現在の日本人の平均寿命は83歳とも言われています。
仮にあなたが60歳で定年退職をした場合、23年間も老後生活が続く計算です。
最近は定年後も働き続けるという価値観が支持されてきました。
しかし、老後生活は、病気や事故のリスクが高まるため、油断はできません。
いつまでも働けるレベルの健康が保てるわけではないのです。
それに追い討ちをかけるように、税金の高騰も止まる気配はありません。
そのため、老後に向けたお金の管理は計画性が重要なのです。
老後資金に対して「なんとかなる」という考え方は通用しません。苦しくて悲惨な老後を避けるためにも、正しい知識と対処法を備えましょう。
老後を崩壊させる「なんとかなる」という考え方
老後に「なんとかなる」は通用しない
近年、老後破産を申請する高齢者が増えています。
経済的な自立ができなくなると、生活保護などの援助が必要になります。そうなると、残る選択肢は、老後破産しかありません。
そんな老後破産を経験した人の考え方には、ある共通点があります。
老後破産者の共通点「なんとかなる」の危険性
老後資金が「なんとかなる」と考えているなら、注意してください。
その考え方は、老後破産に共通してみられる特徴そのものといえるでしょう。
これは、現役時代に大企業で勤めていた高収入の人も同じです。
退職前の年収が多くても、老後への意識次第で老後破産のリスクは避けられません。考え方次第で、誰もが老後破産のリスクを抱えているといえるでしょう。
老後破産のリスクをチェックしよう
あなたは老後に対して、次のように感じることはありませんか?
- 同じ年代の平均収入は超えているから老後の心配はない
- なんとかなるとは思わないけど、そこまで心配もしていない
- 自分なら老後問題もなんとかなる自信がある
こんな風に考えている人は、いくら年収が高くても注意してください。
あなたは老後に向けて貯蓄がいくら必要か把握していますか?
また、保険やローンの契約などに関する知識に不明点はないでしょうか。
老後破産をする人の多くは「自分が平均的」だと錯覚している人です。
老後破産は「年収」ではなく「意識」で回避できる
年収が3,000万円でも、老後を甘くみている人は、貯蓄の優先順位は下がります。
そのため、老後を迎えても貯蓄が数十万円しかないような事態になりかねません。
反対に年収が500万円でも、意識次第で必要な老後資金を準備することはできるでしょう。
老後の年収は現役時代よりも確実に下がる
最近では、退職後も働き続ける人が増えています。
老後も収入を確保できるので、老後資金貯に不安がある人は、定年後も働くべきです。
しかし、個人差はあれど、収入は現役時代よりも確実に下がるでしょう。
また、老後は健康面のトラブルが発生するリスクも高まります。
いつまで働けるのかを正確に予測することは、現実的に難しいと言えるでしょう。現役時代に高収入だった人ほど下流予備軍のリスクが高い
老後は年収が下がることを、現実的に受け入れてください。
これができていない人は、下流予備軍のリスクを抱えているといえます。
ここで下流予備軍という言葉の意味を整理しておきましょう。
- 生活保護基準相当で暮らす高齢者
- または上記の恐れがある高齢者
上記を下流予備軍と呼びます。
首都圏で老後が1人暮らしの場合、生活保護だと毎月13万円程度の支給があります。医療や介護などのサービスは別途、現物支給でされ、一部税金も免除されます。
老後生活をこの条件で過ごすのは、決して楽なことではありません。
現役時代と退職後の収入差を事前に把握しよう
現役時代の年収が1,000万円弱ある人も、年金生活の収入は約200万円程度です。これほど収入が激減する以上、生活を保つためには貯蓄で補うしかありません。
そのため、老後に激減した収入の不足分は、退職前に準備しておきましょう。
計画的な貯蓄をせずに「なんとかなる」と思っていると、下流老人にまっしぐらです。
下流老人になるリスクは簡単にチェックできるので、次の項目で確認してください。
老後に地獄を見る可能性をチェック
あなたは次の3つの質問に即答できますか?
- 世帯の毎月の支出額はいくら?
- 前年度の1年間で貯蓄できた金額は?
- 60歳の時点で残っている住宅ローンの金額は?
上記に対して、すぐに答えることができない人は危険です。
本人は老後に対して「なんとかなる」なんて思っていないかもしれません。
しかし、上記の質問に即答できない人は、老後資金への意識が低いといえるでしょう。
答えられる金額は万単位で構いません。
ざっくりとした金額でいいので、常に把握するように意識を高めましょう。すぐに答えられなかった人は、下流老人になるリスクが高いという自覚を持ってください。
「なんとかなる」ではなく「なんとかする」ことが大切
定年間際になって、老後資金の不足を嘆いても、急に問題が解決するわけがありません。
老後資金は、若いうちから意識的に貯蓄しはじめるのがベストです。高齢者の方は老後を「なんとかなる」と甘くみていると、老後に地獄をみます。
老後の危険は「なんとかなる」の意識を「なんとかする」に切り替えることが大切です。
そこで、老後に向けて意識するべきポイントや、老後生活の注意点をご紹介します。
これを読んだなら、すぐに生活に取り入れて、老後への準備をスタートさせましょう。
預金額を正確に把握して「錯覚」を予防する
普通預金口座にお金があれば、実際は毎月赤字が生じても、生活はできてしまいます。
この「生活ができている」という実感は、やがて理由なき自信と錯覚を生むでしょう。
毎月貯蓄をしつつ、目標の不足分をボーナスで補填するという1年を送ったとします。
この場合、預金額が大きく減らない人も決して少なくないはずです。
預金額が減らなかったということは、貯金ができなかった証拠であり、現実の結果です。
しかし、預金が減らずに生活に困ることがないため、危機感を感じられないのです。
貯金ができなかった事実の悪い面から目を逸らして、都合よく解釈してしまうのです。
この場合、現実は「目先のお金がある」だけで「貯蓄は増えていない」ということ。
この錯覚が老後への「なんとかなる」の甘えを生み出す原因になります。
世帯支出額を毎月欠かさず記録する
貯蓄ができていない人は、毎月の支出額額を把握していません。決まった金額を貯蓄に回している人は、給料から自動で貯蓄用口座に回しています。
そのため、毎月の支出金額の計算は簡単ですし、貯蓄額への意識も自然に高まるでしょう。
前年度の貯蓄総額を必ず産出する
仮に、貯蓄目標を「毎月●万円・ボーナス時に●万円」と決めていたとします。
そうすれば、1年間でいくらの貯蓄が増えたか明確に把握することができますよね。
その点、貯蓄の意識が甘い人は、そもそもの貯金目標すら立てていないこともあります。
そうなると、手取り額以上に支出が出ても、赤字の事実にすら気がつかないでしょう。
60歳以降に1000万円以上のローンを残さない
あなたは住宅などのローンを抱えているでしょうか?
または既にローンを組んでいたり、今後、ローンを組む可能性はありますか?
仮にその可能性があるとして、あなたの定年時にローンの残高はいくらほどでしょうか。
ローンを組む人の多くは、ローンの返済終了時が何歳かは覚えているものです。
しかし、定年時のローン残高に無頓着な人は多いのではないでしょうか。
不安があるなら、実際に定年時の住宅ローン残高を調べてみるのがいいでしょう。
その上で、60歳の時点で1000万円以上のローン残高が残っていたら、注意が必要です。
この場合、老後資金のために溜め続けた貯金に手を出すことになってしまいます。
年金と貯金が頼りの老後生活に、ローン返済の負担まで増えたら最悪です。
60歳までにローン残高を1,000万円以下にするように、事前に計画を立てましょう。
まとめ
老後に「なんとかなる」が通用しない理由&老後生活の注意点のお話でした。
老後生活の明暗をわけるのは、今のあなたの老後に向けた資金準備への意識です。
特に、老後に向けた資金準備への意識の低さを自覚している人は、すぐに行動しましょう。
この記事を読んだ時点で、意識を切り替えて、準備を始めることが大切です。
できる限り早くから計画的な貯蓄を進めるようにてください。