「安心して老後をゆっくりと暮らせるように、老後資金として1,000万円を貯めておけば十分」と思っている人も多いのではないでしょうか?
老後は年金を継続して得られるため、1,000万円あれば十分に生活できそうですが、老後破産しないためにも本当に1,000万円で足りるかどうか把握しておくことが重要です。
そこで今回は、老後資金が1,000万円で足りるのかどうか、また老後に不自由しないための方法について解説します。
老後の資金は1,000万円では不十分
「1,000万円残していても不十分なの?」と思った人も多いのではないでしょうか?
実際に、定年まで勤めた夫と専業主婦の妻が1ヶ月に貰える年金のモデルケースと、高齢無職夫婦の1ヶ月の支出を比較すると、約4万円不足するという結果になっています。
年金受給が始まる65歳から85歳までの20年間を元気に過ごしたとすると、約960万円が不足することになります。
日本の平均寿命は男女ともに80歳を超えており、100歳以上の人口が増え続けている現状では、100歳を視野に入れた計画を立てることが重要です。
また、病気や介護などで支出が膨らむ可能性があるので注意が必要です。
「支出を抑えれば1,000万円あれば十分なのでは?」と思った人もいるかもしれませんが、そうとは言い切れません。
なぜ言いきれないのかについて詳しく見ていきましょう。
年金が受給されるまで補う必要がある
これまでは年金の受給開始年齢が60歳でしたが、平均寿命が年々伸びている影響などで、65歳に引き上げられました。
一方で、定年に関しては、60歳で退職させて再雇用するまたは定年を引き上げることが義務付けられています。
しかし、解雇事由や退職事由に該当している場合は60歳で退職しなければなりません。
つまり、5年間は全く収入がなくなるため、それを補う必要があるのです。
また、いくら再雇用されてもそれまでの給与水準が維持されるというわけではありません。
支出を伴いながら生活する可能性があることを考えると、1,000万円では不十分であるため、少しでも多く資金を残しておくことが重要と言えるでしょう。
年金制度が破綻する可能性がある
年金制度は、自身が掛けていた分を受給開始年齢になった時に受け取るという仕組みではありません。
年金を掛けている現役世代が退職した人たちを支えるという仕組みになっています。
そのため、高度経済成長期のようにベビーブームなどで子供の人数がどんどん増えている状況では問題ありませんが、現在のような少子化の状況では資金源が不足します。
そのため、現在では資金源を運用することで不足しないように補っていますが、失敗すれば資金源の不足から年金制度が破綻する可能性があります。
そうなると、老後の唯一の収入であった年金を受給できなくなる可能性もあるため、万が一の事態に備えて少しでも多くの資金を残しておくことが重要と言えるでしょう。
老後に不自由しないための方法【支出の削減】
老後に不自由しないためには、少しでも多くの資金を残しておくことが重要です。
そのための方法として挙げられるのが支出の削減です。
支出の削減方法は主に以下の2つです。
- 住宅ローンの見直し
- 保険の見直し
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの見直し
支出を削減する1つ目の方法は住宅ローンの見直しです。
住宅購入時は、自己資金だけでは補いきれないため、住宅ローンを利用するのが一般的です。
住宅ローンには固定金利と変動金利の2種類あります。
固定金利で数年前に住宅ローンを契約した人の中には、現在の金利の方が低くなっている可能性があります。
固定金利で契約すると、返済が完了までは同じ金利が適用されるため、高金利状態では損をします。そのままの契約を続けていると、無駄に多くの支出を抱えることになるため、住宅ローンの借り換えなどを視野に入れることが重要です。
低金利で借り換えた場合は、その後の返済を軽減できるため、その分を老後の資金に回せるようになるでしょう。
保険の見直し
支出を削減する2つ目の方法は保険の見直しです。
万が一の事態が生じた時の備えとして複数の保険に加入している人もいると思いますが、保障内容が被っている場合には無駄な支出と言えます。
また、保障内容も年代で異なるため、ライフプランに合っていない保険に加入していても同様です。
そのため、複数の保険に加入しているのであれば保障内容が被っていないか確認するほか、ライフプランに合った保険か確認するなど、定期的に見直すことが重要です。
そうすると、無駄な保険の支払いを抑えられるため、その分を老後の資金に回せるようになるでしょう。
老後に不自由しないための方法【資産運用】
老後の資金を増やす方法は支出の削減だけではありません。
現役の頃に、資産運用で老後の資金を確保できる状態を作っておけば、老後に不自由しないで済みます。資産運用の方法は主に以下の3つです。
- 投資信託
- 不動産投資
- ソーシャルレンディング
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
投資信託
資産運用の1つ目の方法は投資信託です。
投資信託とは、運用のプロのファンドに代わりに運用してもらうことで利益に応じた分配金を受け取る運用方法です。
投資信託は、100円と少額から運用できるほか、運用のプロが代わりに運用してくれるため、自身で資産運用する手間を省けるというメリットがあります。
また、国内外の株式や国債に分配投資するため、リスクを抑えられることもメリットです。
投資信託の中には、利回りが10%を超えるものもあります。
それらに投資すれば、老後の資金を備えておきやすいだけでなく、分配金を私的年金代わりに受け取れるため、安心した老後の生活につながると言えるでしょう。
不動産投資
資産運用の2つ目の方法は不動産投資です。
不動産投資とは、購入した不動産を貸し出して家賃収入を得る運用方法です。
安定した運用方法であるため、自己資金が足りない場合でも金融機関が融資してくれる可能性があります。
融資を受けた場合でも返済は家賃収入で補えるため、空室が余程生じない限りは問題なく返済できます。
返済が完了した後は家賃収入から経費を除いた全てが収入になります。
家賃収入が私的年金代わりになるほか、売却でまとまった資金を手に入れられるため、安心して老後を暮らせるようになるでしょう。
ソーシャルレンディング
資産運用の3つ目の方法はソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディングは、まだ広く認知されていないため、知らない人も多いと思います。
ソーシャルレンディングとは、社債のように企業に融資することで利息を受け取る運用方法です。
社債との大きな違いは融資の金額です。
社債を購入するにはある程度のまとまった資金が必要ですが、ソーシャルレンディングは数千円または数万円など、社債よりも少額から運用できます。
中には担保によって元本が保証されているものもあるため、リスクを抑えながら安定した利息による収入が期待できるでしょう。まとめ
老後に必要な資金として1,000万円を1つの目安としている人も多いかもしれませんが、老後の年金収入と支出を考えると、1,000万円では安心して老後を過ごせるとは言えません。
老後を不自由なく暮らすためにも、1,000万円以上の資金を残しておくことが重要ですが、低賃金である現状では収入を増やすということは期待できません。
そのため、支出を減らすまたは資産運用で老後の資金を増やしていきますが、資産運用の場合はリスクを伴うため、リスク管理を徹底しながら運用するようにしましょう。