あなたは老後を迎える際の住居として、持ち家or賃貸のどちらを選びますか?
持ち家にも賃貸にも、それぞれのメリット・デメリットがあります。
どちらを老後の住居に選ぶかによって、老後生活は大きく異なるでしょう。
特に持ち家で老後を迎える場合、固定資産税という税金が発生します。
固定資産税の仕組みを理解していないと、予想外の支出に苦しむことになるでしょう。この記事で固定資産税への理解を深めて、老後の住居選びに役立ててください。
固定資産税の概要と計算方法
固定資産税への知識は、老後を迎える前にしっかりと整理しておきましょう。
最近は老後も働き続ける人が増えていますが、現役時代ほどは稼げなくなります。
さらに、年金が予想以上に少ないことで、厳しい生活を強いられることもあるでしょう。
老後生活とお金に関する不安や問題は、常に背中合わせといえます。
そんな中、多くの人が見落としがちな支出が「固定資産税」の支払いです。
固定資産税を想定していないと、老後資金に大打撃を与えてしまいかねません。そこで、まず最初に固定資産税の基本的な概要や、計算方法をみていきましょう。
固定資産税が発生するケース
そもそも、固定資産税は、どんな人に対して発生する税金なのでしょうか?
固定資産税の支払い義務が生じるのは、下記の条件に当てはまるケースです。あなたが以下の条件に該当するかどうか、確認してみてください。
- 土地や家屋などの不動産を所有している
- 事業で使用する設備や機械を所有している
あなたは老後に、固定資産税の支払い義務が生じる可能性がありそうですか?
もしも可能性があるなら、早い段階で固定資産税への理解を深めておくべきです。
固定資産税が発生しないケース
固定資産税は、毎年元日に固定資産課税台帳に所有者登録された人に課せられます。
そのため、賃貸にお住いであれば、固定資産税の支払いは生じません。
- マンション
- アパート
- 一戸建ての賃貸
老後を賃貸で過ごす人は、固定資産税の支払いを心配しなくても大丈夫です。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法は下記を参考にしてください。
- 固定資産税=固定資産税評価額(課税標準)×標準税率1.4%
土地の所在地によって都市計画税という税金が課税されることもあります。
上記で注目して欲しいのは「固定資産税評価額」という言葉。
固定資産税評価額に関して、詳しく知らない人は、消して少なくありません。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は市町村長が価格を決めています。
土地を所有している場合は、下記を参考にするのがいいでしょう。
- 毎年3月末に国土交通省が発表する土地の公示価格
- 都道府県が調査する地価の標準価格
また、所有物が家屋の場合の計算方法は、以下を参考にしてください。
- 家屋を再建築した場合に想定される費用
- 家屋の劣化が考慮される
上記を踏まえて計算されるのが一般的です。
目安として、建築費の5割~7割の価格になることが多いでしょう。
ただし、土地や家屋は価格が変動することもあります。
そのため、評価額は3年に1回のペースで見直されることも覚えておきましょう。
標準税率とは?
固定資産税の計算方法の中に「標準税率」という言葉がありましたね。
この標準税率は基本的に1.4%で固定されていると考えて問題ありません。ただし、財政難の地域では、税率が高くなるケースもあるようです。
不安な要素がある人は、お住いの地域の役所で確認することをおすすめします。
老後における固定資産税との向き合い方
持ち家があれば、老後の住居に関する不安は少ないように感じますよね。
実際に住宅ローンの支払いを終えていれば、発生する家賃やローンはありません。
そのため、老後も賃貸物件に家賃を払い続けるよりもお得なこともあります。
しかし、持ち家には修繕や固定資産税が生じることを忘れてはいけません。
そこで、老後生活における固定資産税との向き合い方をみていきましょう。
固定資産税はゼロにならない
固定資産税は基本的に以下のような減価償却が考慮されます。
- 木造住宅:約20年
- 鉄筋住宅:約47年
中古住宅の場合、償却期間を超えた物件は資産価値ゼロと判断されることもあります。
しかし、この償却年数を超えた物件に対しても、固定資産税はゼロになりません。
資産価値がない物件にも、固定資産税が発生することは覚えておく必要があるでしょう。
ただし、建物の価値が20万円以下の場合は免税されることもあります。
不動産投資の物件にも固定資産税は発生する
マンションの部屋を購入していたり、不動産投資をしている人にも固定資産税は生じます。
都内のワンルームマンションの場合、固定資産税の目安は毎年5、6万円程度でしょう。
これくらいの金額なら、特に問題ないと感じますよね?
しかし、これは月にして毎月4,000円ずつ赤字が生じ続けるということ。
特に不動産投資の場合、借り手が見つからずに空室が続くこともあるでしょう。
この場合、空室で収入を得られない上に、固定資産税を支払う必要もあるのです。
不動産に投資している人は、この点も覚えておくべきでしょう。
家賃収入で老後生活を組み立てる際の注意点
都会の単身向けマンションは、居住希望者の多い優良物件が非常に多いのが特徴です。
そのため、都心などの街の中心部のマンション購入を検討している人も多いでしょう。
購入したマンションを単身者に貸し出せば、継続的な家賃収入が見込めます。
ただし、購入した物件に空室があると、家賃設定を下げることもあるでしょう。
また、空室の状態が続くと、ローンの返済計画も大きく乱れるリスクもあります。
その上に固定資産税が生じるということを考慮した上で、検討してください。
老後に想定外の支出があっても、想定外の収入は少ないはずです。
持ち家の人が注意すべき固定資産税以外の老後の支出
ここまでに、老後に向けた固定資産税に関する知識を中心にお話してきました。
老後の生活に安心感が得られない人は、少なくとも、その原因は明確にしておくべきです。
人によっては、持ち家や不動産を所有していることがデメリットになることもあります。
所有物件がある以上、固定資産税がゼロになることはありません。そのため、固定資産税が老後資金を圧迫するケースは決して珍しくないのです。
また、老後資金に打撃を与える要素は固定資産税だけではありません。
老後の生活を圧迫しかねない他の要素についても、合わせて知っておきましょう。
定年後に残したローンの返済
定年後に住宅ローンを残しておくことは、リスキーな判断であると言えるでしょう。
住宅ローンは最長返済期間が35年で、完済時の年齢が80歳を想定した商品が多いです。仮に40歳時に35年のローンを組んだ場合、支払いを終えるのは75歳になります。
65歳まで働いても、その後10年間のローンが残ってしまいます。
退職する年齢を超えても返済を残すことは、老後生活を圧迫する原因になります。
できるかぎり、期間短縮型の繰上返済を検討するべきだといえるでしょう。
家の修繕・メンテナンス費用
持ち家の場合は定期的に「修繕・メンテナンス費用」が生じます。
1回の修繕費用の目安は以下を参考にしてください。
- マンションの場合:200万円~360万円
- 一戸建ての場合:320万円~560万円
さらにマンションの場合は、毎月の管理費・修繕積立金も発生します。
そして、当然ながら、固定資産税も支払わなければなりません。
住宅ローンを完済すれば、必ずしも老後の住居費がゼロになるわけではありません。それを忘れることがないように注意してください。
まとめ
老後資金を左右する「固定資産税」の注意点や基本的な概要をご紹介しました。
老後生活での想定外の支出は、資金面への大打撃を与えるリスクがあります。
特に固定資産税を理解していないと、急な支出に対応ができません。しかし、事前に正しい理解を持っていれば、落ち着いて対応することができます。
老後に向けて、固定資産税への理解は深めておくべきといえるでしょう。