老後は、資産運用といった取り組みをしていない限りは、年金収入に頼ることになります。
しかし、人生100年計画を立てるためには、年金だけでは足りません。
そのため、退職後も働く、または起業して不足分の収入を補おうと検討している人も多いと思いますが、老後の起業は問題ないのでしょうか?
そこで今回は、老後起業のメリットとデメリットについて解説します。
老後の起業は問題ない?
投資信託や不動産投資などを行っている場合には、退職後も年金以外の収入がありますが、そのような資産運用を行っていない場合には、年金収入だけに頼ることになります。
しかし、平均寿命の延びによって人生100年計画を立てなければならない現状では、年金収入だけで老後の生活費を補うことは容易ではありません。
では、どうすれば生活費を補うことができるのでしょうか?
そこで登場するのが、老後に完全にリタイアするのではなく働くという選択肢です。
完全にリタイアすれば収入が0になりますが、体力がある間に働けば少しでも収入を補うことが可能です。しかし、定年を迎えた後に雇用先を探すことは、なかなか容易ではありません。
そのため、起業を考えている人もいると思いますが、老後の起業は問題ないのでしょうか?
老後に起業する場合のメリットとデメリットについてまずは見ていきましょう。
老後起業の3つのメリット
老後起業には主に以下の3つのメリットがあります。
- 安定した収入が期待できる
- 経験を活かせる
- 生きがいを感じられる
それぞれのメリットについて詳しく説明します。
安定した収入が期待できる
投資信託や不動産投資などの資産運用をしていない場合には、老後の収入が年金収入だけになります。
老後の生活費と老後の年金収入を比較すると、老後の生活費が上回っているケースが多く、基本的には貯金を生活費に回しながら生活することになります。老後の期間が長くなると、いずれは貯金が底をつくことに。
しかし、起業して少しでも収入を補うことができれば、貯金を万が一の事態が起きた場合の保険として手元に残しておくことができるでしょう。
経験を活かせる
一度定年を迎えてから次の雇用先を探す場合は、年齢を理由に断られる可能性が高いと言えます。
また、ようやく雇用先を見つけても、その雇用先の業務内容を1から覚えなくてはならない可能性もあります。
しかし、自身の過去の経験を活かして起業すれば、年齢を理由に断られることも業務内容を覚える必要もありません。
退職の時期も自分で決められるだけでなく、自分のできることだけに取り組めば良いため、働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。
生きがいを感じられる
朝から晩まで仕事に取り組んでいた日々と比べて退職した後の日々は退屈です。
趣味がある場合は、それに没頭して退屈をしのぐことも可能ですが、基本的には時間を持て余します。
しかし、起業して仕事の依頼が入れば、退屈せずに済むだけでなく生きがいを感じることにつながります。
ワークライフバランスを調整することで、充実した老後の生活を送ることができるでしょう。
老後起業の3つのデメリット
老後起業には、安定した収入が期待できる・経験を活かせるなどのメリットがありましたが、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
老後起業には主に以下の3つのデメリットがあります。
- 支出が多くなる可能性がある
- 健康トラブルが生じる可能性がある
- 時代の流れに対応できない
それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
支出が多くなる可能性がある
老後どこかに勤める場合は、基本的に支出が生じることはありませんが、自分で起業する場合は、オフィスを構える費用や人件費などの支出が生じる可能性があります。
退職と同時にある程度の顧客を確保できていて、収入が確保できている状況では、これらの支出があっても問題ありません。
しかし、1から顧客を獲得する状況では、これらの支出はリスクが高いと言えます。
また、起業するにあたって揃えるものが多くなると、支出が膨らんで生活費を圧迫する可能性もあるので注意が必要です。
健康トラブルが生じる可能性がある
平均寿命が延びていると言っても、健康寿命とは別です。
そのため、いつまでも元気で働けるとは限らないので注意しなければなりません。
起業して仕事依頼を受けたのはいいものの、体力的な衰えが原因で納期が遅れては意味がありません。
また、途中で体調を崩す、病気になって入院する可能性もあるため、しっかり対策を練っておく必要があります。
周囲に迷惑をかけて信頼を失う、納期の遅れで損害が生じてしまうと本末転倒になるため、それらのリスクを踏まえた上で起業する必要があるでしょう。
時代の流れに対応できない
会社に勤めている場合は、業務を従業員全員で補うことができます。
そのため、苦手な部分があればそれが得意な人に補ってもらうことが可能です。
しかし、自身で起業した場合は、従業員を雇わない限りは全ての業務を自身で行わなくてはなりません。
特に近年はIT技術が進歩しているため、時代の流れに対応できない可能性があるので注意が必要です。
老後起業の2つのポイント
老後に起業することには、メリットだけでなくデメリットがあることが分かりました。
もし老後に起業する場合には、これらのデメリットを踏まえながら取り組む必要がありますが、何かポイントはあるのでしょうか?
老後起業の失敗を防ぐためには以下の2つのポイントを押さえておくことが重要です。
- なるべく資金を少なく抑える
- 無理のない範囲で依頼を受ける
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
なるべく起業資金を少なく抑える
起業するにあたって多くの自己資金を拠出してしまうと、老後の備えとして重要な貯金や退職金を減らすことになります。
そのため、少しでも貯金や退職金を減らさないためにも、なるべく起業資金を少なく抑えることが重要です。
例えば、事務所を新たに構えるのではなく自宅を事務所にする、パソコンを買い替えないで個人のパソコンを仕事用に変更するなどです。
このように少しでも起業資金を少なく抑えるように心掛ければ、貯金や退職金を少しでも減らさずに済むでしょう。
無理のない範囲で依頼を受ける
起業すると、少しでも多く仕事依頼を受けたいと考えがちですが、加齢とともに体力的な衰えや能力的な衰えも目立ってきます。
そのため、多く仕事依頼を受けても、納期までに対応しきれずトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。
老後起業した場合には、自分の能力を過信するのではなく、無理のない範囲で依頼を受けることが重要です。相手に迷惑をかけないためにも、自分を守るためにも無理をしない範囲で仕事に取りかかりましょう。
まとめ
人生100年計画を立てる場合には、年金だけでは老後の生活費を補いきれないため、貯蓄を増やすか、老後の収入を確保する必要があります。
老後の収入を確保する方法には、退職後に雇ってもらう、自身で起業するといった選択肢がありますが、退職後に雇ってもらうことは容易ではありません。
起業すれば、安定した収入が期待できる・経験を活かせるなどのメリットが期待できる一方、支出が多くなる可能性がある・健康トラブルが生じる可能性があるというデメリットが。起業に失敗して貯金や対処金など老後の大切な資金を失っては意味がないため、なるべく資金を少なく抑える・無理のない範囲で依頼を受けるなどを心掛けながら起業しましょう。