男女の平均寿命が80歳を超えており、100歳以上の割合が増えたため、人生100年計画を立てる必要が出ています。

年金だけでは老後の生活費を補いきれないため、厚生労働省は自助努力を求めていますが、老後を迎えるまでにいくら貯蓄があれば安心なのでしょうか?

そこで今回は、老後の生活費は月いくらなのか、老後に困らないための対策を解説します

老後の生活費は月いくら?

老後の生活費は月いくら?

国内の平均寿命は、男女ともに80歳を超えました。

女性は90歳を目前にしている状況であるため、老後の生活費が足りなくて困ることがないように、人生100年を想定して老後の計画を立てる必要が出ています

厚生労働省は人生100年計画に対して、年金だけでは老後の生活費が不足するため、老後を迎えるまでに2,000万円の自助努力を求めています。

しかし、本当に2,000万円も老後の生活費が不足するのでしょうか?

60~69歳世帯の消費支出と70歳以上世帯の消費支出、老後の最低日常生活費とゆとりある老後生活費について見ていきましょう。

60~69歳世帯の消費支出

総務省が実施した2018年の家計調査によると、60~69歳世帯の消費支出は、以下のような結果となっています。

  • 食料:76,003円
  • 交通・通信:43,674円
  • 教養娯楽:28,479円
  • 光熱・水道:22,831円
  • 住居:16,679円
  • 保健医療:14,659円
  • 家具・家事用品:11,966円
  • 被服及び履物:9,868円
  • 教育:1,866円
  • その他の消費支出:64,994円

60~69歳の平均消費支出は約29万円となっています。

上記の支出は、大きく基礎的支出と選択的支出の2つに分類されます。

食費や光熱費などは生活に欠かせないので基礎的支出、娯楽費や被服費などは余裕とともに増える選択的支出です。

60~69歳はこの選択的支出の割合が比較的高いと言えます。

65歳までは働いているため、収入もあることから、比較的金銭的に余裕があることが予想されます。

70歳以上の消費支出

総務省が実施した2018年の家計調査によると、70歳以上世帯の消費支出は、以下のような結果となっています。

  • 食料:69,234円
  • 交通・通信:25,919円
  • 教養娯楽:22,794円
  • 光熱・水道:21,882円
  • 住居:14,347円
  • 保健医療:15,135円
  • 家具・家事用品:9,582円
  • 被服及び履物:6,745円
  • 教育:482円
  • その他の消費支出:50,913円

70歳以上の平均消費支出は約24万円です。

70歳以上は、選択的支出の割合が比較的低くなっています

70歳以上は年金以外の収入がなく、生活費の余裕がなくなってこのような結果になったと言えるでしょう。

老後の最低日常生活費

老後の最低日常生活費

60~69歳世帯と70歳以上世帯の消費支出がいくらかなのかが分かりましたが、老後は最低いくらあれば生活できるのでしょうか?

生命保険文化センターが実施した令和元年度「生活保障に関する調査」によると、最低日常生活費は、約22.1万円という結果になりました。

60歳で退職した旦那と専業主婦の妻をモデルにした2019年の年金額は約22万1,500円となっており、最低日常生活費と比較してもギリギリです

では、ゆとりある老後生活を送った場合は、いくら不足するのでしょうか?

ゆとりある老後生活費

同調査によると、ゆとりある老後生活費は、約36.1万円という結果になりました。

旅行やレジャーの費用、身内との付き合い用の費用、趣味や教養などの費用が上乗せされています。

ゆとりある老後を送った場合は、年金モデルと比較すると1ヶ月あたり約14万円不足することになります

仮に60歳で退職して85歳までの25年間元気に暮らした場合、14万円×12ヶ月×25年=4,200万円必要です。

厚生労働省が公表している2,000万円ではとても足りないため、現在の生活費と年金額を比較しながら、不足額を予想して余裕を持って老後に備えましょう。

老後に困らないための対策

老後に困らないための対策

仮に100歳まで元気に暮らした場合は、上記の金額よりもさらに不足額が大きくなるため、しっかりと老後に備えておく必要があります。

しかし、数千万円の貯蓄を老後までに用意することはなかなか容易ではありません。

では、どうすればいいのでしょうか?

そこでおすすめするのが資産運用です。

資産運用の手段として以下の5つが挙げられます。

  • 株式投資
  • 不動産投資
  • 投資信託
  • ソーシャルレンディング社債

それぞれの運用方法について詳しく解説します。

株式投資

株式投資とは、企業が発行して証券取引所に上場されている株式を取引することによって差益を得る運用方法です。

株式の価格変動は大きいため、大きな利益が期待できるというメリットがある一方、予想が外れた場合の損失も大きくなりやすいというデメリットがあります。

株式投資は差益以外にも、配当金や株主優待が期待できます。

配当金や株主優待は、株式を所有しているだけで貰えます。

そのため、業績が安定している企業の株式を所有していれば、差益以外にも配当金や株主優待で効率良く資産を増やせるでしょう。

不動産投資

不動産投資とは、投資用の物件を購入して貸し出すことによって家賃収入を得る運用方法です。

投資用の物件を購入するには、ある程度の自己資金が必要です。

しかし、物件を担保に金融機関から融資を受けられる場合が多く、自己資金が少ない場合でも始められます。

入居者がいる限りは、安定した家賃収入が手に入るため、老後の年金代わりになるといった魅力があります。

また、急にまとまった資金が必要になった時は、売却すれば現金に交換できるため、老後の備えに適していると言えるでしょう。

投資信託

投資信託とは、自ら投資するのではなく、資産運用のプロが代わりに資産を運用してくれる運用方法です。

自身は何もしなくてもいいため、資産運用の時間を確保できない人や知識や経験が少ない初心者でも安心して始められる資産運用と言えます。

しかし、いくら資産運用のプロが資産を運用してくれると言っても、元本が保証されているというわけではありません。

元本割れの可能性も伴っているため、どの投資信託に投資するかしっかり選びましょう。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、資金を必要としている企業に対し、融資を行うことによって利息を受け取る運用方法です。

企業が返済途中で破綻した場合は、元本を回収できなくなる可能性があるので注意が必要です。

ソーシャルレンディングで扱っている案件の中には、担保を提供している企業もあります。

担保を提供している企業を選んで融資を行えば、万が一の事態が生じても、担保から返済を一部受けられるため、破綻リスクを抑えられるでしょう。

社債

社債とは、ソーシャルレンディングと同様、資金を必要としている企業に対し、融資を行うことによって利息を受け取る運用方法です。

こちらもソーシャルレンディングと同様、企業が返済途中で破綻した場合には、元本を回収できなくなる可能性があるので注意が必要です。

また、社債は最低投資金額が大きく、自己資金が少ない人はなかなか容易に取り組みやすい運用方法とは言えません。

自己資金が少ない人の場合は、社債ではなくソーシャルレンディングの方が良いと言えるでしょう。

まとめ

まとめ

老後は、退職後も働いている、資産運用を行っているという状況でない限りは、収入が年金収入だけに限られます。

安心して老後を暮らすには、1月あたりいくらの生活費がかかりいくらの年金で補うのかを事前に把握しておくことが重要です。

年金モデルと60歳~69歳世帯、70歳以上の1月の消費支出を比較すると、年金だけではとても生活できない状況であることが分かります。

老後安心して暮らすのに必要な資金は人によって異なりますが、数千万円の資金をすぐに用意することは困難です。

資産運用を組み合わせて計画的に資金を貯めていきましょう。

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