住宅ローンの支払いや子供の教育資金などの支出が多く、子供が独立してから貯金が全くないことに気づいて焦っている人も多いのではないでしょうか?

老後は退職金や継続的に得られる年金がありますが、老後の支出が収入を上回っていると老後貧困に陥る可能性が高くなるため、老後の実態をしっかりと把握しておくことが重要です。

そこで今回は、老後の貯金がない場合でも問題なく老後の生活を送れるのかどうか詳しく解説します

老後の4人に1人は貯金がない

老後の4人に1人は貯金がない

内閣府の「高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」によると、約22.7%、約4人に1人が貯金がないと回答しています。

さらに調査結果を見ると、独身男性の約37.5%、独身女性の約30.6%は貯金がないため、老後に備えてしっかり貯金をしている人が少ないと言えます。

では、老後の貯金がない状態でも問題はないのでしょうか?

生活保護受給状況を見ると、2016年には65歳以上の占める割合が半分以上になりました。

これらを踏まえると、老後の貯金がない状況は老後貧困に陥る可能性が高いため、何らかの対策を練っておくことが重要と言えるでしょう。

老後の収入はどのくらいあるか

老後の収入はどのくらいあるか

老後の貯金がないといっても、老後の収入が全くないというわけではありません。

日本では公的年金の加入が義務であるため、掛け金を払って加入していれば、老後に継続的に年金を受給できます。

厚生労働省の年金局が公表している公的年金の平均受給額は、厚生年金が148,000円/月、国民年金が約55,000円/月となっています。

現在は年金の未納に対する掛け金の徴収が強化されていますが、年金未納者がいたことや非正規雇用の人が増えたことなどで無年金・低年金の人が増えました。

貯金なしだけでなく老後の収入がほとんどない人がいることが、生活保護を受給するなど老後貧困に陥る人が増えた要因と言えるでしょう。

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後の収入がいくらか分かりましたが、老後の生活費はどのくらいかかるのでしょうか?

総務省が実施した「家計調査」によると、世帯主が60歳以上の無職世帯の1ヶ月あたりの支出は以下のような内容となっています。

世帯主が60歳以上の無職世帯の1ヶ月あたりの支出
  • 食費:68,193円
  • 住居費:14,346円
  • 水道光熱費:20,427円
  • 家具・家事用品:9,290円
  • 被服等:6,737円
  • 保険医療費:14,646円
  • 交通・通信費:26,505円
  • 教育・教養娯楽費:25,712円
  • お小遣い:6,225円
  • 交際費:25,243円
  • その他支出:22,280円
  • 合計:239,604円

 

上記の金額はあくまでも平均であるため、世帯によっては金額が大きく異なります。

しかし、夫婦ともに国民年金、夫が厚生年金・妻が国民年金の受給者であると考えても、この支出を収入が上回らないため、貯金がない状況では老後が厳しくなると言えるでしょう。

貯金がない場合の対策4選

貯金がない場合の対策4選

老後の平均収入と平均支出と比較してみると、支出が収入を上回っているため、貯金がない状況では老後貧困に一歩近づく可能性が高くなります

では、老後の貯金がない状況では、老後貧困を防ぐことはできないのでしょうか?

老後の貯金がない場合の対策は以下の4つです。

  • 定年後も長く働いて収入を確保する
  • 生活水準のレベルを下げる
  • 奥さんも働く
  • 住宅ローンを見直す

それぞれの対策について見ていきましょう。

定年後も長く働いて収入を確保する

1つ目の対策は、定年後も長く働いて収入を確保することです。

以前の年金の受給開始年齢は60歳でしたが、現在は65歳に引き上げられています。

引き上げ前は定年が60歳でしたが、年金の受給開始年齢の引き上げにあわせて定年を65歳に引き上げる企業や60歳・65歳を選べる企業が増えています。

「60歳まで十分働いたので早期退職して老後はゆっくりと過ごしたい」と考えている人も多いかもしれませんが、それが老後の貯金なしにつながる原因になるので注意が必要です。

60歳で早期退職すると、65歳の年金受給開始までは退職金や貯金などを取り崩さなければなりません

仮に夫婦で毎月24万円の支出が65歳までの5年間続いたとすると、1,440万円老後資金を失ってしまいます

70代まで働いた場合には、60代前半で毎月約25.3万円、60代後半で毎月約20.8万円の収入の上乗せが見込めます。

貯金がない状態でも、定年後も長く働けば十分老後も安定した暮らしが期待できるでしょう。

生活水準のレベルを下げる

2つ目の対策は、生活水準のレベルを下げることです。

仮に夫が厚生年金の受給者で妻が国民年金の受給者であった場合は、2人合わせて毎月約20万円の収入があることになります。

平均支出は約24万円であるため、このままでは生活費が不足して老後貧乏に陥る可能性が高いと言えます。

しかし、生活水準のレベルを下げて支出を抑えれば、年金収入の範囲内に抑えることが可能です。

例えば、車を所有するのをやめるだけでも、自動車税や車検、ガソリンなどの支出を抑えられます。

また、賃貸住宅の場合は、家賃の安い地域に引越す・間取りを小さくするといった方法が挙げられます。

生活水準のレベルを下げて、年金収入の範囲に抑えるような生活を心がけていれば、貯金がない状況でも老後貧困に陥る可能性を少しは抑えられるでしょう。

奥さんも働く

3つ目の対策は、奥さんも働くことです。

老後の貯金がない状況を防ぐには夫の稼ぎだけでは限界があるため、奥さんも働いて支えていけば老後貧困を防ぐことが可能です。

扶養控除があるため、その範囲内に収入を抑えることも選択肢の1つですが、しっかりと働いて夫婦で貰える年金を増やすことも選択肢の1つです。

最初から共働きではなく子供が成人するまでは専業主婦で、子供が成人してからパートに出かける方法もあります。

例えば、パートで毎月8万円の収入を得られれば年間100万円収入が上乗せされるため、生活に余裕が出るでしょう。

住宅ローンを見直す

4つ目の対策は、住宅ローンの見直すことです。

賃貸ではなく持ち家の場合には住宅ローンを契約しているのが一般的ですが、住宅ローンをいつ契約したかで金利が大きく異なります。

例えば、2009年にフラット35を契約した人は金利が3.83%でしたが、2019年に契約した人は金利が1.96%と半分程度です

このままでは無駄に多く支払い続けることになりますが、住宅ローンを借り換えれば低い金利が適用されるため支出を抑えられます

借り換えには諸費用が発生するため、借り換え条件によってはあまり得にならない可能性もあります。

しかし、少しでも特になる場合には、借り換えることで浮いた分を貯金に回せるので老後貧困の可能性を抑えられるでしょう。

まとめ

まとめ

現状、約4人に1人が老後の貯金がない状況になっています。

老後に得られる収入に比べ支出が上回るため、貯金がない状況では老後貧乏に陥る可能性が高いでしょう。

定年後も長く働いて収入を確保する・生活水準のレベルを下げるなどの対策を事前に行い、老後の貯金がない状態を回避しましょう。

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