日本では65歳で定年を迎えた後は年金が支給される制度があるため、ある程度は安心して老後を過ごすことができます。

しかし、年金の受給額が年々少なくなっているほか、支給開始年齢を70歳に引き上げることが予定されているため、老後に不安を感じている人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、老後に不安を感じている人が安心して老後を過ごすためのお金の貯め方について解説していきます

老後のお金に不安が生じる要因

老後のお金に不安が生じる要因

医療技術の進歩によってがんや心疾患、脳血管疾患などによる死亡率が低下したことから、日本人の平均寿命がどんどん延びています

厚生労働省が発表した2017年の日本人の平均寿命は、男性が81.70歳で世界3位女性が87.66歳で3年連続世界2位となっています。

また、厚生労働省の調査結果によると、2018年9月時点で全国の100歳以上の人数が6万9785人と、前年よりも2014人増えていることが分かりました。

日本には年金制度があるため、平均寿命が延びても安心して暮らすことができそうですが、平均寿命の延びとともに、老後のお金に不安が生じている人も多くなっています。

なぜ、不安が生じるのでしょうか?

主な要因は以下の2つです。

  • 年金受給額の減少
  • 受給開始年齢の引き上げ

それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

年金受給額の減少

厚生労働省が発表した「平成29年戸厚生年金基金・国民年金基金の概況」を見てみると、厚生年金は男性平均が16万6,668円女性平均が10万3,026円となっています。

男女の厚生年金の平均を合わせると26万9,694円です。

なお、総務省が発表した平成29年の「家計調査年報」を見てみると、高齢夫婦無職世帯の支出は1ヶ月あたり約26万円となっており、年金受給額とあまり変わりません。

しかし、老後に病気やケガ、介護などで支出が増えると年金だけでは足りなくなります。

年金受給額が一定であれば、不足分を想定してある程度は貯金を残しておくという対策ができますが、残念ながら受給額は年々減少しています。

5年ごとに行われる年金の財政計算では、2014年度から30年目の2043年度に年金の受給額を20%減額することが国の方針として発表されています。

実際に年金受給額は年々少しずつ減少しているため、老後の生活資金として年金を頼りにしている人にとっては、年金受給額の減少は老後のお金の不安の要因と言えるでしょう。

受給開始年齢の引き上げ

少子高齢化の影響で、年金制度を支える側の人口が減って、受給側の人数が増えたため、安定した年金受給を行うために受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました

受給開始年齢の引き上げによって年金加入者が不利にならないようにするために、定年の年齢も60歳から65歳に引き上げられました

しかし、少子高齢化の影響は深刻で、現状の引き上げだけでは年金制度が破綻してしまうため、受給開始年齢・定年ともに70歳まで引き上げることが検討されています。

60歳を超えると給与所得が少なくなる、ケガや病気などで働くことができなくなるなど、現状よりもリスクが高くなるため、受給開始年齢の引き上げは老後のお金の不安の要因と言えるでしょう。

老後に不安を抱いている人の特徴

老後に不安を抱いている人の特徴

老後に不安を抱いている人には以下のような特徴があります。

  • 国民年金しかない
  • 貯蓄がない
  • 退職金がない
  • 持ち家ではない

それぞれの特徴について見ていきましょう。

国民年金しかない

自営業やパートの場合は、厚生年金ではなく国民年金が支給されます。

国民年金は、満額納付しても、1ヶ月あたり約6万5,000円程度しか支給されません

厚生年金と比べると大幅に受給額が少ないため、国民年金以外にも個人年金に加入する、資産運用によって安定した収入を得ることができる環境を整えておく必要があると言えるでしょう。

貯蓄がない

老後は基本的に年金しか収入がない状況であるため、年金で不足する分の生活費は貯蓄を切り崩していくことになります

病気やケガで大幅な支出が生じるといった万が一の事態に備えて、資産運用などを通して貯蓄を残しておくようにしましょう。

退職金がない

老後の生活資金として、退職時に貰うことができる退職金をあてにしている人もいるかもしれませんが、中小企業の中には退職金制度のない企業もあります。

退職金が支給されないと事前に分かっている場合には、前もって退職までに退職金相当の貯蓄を残しておくようにしましょう。

持ち家ではない

持ち家の場合には固定資産税の支払いが必要になりますが、持ち家でない場合には家賃が毎月発生することになるので、老後は持ち家以上に住居費が負担になります

持ち家の場合には住居を売却することもできるため、老後の資金確保にもつながります。

持ち家を取得する際には低金利の住宅ローンを活用することもできるため、持ち家取得を検討するのも重要と言えるでしょう。

老後資金は確実に増やすことがポイント

老後資金は確実に増やすことが重要

老後のお金の不安をなくすには、定年までに老後の貯蓄を少しでも多く残すほか、老後の収入を確保できる環境を整えておくことが重要です。

老後資金を確実に増やす方法として以下の3つの方法が挙げられます。

  • 投資信託
  • 不動産投資
  • 資格を取得する

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

投資信託

投資信託とは、運用のプロに資産を預けることによって代わりに運用してもらうものです。

運用のプロに代理で運用してもらうため、自分の時間を確保できないサラリーマンや資産運用に関する知識が少ない人でも安定して資産運用を行うことができます。

 投資信託は少額から運用できるほか、株式や国債などの運用商品を分散することでリスクを軽減できるため、長期的な資産運用に適していると言えるでしょう。

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパートなどを購入して賃貸として貸し出すことによって家賃収入を得るものです。

安定した家賃収入を得ることが期待できるほか、資産運用の中では唯一金融機関から融資を受けることができるため、自己資金が少なくても資産運用を行うことができます

 家賃保証のサブリース契約を活用することによって、空室のリスクを抑えることができるほか、持ち家と同様、万が一の事態が生じた場合にはマンションやアパートを売却できるため、老後の資金確保にもつながると言えるでしょう。

資格を取得する

定年が65歳に引き上げられたことによって65歳まで働くことができますが、それ以上の雇用は保証されていないため、労働による収入を得ることがほぼ不可能に近いと言えます。

しかし、資格を取得している場合は、需要のある資格であれば自分で会社を始めることができるほか、定年後の再雇用も期待できます。

 簡単な資格は誰でも取得できるため、役に立たない場合もありますが、合格率が低く需要の高い資格であれば、老後に備えることができるでしょう。

まとめ

まとめ

日本は定年後の年金制度があるため、老後は安心して過ごすことができますが、高齢化の影響で年金の受給額の減少や受給開始年齢の引き上げによって、老後に不安を抱える人が多くなっています。

2043年まで受給額の減額が続くことが予定されているため、受給額が増えて老後の生活が楽になるということは期待できません。

老後のお金に対する不安を解消するためにも、老後の貯蓄をしっかりと行っておくほか、年金を補えるような収入を資産運用で確保できる体制を整えておくことが重要と言えるでしょう。

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