老後の準備を始めるにあたってどのくらいの生活費がかかるか気になっている人も多いのではないでしょうか?
老後にどのくらいの生活費がかかるか知らないままでは、計画的に老後の準備ができないため、生活費の平均がどのくらいか把握しておくことが重要です。
そこで今回は、老後の生活費の平均と老後の生活費として準備しておくべき貯蓄について解説します。
老後といっても生活費は意外とかかる
「老後は家にいることが多いので、現役の頃より生活費が少なくて済む」と思っている人も多いかもしれませんが、意外と老後も生活費が多くかかります。
現役の頃は子供の教育費や住宅・車のローン、スーツや靴などの仕事に関連する支出などを伴うため、支出が多いと言えます。
しかし、家にいる時間が長くなることで水道光熱費が高くなるほか、給与から引かれていた国民健康保険料や75歳になると後期高齢者医療保険料、趣味や旅行といった現役の頃とは異なる支出が増えます。
「年金収入があるから大丈夫」と思っていても、年金収入だけで老後の生活費を補えるとは言えないため、事前に老後に備えておくことが重要と言えるでしょう。
高齢無職世帯の平均生活費の推移
老後に備えるといっても、老後にどのくらいの生活費が掛かるか分からなければ計画的に備えられません。
そのため、老後に安定した生活を送れるように計画的に備えるためには、老後にどのくらいの生活費がかかるかを把握しておくことが重要です。
そこで、総務省統計局が公表している家計調査報告をもとに、老後の生活費がどのくらい必要か、無職一人暮らし世帯と無職夫婦世帯の平均生活費の2パターンの推移について見ていきましょう。
無職一人暮らし世帯の平均生活費
60歳以上の無職一人暮らしの平均生活費の推移は、以下のようになっています。
- 2011年:152,399円
- 2012年:153,830円
- 2013年:156,953円
- 2014年:153,724円
- 2015年:156,374円
- 2016年:156,404円
- 2017年:154,742円
2011年~2017年の過去7年間の60歳以上の無職一人暮らしの平均生活費の推移を見ると、15万円の範囲内で推移しているため16万円あれば何とか生活できると言えます。
例えば、65歳まで働いて85歳までの20年間元気に過ごしたとすると、「16万円×12ヶ月×20年=3,840万円」必要です。
また、100歳以上の高齢者が増えていることを考えると、100歳まで元気に過ごしたことを想定しておく必要があります。
15年分の2,880万円を上乗せすると、6,720万円が最低でも生活費としてかかると言えるでしょう。無職夫婦世帯の平均生活費
夫の年齢が65歳以上、妻が60歳以上の無職夫婦世帯の平均生活費の推移は、以下のようになっています。
- 2011年:264,882円
- 2012年:270,395円
- 2013年:272,455円
- 2014年:268,907円
- 2015年:275,706円
- 2016年:267,546円
- 2017年:263,717円
2011年~2017年の過去7年間の無職夫婦世帯の平均生活費の推移を見ると、26~27万円の範囲内で推移しているため27万円あれば何とか生活できると言えます。
例えば、65歳まで働いて85歳までの20年間元気に過ごした場合は、「27万円×12ヶ月×20年=6,480万円」必要です。
また、無職一人暮らし世帯と同様、100歳を想定すると15年分の4,860万円を上乗せして、1億1,340万円が最低でも生活費としてかかると言えるでしょう。
年金収入では生活費を補えない
無職一人暮らし世帯の人や無職夫婦世帯の人の中には、「老後の生活費としてそんな大金を残していない」と不安に感じた人もいるでしょう。
老後の生活費を算出すると、上記で挙げた程度の支出が生じることになりますが、年金収入である程度は補えるため、不足分を老後の備えとして貯めておく必要があります。
老後に支給される年金の平均受給額は、以下の金額になります。
- 独身男性・女性の国民年金:55,464円
- 独身男性の厚生年金:144,652円
- 独身女性の厚生年金:114,045円
- 既婚男性片働きの厚生年金:200,116円
- 既婚女性片働きの厚生年金:169,509円
- 既婚で共働きの厚生年金:258,697円
どの条件で比較しても、老後の生活費よりも不足しているため、年金収入だけでは生活費を補いきれないことが分かります。
そのため、いくら老後の生活費が不足するのかを考えて、事前に準備しておくことが重要と言えるでしょう。
老後の生活費を補う方法とは
老後の生活費を補う方法はいくつかありますが、本業とは別に働いてお金を増やすことは効率が良くないため、資産運用をするのが一般的です。
資産運用は主に以下のようなものが挙げられます。
- 貯金
- 株式投資
- 投資信託
- FX
- 不動産投資
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
貯金
資産運用の1つ目は、貯金です。
貯金をする際は、少しでも金利が高い金融機関を選んだ方が良いと言えます。
例えば、メガバンクとネットバンクを比べるとネットバンクの金利の方が高く設定されているため、貯金する際はネットバンクを選ぶことをおすすめします。
しかし、いくらおすすめと言っても金利が0.1%程度であるため、老後の資金を貯金だけで補うことは困難なので、他の運用方法と組み合わせましょう。
株式投資
資産運用の2つ目は、株式投資です。
株式投資はある程度のまとまった利益が期待できます。
成長が期待できる企業をうまく見つけられた場合には、資産が10倍や100倍になることも夢ではありません。
しかし、株式投資は土日祝を除いて平日の9時~15時までと取引時間が限られています。
指値だけして放置しておく分にはいつでもできますが、積極的に株式投資で老後の資金を増やすには取引時間が課題と言えるでしょう。
投資信託
資産運用の3つ目は、投資信託です。
投資信託は自身で株式や国債に投資して運用しません。
運用のプロに代わりに運用してもらうため、運用の手間がかからないのが特徴です。また、100円と少額から運用できるほか、高いものでは利回りが10%を超えているため、効率良く老後の生活費を貯められます。
いくら運用のプロが運用していても元本割れのリスクは伴うので確実ではありませんが、投資信託はバランスの取れた運用方法と言えるでしょう。
FX
資産運用の4つ目は、FXです。
FXは株式投資と違い、土日を除いて24時間取引できるため、本業と両立しながら資産運用に取り組みやすいのがメリットです。
また、レバレッジという自己資金以上に取引できる仕組みを活用することで、少ない資金から運用を始められます。
レバレッジは25倍まで上げられますが、25倍にする必要はありません。
レバレッジ倍率を上げた分だけリスクが高くなりますが、自分で運用するにはバランスの取れた運用方法と言えるでしょう。
不動産投資
資産運用の5つ目は、不動産投資です。
不動産投資では安定した家賃収入が期待できるほか、不動産という資産が手に入るため、必要に合わせて売却すればまとまった資金を得ることもできます。
「不動産を購入する資金がない」という人でも、条件を満たせば金融機関から融資を受けて運用できるのもメリットです。
管理も管理会社に委託できることを考えると、金融機関から融資を受けられた場合には最も効率の良く老後の生活費を補える方法と言えるでしょう。
まとめ
老後は退職金や年金収入で悠々自適に暮らす計画を立てている人も多いかもしれませんが、老後の生活費が不足して後悔しないためにも、年金や退職金で老後の生活費を補えるのか確認しておく必要があります。
年金収入と老後の生活費の平均を比べると、年金収入だけでは老後の生活費は不足します。そのため、安心して老後を過ごすにはどのくらい不足するのかを確認しておき、あらかじめ資産運用などで不足分を補う計画を立てておくことが重要と言えるでしょう。