが難しいと言えます。
しかし、そんな状況でも以下の3つの方法に取り組めば貯金や貯蓄を確実に増やすことが可能です。
- 支出を減らす
- 収入を増やす
- 積立を行う
それぞれの方法について詳しく解説します。
支出を減らす
ライフイベントによる支出を減らすと支障が生じますが、日常生活の支出を減らすことは誰でも簡単に取り組むことができます。
例えば、電気やガス、通信費の見直しです。
電気やガス、通信費などは大手以外の第三者に切り替えると、大幅に支出を抑えることが期待できます。
また、キャッシュレス決済が本格化しましたが、キャッシュレス決済は現金がない状況でも買い物ができてしまうため、無駄な支出が増えやすくなります。
支出を抑えたい場合は、なるべく使わないようにするのも1つの選択肢と言えるでしょう。
収入を増やす
会社から受け取る給料は年功序列なので、そう簡単には増えません。
しかし、本業とは別にアルバイトを始めれば収入を増やすことが可能です。
休日がハッキリしている本業の場合は、シフトを入れやすいため、アルバイトをしやすいと言えます。
「アルバイトは労働対価が釣り合っていない」と前向きに慣れない人はクラウドソーシングも1つの選択肢です。
クラウドソーシングは、自宅で企業や個人から仕事依頼を受けて報酬を受け取る方法です。自宅で取り組めるだけでなく労働対価が釣り合っている案件も多いため、効率良く収入を増やせるでしょう。
積立を行う
収入から支出を引いて残った金額を貯金や貯蓄に回している人もいるかもしれませんが、この方法は支出が優先になるのでなかなか計画通りにいきません。
そのため、貯金や貯蓄を優先したい場合には、毎月収入から積立金額を引いて残った金額を貯金や貯蓄に回せば確実に増やすことが可能です。
計画を立てることが苦手な人の場合には、積立を始めることをおすすめします。
まとめ
将来に備えるために、貯金や貯蓄を行っている人もいると思いますが、一体いくら貯めれば安心なのか分からずに悩んでいる人も多いと思います。
60代を迎えた時の貯金や貯蓄を行う人の金額の割合を見ると、500万円以上が半数程度を占めています。500万円の貯金や貯蓄があれば老後を迎えても安心というわけではありません。
500万円を最低目標として、余裕があればそこからさらに上乗せしていくような貯金や貯蓄の計画を立てましょう。