「老後は年金を受け取れるので数百万円貯金を残しておけば問題ない」と思っている人も多いかもしれませんが、貰える年金の受給額は年々減少しています。
そのため、貯金を切り崩しながら生活することで貯金が底をつき、老後破産する人もいます。
老後破産を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?
そこで今回は、老後破産を防ぐには最低貯金がいくらあればいいか、また防ぐための方法を3つご紹介します。
老後破産は他人事ではない
「貯金もあるし年金もあるので自分は関係ない」と思っている人もいるかもしれませんが、老後破産は他人事ではありません。
老後破産が他人事ではない理由は以下の2つです。
- 年間50万円程度の不足が生じる
- 年金制度が破綻する可能性がある
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
年間50万円程度の不足が生じる
1つ目の理由は年間50万円程度の不足が生じることです。
厚生労働省の発表した年金標準モデルでは、平均的な給与を得ている夫と専業主婦の妻の年金額は約22万円/月であると言われています。
一方、日本FP協会が公表している高齢夫婦無職世帯の平均的な支出は約26万円/月です。
老後の収入が年金以外にない状況を考えると、年間で約50万円不足することになります。
仮に、退職後に85歳まで20年間暮らしたとすると1,000万円不足します。
貯金額が数百万円程度しかない場合は、貯金を切り崩して生活していてもいつかは貯金が底をつくことになるため、老後破産に陥ってしまうことになるでしょう。
年金制度が破綻する可能性がある
2つ目の理由は年金制度が破綻する可能性があることです。
年金制度は、自身で掛けていた年金を受け取れるものではありません。
現役世代が高齢世代に支給する年金を支えているため、少子高齢化が進む現在では、いつかは貯めている財源が底をついてしまいます。そのため、貯まっている財源の運用を行うことことで、不足する年金を何とかしようとしていますが、それでも年金の受給額は年々減少しています。
自分たちが年金を貰えるかどうか分からないため、現役世代の中には年金を掛けない人も増えました。
今後、年金を掛けない現役世代の人たちがさらに増えた時は、年金を受給するための財源が枯渇する可能性があります。
その場合、年金制度が破綻してしまうため、毎月26万円の支出に対して貯金を切り崩しながら補っていかなければなりません。
そうなると、益々老後破産の可能性が高くなるでしょう。
老後破産を防ぐには
老後破産を防ぐにはどんなポイントが挙げられるでしょうか?
老後破産を防ぐには以下の3つが挙げられます。
- 現役当時に貯金を増やしておく
- 年金代わりになる安定収入を増やしておく
- 退職後も働く・安全な資産運用を行う
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
現役当時に貯金を増やしておく
老後破産を防ぐためのポイントの1つ目は現役当時に貯金を増やしておくことです。
老後資金が不足することはほぼ確定しているので、不足分を補えるように余裕をもって貯金を増やしておきます。
貯金を増やす方法として、「副業を行う」「資産運用を行う」「節約で貯金を増やす」などが挙げられます。
この中でも、「節約で貯金を増やす」という方法は、手軽に取り組めるほか老後の支出を減らす習慣にもつなげられるでしょう。
年金代わりになる安定収入を増やしておく
老後破産を防ぐためのポイントの2つ目は年金代わりになる安定収入を増やしておくことです。
資産運用で得られる利益には、取引を行うことによって一時的に得られるキャピタルゲインと配当や分配金などの継続的に安定して得られるインカムゲインの2つがあります。
キャピタルゲインは大きな利益が期待できる一方、大きな損失が生じる可能性があるので注意が必要です。しかし、インカムゲインの場合には、確実に継続して得られるため、年金代わりになります。
現役世代のうちにコツコツとインカムゲインを得られる資産運用を行っておけば、老後の資金が不足することで老後破産するリスクを抑えられるでしょう。
退職後も働く・安全な資産運用を行う
老後破産を防ぐためのポイントの3つ目は退職後も働く・安全な資産運用を行うことです。
退職前に老後資金の準備ができていない時は、老後の不足する資金を退職後も働くことで補うことも可能です。
しかし、職種を自由に選べる状況ではなく、得られる給料も少ないというデメリットがあります。
退職後に資産運用で老後資金を補う時は、現役時のように失敗しても給与で補えないため、万が一に備えてリスクが低い運用方法を選ぶことがポイントです。
また、資産運用に関する知識が少ない初心者でも始めやすい運用方法を選ぶことも重要と言えるでしょう。
老後破産を防ぐための方法3選
老後破産を防ぐための方法として資産運用が挙げられましたが、具体的にどの運用方法を選べばいいのか分からない人も多いでしょう。
老後破産を防ぐためにおすすめの方法は以下の3つです。
- 不動産投資
- 投資信託
- REIT
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
不動産投資
不動産投資とは、投資用不動産を購入して家賃収入を得るという方法です。
「不動産投資を行う際には、まとまった資金が必要になるのでは?」と感じられるかもしれませんが、不動産投資は資産運用の中で唯一金融機関の融資を受けることが可能です。
特に、サラリーマンは「安定した収入が得られる=滞納する可能性が低い」という理由から、融資を受けやすいと言われています。
家賃収入から経費を引いて余った分を貯金に回せば、老後の貯金を十分に確保できます。
また、現役当時に返済を終わらせてしまえば、退職後に得られる家賃収入は経費を除いて全て生活費に回すことも可能です。
また、病気やけがなどで大きな出費が生じる場合は、所有している不動産を売却することでまとまった資金も得られます。
老後破産を防ぐにはおすすめの運用方法と言えるでしょう。
投資信託
投資信託とは、資産運用のプロにお金を預けて代わりに運用を行ってもらい、運用成績に応じた分配金を得るという方法です。
投資信託は自身で運用する必要がないため、運用する手間を省けるほか100円と少額から運用できるというメリットがあります。
利回りも数%台のものが多いものの、中には10%を超えるものもあるため、高い利回りが期待できます。
そのため、現役当時には少額投資によって得られた分配金を貯金して老後に備える、または分配金を複利運用して得られる分配金を増やすという方法もあります。
また、老後になってからも退職金の一部を投資信託に回すことで、ある程度は不足する分の生活費を補えるため、老後破産を防ぐことが期待できるでしょう。
REIT
REITとは、不動産投資を手掛けている法人に対して資金を提供して、家賃収入や不動産の売却益を分配金として受け取るという方法です。
不動産投資の場合は、ある程度まとまった資金が必要になりますが、REITは数万円~数十万円で運用を行えます。
不動産投資よりは少額で始められるにもかかわらず、分配金の利回りは数%と高いものが多いという特徴があります。
そのため、投資信託と同じく、現役当時には得られた分配金を老後の貯金に回す、または分配金を複利運用して得られる分配金を増やすという選択肢もあります。
不動産投資を始めたいと思っているものの、融資を受けることに対して不安を感じている人にとってはREITがおすすめと言えるでしょう。
まとめ
「数百万円の貯金を残していれば老後は大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、それだけでは老後破産する可能性があります。
貰える年金額と支出を比べると支出の方が上回っていて、年間約50万円ずつ不足すると言われています。
老後破産を防ぐには、貯金をより多く残しておく必要があるため、現役当時には資産運用や節約、副業などで少しでも多く貯金を残しておくことが重要です。
資産運用では、リスクなども考慮して「不動産投資」「投資信託」「REIT」の3つが不足する老後の生活費を補うには適しています。
しかし、それぞれメリットやデメリットがあるため、どのような違いがあるのかを総合的に判断した上で始めるようにしましょう。