定年退職した後は、年金が老後の主な収入となります。

しかし、年金だけで老後の支出を補えるか気になっている人も多いでしょう。

年金だけで足りない場合は、退職までに生活費を貯めておく必要があるため、老後の支出や収入のシミュレーションをすることが重要です。

そこで今回は、老後も安定して暮らすために、老後の収入と支出がどの程度なのかについてシミュレーションしていきます

老後のシミュレーションが老後貧乏を防ぐ

老後のシミュレーションが老後貧乏を防ぐ

老後は、退職時にまとまった退職金や安定した年金収入が得られるため、安定した暮らしができると期待している人も多いでしょう。

しかし、生活保護受給世帯全体で65歳以上の高齢者が、2016年には半数以上を占めるようになりました

この背景には、派遣社員などの非正規雇用の人の割合が多くなってことによって、無年金や低年金の人が増えたことが挙げられます。

老後の計画をしっかりと立ててこなかった人が結果的に老後貧乏に陥り、そのまま生活保護の受給者となるケースが増えています。

「老後貧乏に陥っても生活保護があるから問題ない」と感じられた人もいるかもしれませんが、生活保護は必ずしも受給できるとは限りません

 老後貧乏に陥らないためにも、老後の収入や支出がどうなっているのかをしっかりとシミュレーションして、あらかじめ老後に備えておくことが重要と言えるでしょう。

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後のシミュレーションをする上で重要なのが、老後にどのくらいの生活費がかかるかということです。

総務省が実施した「家計調査」によると、世帯主が60歳以上の無職世帯の1ヶ月あたりの支出は以下のような内容となっています。

世帯主が60歳以上の無職世帯の1ヶ月あたりの支出
  • 食費:68,193円
  • 住居費:14,346円
  • 水道光熱費:20,427円
  • 家具・家事用品:9,290円
  • 被服等:6,737円
  • 保険医療費:14,646円
  • 交通・通信費:26,505円
  • 教育・教養娯楽費:25,712円
  • お小遣い:6,225円
  • 交際費:25,243円
  • その他支出:22,280円
  • 合計:239,604円

 

この調査結果を見て「うちの家とは違う」と思った人も多いと思います。

あくまでも平均であるため、持ち家なのか賃貸なのか、子供の有無などによっても大きく異なります。

しかし、どのくらいの老後費用が発生するのかをあらかじめ把握しておけば、自分の老後をシミュレーションしやすくなると言えるでしょう。

老後のお金はどのくらい貰えるか

老後のお金はどのくらい貰えるか

自営業には定年退職というものがないため、「退職=引退を決めた時」と、退職するまでは安定した収入が期待できます。

しかし、サラリーマンとして働いているケースがほとんどであるため、60~65歳の間に退職するのが一般的です。

退職金を支給している企業の場合には退職時にまとまった退職金を得られるほか、年金をしっかりかけていれば65歳から安定した年金収入が期待できますが、どのくらいの金額が受け取れるのでしょうか?

それぞれの金額について見ていきましょう。

退職金はいくらなのか

退職金の額は最終学歴が大学卒なのか高校卒なのか、また事業規模などによっても大きく異なってきます。

厚生労働省が公表した大学卒の事業規模別の退職金平均は、以下のような結果となっています。

大学卒の事業規模別の職金平均額
  • 1,000人以上:2,525万円
  • 999~300人:2,074万円
  • 299~100人:1,635万円
  • 99~30人:2,343万円

 

高校卒の事業規模別の退職金平均は以下のような結果となっています。

高校卒の事業規模別の職金平均額
  • 1,000人以上:2,286万円
  • 999~300人:1,978万円
  • 299~100人:1,447万円
  • 99~30人:1,713万円

 

高卒よりも大卒、また事業規模が小さいよりも大きい方が貰える退職金の額が大きくなる傾向があります。

退職金は労働基準法で支払うことが決められているものではありません。

事業者が支払うかどうか決めるものであるため、退職金が支払われない可能性もあるので注意が必要です。

支払われるのかどうか確認するだけでなく、支払われる場合はどのくらい受け取れるのかしっかりシミュレーションしておきましょう。

公的年金はいくらなのか

サラリーマンの場合には厚生年金に加入しているのが一般的ですが、自営業者などは国民年金に加入しているのが一般的です。

厚生労働省の年金局が公表した公的年金額の平均は、以下のような結果になっています。

  • 厚生年金:1ヶ月当たり約148,000円
  • 国民年金:1ヶ月当たり約55,000円

年金の受給開始年齢が65歳に引き上げられているため、それに合わせて定年を60歳から65歳に引き上げる企業も増えているほか、自分で選択できる企業もあります。

老後貧困をなるべく防ぐためには、年金受給開始までにできる限りお金を貯めておく必要があるため、早期退職という選択肢はあまりおすすめできません

60~65歳まで支出だけが生じる状況をシミュレーションすると、年金が支給されるまでに1,000万円以上大切な貯蓄を失うことになるので注意しましょう。

老後に必要な費用は3,000万円

老後に必要な費用は3,000万円

日本の平均寿命は、男女ともに80歳を上回っています。

仮に90歳までの25年間を元気に過ごしたとして老後にいくら必要になるかをシミュレーションすると、24万円×12ヶ月×25年=7,200万円となります。

しかし、老後に入ってくる年金収入をシミュレーションすると、20万円×12ヶ月×25年=6,000万円となります。

「収入と支出の差は1,200万円程度であるため、退職金を考えれば問題ない」と思っている人も多いかもしれませんが、そうとは言い切れません。

例えば、退職金で住宅ローンの一括返済をするケースやリフォームが必要になって大きな支出が発生するケース、病気で医療費が高額になるケースなどが挙げられます。

そのようなケースを考慮しながらシミュレーションすると、老後には3,000万円程度の費用が必要になると言えるでしょう

老後に必要なお金を効率的に確保する方法2選

老後に必要なお金を効率的に確保する方法2選

20~60歳までの40年間で3,000万円を貯めるシミュレーションでは、毎月62,500円ずつ貯めていく必要があります。

20代は得られる給料が少なく、30代以降は住宅購入や子供の教育資金といった支出が増えるため、毎月62,500円ずつ貯めることは困難です。

老後を迎える前に効率良くお金を貯めるには、資産運用を検討する必要があります

どんな資産運用を選べばいいのでしょうか?

おすすめの資産運用は以下の2つです。

  • 投資信託
  • 不動産投資

それぞれの資産運用について見ていきましょう。

投資信託

1つ目の資産運用は、投資信託です。

投資信託とは、資産運用のプロにお金を預けて代わりに運用してもらう方法です。

代わりに運用してもらえるため、資産運用に関する知識や経験が少ない人や仕事で忙しくて資産運用の時間をなかなか確保できない人でも、気軽に運用を始めやすいと言えます。

また、投資信託の中には利回りが10%を超えるものもあり、銀行預金の金利が0.01%程度であることを考えると、効率良く老後資金を増やせるでしょう。

不動産投資

2つ目の資産運用は、不動産投資です。

不動産投資とは、投資用の不動産を購入して貸し出すことで家賃収入を得る運用方法です。

自己資金が足りない場合でも、条件を満たしていれば銀行融資を受けながら運用できます。

また、安定した家賃収入が老後の私的年金代わりになるほか、老後急に資金が必要になった場合でも、不動産を売却すればまとまった資金が得られるため、老後資金確保に適した運用方法と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

老後のお金の心配をせずに安心して暮らすためには、収入と支出がどのくらいかをしっかりシミュレーションしておくことが重要です。

人生100年時代を迎えることを考えると、最低でも3,000万円は貯めておく必要があるでしょう。

その為にも、ご紹介した投資信託や不動産投資にチャレンジしてみてください。

しかし、資産運用にはリスクが伴うということも忘れないようにしましょう。

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