これから働き始める人やもうすぐ退職して老後を迎える人の中には、老後資金が足りるか気になる人も多いのではないでしょうか?
「退職金や年金があるから大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、退職金や年金は必ず貰えるものではないので注意が必要です。
そこで今回は、老後資金がいくらあればいいか、必要な額と増やす方法について解説します。年金や退職金だけでは頼りにならない
「老後資金なんて普通に働いていれば、年金や退職金があるから大丈夫」と思っている人も多いかもしれませんが、そうとは言い切れません。
一昔前は、「若い頃に頑張って働いた分、退職後は退職金や年金で悠々自適に暮らす」という人が多かったのですが、最近では貰える年金の額が減少しているので悠々自適とは言えなくなっています。
また、年金や退職金を貰える前提で老後の暮らしについて話をしていますが、それらを必ず貰えるとは保証されていません。
年金と退職金の実体について見ていきましょう。
年金が破綻する可能性
年金制度では、自分が掛けた年金を老後に受け取るという仕組みではなく、現役世代が高齢世代を支えるという仕組みが採用されています。
そのため、戦後の高度経済成長期のようなベビーブームの到来で、現役世代が多い状況では資金源が豊富にあるので問題ありません。
しかし、現在のような少子高齢化では、高齢世代を支える現役世代の数が不足しているので資金源がいずれ枯渇することが予想されます。
現在は、資金源が枯渇しないように資金源を運用して少しでも増やそうとする取り組みが行われていますが、それがいつまでもつかは分かりません。
「貰える年金が年々減額になっていて、このままでは老後に年金を貰えるかわからない」という考えから、年金を掛けない現役世代も増えています。
資金源が枯渇すれば、年金制度が破綻することになるため、老後の生活が困難になると言えるでしょう。
退職金は必ず貰えるとは限らない
「年金を貰えなかったとしても、ある程度退職金が貰えるので問題ない」と思っている人も多いかもしれませんが、退職金は必ず貰えるものではありません。
労働基準法では、退職金を必ず支払わなければならない賃金ではなく、企業が任意に支払うものとしています。
退職金を支払う場合は、その内容を就業規則に記載しておかなければならないため、企業の就業規則に退職金に関する記載がない場合には原則退職金が支払われることはありません。
そのため、「退職後に必ず退職金が貰える」と思って働いていたものの、企業の就業規則に退職金に関する規定がなく支払われないこともあるので注意しましょう。
老後資金はいくらあればいいか
退職金が貰えるからと言って安心してはいけません。
退職金を全部、老後の資金として活用できるのであれば問題ありませんが、住宅ローンの残債が残っている場合などは退職金で完済します。
そうなると、退職金を貰えるといってもそこまで老後資金として残せないので、老後資金をしっかりと確保しておくことが重要です。
40年間務めた夫と、専業主婦の妻というモデル世帯の年金受給額は、約22万1,000円と言われています。
一方、総務省が行った家計調査では、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月の支出は約26万円と言われているため、毎月約4万円不足することになります。
仮に65歳で退職してから85歳まで元気に過ごすと、20年×12ヶ月×4万円=960万円が不足することになります。
しかし、平均寿命が男女ともに80歳を上回って、100歳以上の人口が増加している状況を考えると、100歳までの計画を立てておいた方が無難です。
仮に100歳まで過ごすと、35年×12ヶ月×4万円=1,680万円ですが、それ以外に年金の減額や介護費用などの支出も想定しておく必要があります。
安心して過ごすためには、倍の3,000万円程度は手元にあった方が良いと言えるでしょう。
老後資金を増やすための方法3選
年金や退職金だけでは老後資金が不足するため、老後に向けてしっかり貯めておく必要があります。
しかし、子供の教育資金や車・住宅の購入といった支出が多いため、老後資金を貯めるのはなかなか困難です。
老後資金を増やすには収入を増やす必要がありますが、会社で貰える給料にはある程度の限界があります。
しかし、資産運用であれば、効率良く収入を増やすことができるでしょう。
老後資金を資産運用で増やす際の方法は以下の3つです。
- 銀行預金
- 投資信託
- 不動産投資
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
銀行預金
老後資金を資産運用で増やす方法の1つ目は、銀行預金です。
資産運用における最も大きなデメリットは、資産運用で逆に資産を減らしてしまうことです。
銀行預金では、1金融機関1,000万円までの元本と利息を預金保険機構が保証してくれるため、資産が減る心配もなく安心して運用できます。
「金利がかなり低いので老後の資金を補いきれない」と思った人も多いかもしれませんが、店舗がないネットバンクは、元本保証がありながらも比較的金利が高いのでおすすめです。
メガバンクの定期預金金利は0.01%が一般的ですが、ネットバンクでは0.1%を上回っているところも多いため、減らさずに確実に老後資金を増やしていけるでしょう。投資信託
老後資金を資産運用で増やす方法の2つ目は、投資信託です。
投資信託とは、運用のプロが代わりに資金の運用を行い、得られた利益や配当が分配金という形で支払われるものです。
100円と少額から始められるだけでなく、国内・国外の株式や債券に分散投資を行うため、運用のリスクが低いというメリットがあります。
また、運用のプロが代わりに運用を行ってくれるため、自身で株式の売買などを行う手間を省けるので忙しいサラリーマンでも効率良く老後資金を貯められます。
しかし、投資信託は元本割れのリスクを伴います。
投資信託には利回りが10%を超えるものもあるため、銀行預金よりも効率良く老後資金を貯められますが、うまく運用できなければ資金を減らしてしまうことになるので注意しましょう。不動産投資
老後資金を資産運用で増やす方法の3つ目は、不動産投資です。
不動産投資とは、不動産を購入して家賃収入を得るものです。
「不動産を購入する資金なんてない」と思っている人もいるかもしれませんが、不動産投資は金融機関の融資を受けながら行えるため、自己資金が少ない人でも始められます。
不動産投資では、安定した家賃収入が得られるため、返済完了後は老後の私的年金としての役割が期待できます。
また、返済完了後には不動産が残ることになるため、急にまとまった資金が必要になっても売却によって資金を作ることが可能です。
管理会社に管理を委託すれば手間をかけずに不動産投資を行えるため、忙しくてなかなか資産運用できないサラリーマンでも、効率良く老後資金を増やせるでしょう。まとめ
平均寿命が男女ともに80歳を上回り、国内の100歳を超える人の人口が増えているため、寿命が延びた分の老後の生活費を確保しておく必要があります。年金をアテにしていても、少子高齢化や現役世代が年金を掛けないといった問題で破綻する可能性があるので注意が必要です。
そのため、老後資金がいくらあればいいか、ある程度考えながら資金を確保しておく必要があります。
資産運用を行うのが老後資金を増やすには最も効率的と言えますが、資産運用は元本割れのリスクを伴うものもあるため、特徴をよく理解してから始めましょう。