老後に何も備えていない場合には、老後の収入は年金のみです。

1ヶ月の年金収入と支出を比較すると支出の方が多くなるため、少しでも支出を減らしたいと考えている人も多いと思います。

しかし、減らしたくてもそう簡単には減らせないのが税金です。

そこで今回は、老後にどのような税金がかかるのかについて解説します

老後もかかる税金

老後もかかる税金

資産運用をしていたり、自営業などで収入があったりしない限りは、年金が主な老後の収入です。

しかし、夫が退職まで年金を掛けていて、妻が専業主婦というモデルケースで貰える年金と支出を比較すると、支出の方が1ヶ月あたり約4万円多くなるという結果になっています。

そのため、いかに支出を抑えるかが重要と言えます。

例えば、保険を見直す、節約するなどで支出を抑えられますが、支出でなかなか抑えるのが困難なのが税金です。

税金は現役時代だけでなく老後にもかかりますが、現役時代のように収入が多いわけではないため、老後の税金負担は大きなものと言えます。

老後にかかる主な税金は以下の5つです。

老後にかかる税金
  • 所得税(復興所得税)
  • 住民税(市民税・県民税)
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 相続税・贈与税

 

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

所得税(復興所得税)

1つ目の税金は所得税です。

所得税は何らかの収入が発生した場合に課せられる税金ですが、性質によって以下の10種類に分類されます。

所得税の種類
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

 

老後は給与所得が発生することは働いていない限りはありませんが、銀行預金で得られる利息には利子所得、株式を所有していて得られる配当には配当所得など、現役時代と同様に税金が課せられます

収入がある場合は、課税によって収入が少なくなる可能性があるので注意しましょう。

住民税(市民税・県民税)

2つ目の税金は住民税です。

住民税は収入がある場合に限って課税されます。

例えば、現役時代に給与所得を得ていると、給与所得から所得税と住民税が差し引かれ、残った分が振り込まれます。

住民税は、一部の自治体を除いて収入の10%となっています

収入がない場合に住民税が課税されることはありません。

しかし、所得税と同様、何らかの収入がある場合には住民税が課されて収入が少なくなる可能性があるので注意しましょう。

固定資産税

3つ目の税金は固定資産税です。

所得税や住民税では、何らかの収入があってそれに対して課税されるため、マイナスになるということはありません。

しかし、固定資産税は、収入に対してではなく、所有している持ち家などの固定資産に対して課されるため、負担が大きい税金と言えます。

課税額は、「固定資産税評価額の×1.4%」で求めるのが一般的ですが、マンションや戸建といった固定資産を所有し続ける限り納めなければなりません。

老後の年金が少ないことを考えると、固定資産を売却して賃貸に切り替えるなどの対策が必要になるでしょう。

自動車税

4つ目の税金は自動車税です。

自動車税とは、車を所有している場合に課せられる税金で、車の総排気量によって税額を決めます

2019年10月に消費税が8%から10%に引き上げと同時に自動車税の引き下げが予定されているほか、環境性能に優れているエコカーは減税対象となりますが、それでも1年あたり数万円の支出を伴います。

自動車税は車を使っているかどうかに関係なく、所有していれば全員課せられるものです。

そのため、ほとんど使っていないにもかかわらず車を所有し続けている場合は、定年退職をきっかけに車を売却するか、税額の少ない軽自動車やエコカーに車を変更した方が良いと言えるでしょう。

相続税・贈与税

5つ目の税金は相続税・贈与税です。

相続税とは、相続関係にある身内が亡くなった場合に課せられる税金です。

相続する財産が現金ではなく不動産などの固定資産である場合には、相続税は現金で納めるのが原則であるので何かとトラブルになりやすいと言えます。

また、贈与税とは、現金だけでなく株式や不動産などを贈与した場合に課せられる税金です。

自身が贈与する場合には受け取った側に贈与税が課されるので関係ありませんが、自身が受け取る側であった場合には贈与税が課されます。

老後には、自身の両親または配偶者などが亡くなる、終身の準備として贈与をするケースが増えてくるため、相続税や贈与税に注意が必要と言えるでしょう。

年金にも税金がかかる

年金にも税金がかかる

「年金以外の収入がないので所得税が課税されないから良かった」と思った人もいるかもしれませんが、年金にも税金がかかります。

年金は、雑所得という収入に分類されるため、受給額が一定額を超えている場合には課税されることになるので注意が必要です。

税金がかからない年金額は以下の通りです。

  • 65歳未満:108万円以下(公的年金控除70万+基礎控除38万)
  • 65歳以上:158万円以下(公的年金控除120万+基礎控除38万)
自営業で国民年金だけの場合には、満額で1年あたり77万9,300円支給されるため、課税対象になりません

また、支給される年金が遺族年金障害年金の場合は課税されません。

しかし、上記の金額を超える一般的な年金は所得税が課せられることになるので注意が必要です。

2019年10月には消費税が10%に

2019年10月には消費税が10%に

現在の消費税は8%です。5%から10%に増税される予定でしたが、2倍になり消費者の負担が大きくなることを防ぐために、段階的に引き上げたため現在の8%となっています。

2019年10月には、消費税が最終目標の10%に引き上げられることが予定されています。

しかし、消費税の増税に伴って給与所得が増えているわけでも、年金の受給額が増えているわけでもありません

たった2%の増税でも、購入するものの金額が大きくなればそれだけ税額も大きくなるため、住宅や車といった金額が大きな買い物の予定がある場合は、増税前に購入するのも1つの手段と言えるでしょう。

社会保険料も負担になるので注意

社会保険料も負担になるので注意

会社に勤めている場合には社会保険料が給与から引かれていたため、納めているといった自覚がない人も多いかもしれませんが、退職後は自身で納める必要があります。

社会保険料は大きく国民健康保険料・後期高齢者医療保険料と介護保険料に分けられます。

高齢夫婦無職世帯の1ヶ月あたりの社会保険料は1万6,000円程度となっており、大きな支出の1つとなっています。

このように、老後は収入が少ないにもかかわらず、数多くの支出を伴うため、老後の備えをしっかりとしておくことが重要と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

年金の受給額が少しずつ減少しているほか、少子高齢化で年金の資金源が不足しています。

そのため、現在は年金を運用して何とか現状維持している状態です。

年金制度がこのような状況であるため、現役世代の中には、年金に対する不安から年金を掛けない人たちも増えています。

最悪の場合は年金制度が破綻する可能性もあるため、老後に安定した生活を送るためにも年金を補う私的年金を資産運用で作る、もしくは貯金を少しでも多くすることが重要です。

また、税金も含めてどのような支出が生じるのかあらかじめ把握しておけば、老後の備えをよりしやすくなるでしょう。

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