あなたは老後の生活をどのくらいイメージできているでしょうか?

定年後、仕事はリタイアしたとしても、当たり前ですが生活は続いていきます。

その点は若い頃であっても老後であっても変わりません。

年を取ってからお金が足りないと慌てないためにも、老後になるとどのようなことにお金がかかるのか、きちんと把握しておくことが大切です。

若い頃と比較しながら、老後の費用をひとつずつ確認していきましょう。

老後にかかる費用は何がある?どのくらいかかるの?

老後にかかる費用は何がある?どのくらいかかるの?

老後にかかる費用は大きく5つに分けられます。

食費や水道光熱費、被服費など生きていくために必要な最低限の費用である「基本的な生活費」と家賃や住宅ローンなど住まいにかかる「住居費」若い頃であっても同様にかかる費用です。

それに加えて年齢が上がるにつれ、病気になったときの「医療費」や介護が必要になったときの「介護費用」、亡くなったときの「葬儀費用」も見積もっておく必要があります。

老後にかかる費用①基本的な生活費

老後にかかる費用①基本的な生活費

総務省の「平成29年 家計調査報告」によると、60歳以上の単身世帯の平均支出額は148,358円となっており、内訳は下記のとおりです。

35歳~59歳の月平均額が192,311円なので、老後も基本的な生活費としてかかる費用はそれほど差がありません

もちろん、それぞれの家庭のライフスタイルや家族構成によって支出額は異なりますが、現在の支出からある程度将来かかるであろう生活費の予測はつくため、比較してみると良いでしょう。

生活水準を下げることはなかなか難しいため、老後も今と同じくらいの生活水準を保つためには、計画的に資金を準備しておくことが求められます。

老後にかかる費用②住居費

老後にかかる費用②住居費

住まいにかかる費用は、家を所有しているのか賃貸なのか、一軒家なのかマンションなのかなど、住居形態によって異なります。

老後25年間で支出がどのくらいになるのか、ご自身の状況に当てはめて見ていきましょう。

税金の額や家賃は、住宅の規模や東京都内なのか地方なのかなど、条件によって異なりますので、ひとつの目安として参考にしてください。

家と土地を所有している場合

家と土地を所有している場合の費用

固定資産税・都市計画税…年20万円家屋の修繕費用…10年ごとに200万円

老後に必要な住居費…20万円×25年+200万円×2回=900万円

一戸建ての場合、管理や修繕を自分で行わなければなりません

大切に暮らしていてもトイレなどの水回りや外壁の塗装など、年数が経てば老朽化も進んでいくため、将来多額のリフォーム費用がかかる可能性も考えられます

老後にかかる住居費として900万円程度かかると想定しておくと良いでしょう。

分譲マンションを所有している場合

分譲マンションを所有している場合の費用

固定資産税・都市計画税…年15万円

管理費・修繕積立金…月3万円

老後に必要な住居費…15万円×25年+3万円×12か月×25年=1,275万円

税額は一戸建てと比べると、マンションの方が安く済む場合が多いです。

ただし、マンションの場合、管理費や修繕積立金を毎月支払わなくてはならないため、一戸建てよりもトータルの維持費は高くなる傾向にあります。

賃貸住宅の場合

賃貸住宅の場合の費用

家賃…月10万円

2年ごとの更新料…1回20万円

老後に必要な住居費…10万円×12か月×25年+20万円×12回=3,240万円

賃貸物件の場合、税金や修繕費などの維持費はまったくかかりませんが、毎月家賃の支払いが発生します。

賃貸で毎月支払う家賃の額と、一戸建てやマンションを購入して月々支払うローンの額が大差ない場合も多々あります

物件を購入していれば自分の資産になるため、賃貸物件に住み続けるよりも得になるケースもあるでしょう。

高齢施設に入居する場合

高齢施設に入居する場合の費用

入居一時金…500万円

毎月の利用料…20万円

老後に必要な費用…500万円+20万円×12か月×25年=6,500万円

将来は介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅への入居を考えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?

このような高齢者施設の利用料は、サービスの内容や部屋のグレード、入居者の健康状態などが加味され、施設ごとに設定されています。

基本的には、入居時に支払う「入居一時金」と、毎月支払う「利用料」が必要です。

入居時費用の相場は500万円程度ですが、なかには1億円以上かかる施設もあります

また、毎月の利用料には、賃料に加え、食費や水道光熱費などが含まれており、医療費や介護費用がかかるケースではさらに費用が増加します。

老後にかかる費用③医療費

老後にかかる費用③医療費

当然ですが、年齢が上がるにつれ、病気や介護が必要になるリスクも高まります。

厚生労働省が公表した「平成29年度 医療費の動向」によると、75歳以上の医療費は年間94.2万円となっており、月に7.8万円ほどかかっているという結果が出ています。

しかし、これはあくまで医療機関が行った医療行為にかかる費用です。

実際の医療費の負担額は、70歳以上の場合は2割、75歳以上であれば1割となっています。(現役並みの所得者はいずれも3割負担)

また、「高額療養費制度」により、毎月の窓口負担の上限額が決められているため、外来のみであれば1.2万円、入院したとしても4.4万円で済みます

上限額を超えて支払った場合には、超過分が還付されます。

ただし、入院時の食事代や差額ベッド料、保険適用外の診療費などは還付対象外のため注意しましょう。

老後にかかる費用④介護費用

老後にかかる費用④介護費用

万が一介護が必要になった場合、これまでどおり自宅で過ごすことができれば良いですが、ヘルパーさんに訪問看護を依頼したり、介護付きの老人ホームに入居したりする必要が出てくる場合もあるでしょう。

このような状況になった場合、介護費用はどれくらいかかるのでしょうか?

在宅なのか施設を利用するのかによって費用は変わってきますが、生命保険文化センターが行った「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した月々の平均費用は7.8万円となっています。

また、介護用のベッドを購入したり、自宅をバリアフリーにリフォームしたりと、一時的な費用として平均69万円がかかっています

介護保険制度により条件を満たすことで給付が受けられますが、要介護のレベルごとに給付の上限額が設定されており、超えた部分は全額自己負担になります。

参考:厚生労働省 介護保険制度

老後にかかる費用⑤葬儀費用

老後にかかる費用⑤葬儀費用

「自分の葬式代くらいは子供や孫に残して面倒をかけたくない」と考えている方も多いのではないでしょうか?

日本消費者協会が実施したアンケートによると、葬儀費用の平均は約195万円と言われています。

昔に比べて家族や親族のみで行う家族葬も増加しており、その場合は費用も50万円程度に抑えることが可能です。

万が一に備えて、希望する葬儀を事前に家族に伝えておくと良いでしょう。

可能であれば、複数の葬儀社から見積もりを取って比較しておくことをおすすめします。

まとめ

まとめ

基本的な生活費以外にも、老後にかかるお金を見積もっておく必要があることはご理解いただけたのではないでしょうか?

これらを踏まえた上で、老後までにいくら貯蓄が必要なのか資金計画を今の内から立てておくことが大切です。

あらかじめ準備しておくことで、老後を焦ることなく迎えられるでしょう。

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