「老後の資金は3,000万円程度必要」という話を聞いたことがある人も多いと思いますが、老後の資金は倍以上の7,000万円必要とも言われるようになりました。

なぜ、老後に必要な資金が倍以上に膨れ上がったのでしょうか?

そこで今回は、老後の資金が7,000万円も必要とされる理由と効率良く老後資金を貯める方法について解説します

老後にかかる生活費の平均

老後にかかる生活費の平均

老後に必要な資金を知るには、老後にどの程度の生活費がかかるのか事前に把握しておく必要があります。

総務省統計局が発表した家計調査報告では、60歳以上の無職一人暮らし世帯の1ヶ月あたりの平均支出は15万円となっています。

また、夫の年齢が65歳以上で、妻の年齢が60歳以上の無職夫婦世帯の1ヶ月当たりの平均支出は26万円となっています。

平均寿命が男女ともに80歳を上回っている状況を考慮すると、60歳以上の無職一人暮らし世帯の支出は、65歳で退職してから90歳までの25年間元気に過ごした場合、「15万円×12ヶ月×25年=4,500万円」です。

一方で、無職夫婦世帯も同様に算出すると、「26万円×12ヶ月×25年=7,800万円」です。

老後の収入を考慮せずに老後にかかる生活費のみ焦点を当てると、一人暮らしの場合でも5,000万円弱かかるため、老後のための備えておくことが重要と言えるでしょう。

老後に必要な資金は人によって異なる

老後に必要な資金は人によって異なる

老後のための備えについて考慮する際には、老後にかかる生活費だけでなく老後の収入がどのくらいかを把握しておく必要があります。

老後の収入は、退職時に得られる退職金収入と定期的に得られる年金収入の2つあります。

それぞれどのくらいの収入になるのか見ていきましょう。

老後の退職金収入の実体

厚生労働省が発表した就労条件総合調査では、2003年の退職金平均が2,499万円に対して2013年の退職金平均が1,941万円と500万円減少しています。

また、2013年の1,000人以上を雇用している企業では2,290万円、300~999人の企業では1,769万円、100~299人の企業では1,250万円と、事業規模によって最大で1,000万円の差があります。

「思っていたよりも退職金は少ないな」と思った人もいるかもしれませんが、4社に1社は就業規則に退職金が盛り込まれておらず、退職金が支給されないケースもあります。

老後の資金を計画的に貯めるためにも自分の勤めている会社に退職金があるのかどうか、いくら貰えるのか確認しておいた方が良いと言えるでしょう。

老後の年金収入の実体

老後の備えを何もしていない場合は、年金が唯一の老後の収入になります。

「年金があれば十分なのでは?」と思っている人も多いかもしれませんが、意外と貰える年金は少ないのでいくら貰えるのか確認することが重要です。

老後に支給される年金の平均は以下のような金額です。

支給される年金平均額
  • 独身男性・女性の国民年金:55,464円
  • 独身男性の厚生年金:144,652円
  • 独身女性の厚生年金:114,045円
  • 既婚男性片働きの厚生年金:200,116円
  • 既婚女性片働きの厚生年金:169,509円
  • 既婚で共働きの厚生年金:258,697円

 

会社勤めではない自営業などが加入する国民年金では、仮に老後の一人暮らしの生活費を想定しても、毎月10万円不足します。

また、夫婦共働きの場合でも貰える年金が生活費と大差ないことを考えると、老後の資金を備えておくことがいかに重要か分かるでしょう。

7,000万円の老後資金を準備する手段とは

7,000万円の老後資金を準備する手段とは

7,000万円の老後資金の一部は年金収入で補えるとしても、不足する分に関しては準備する必要があります。

しかし、それほどの大金を貯めると言っても、子供の教育費や住宅・車のローンなどの支出が生じるので貯めることは容易ではありません

老後資金を準備する手段として挙げられるのは、できる限り支出を抑えてその分を貯金に回す、何らかの方法で得られる収入を増やすという手段です。

それぞれの手段について見ていきましょう。

できる限り支出を抑える

老後資金を準備する手段の1つ目はできる限り支出を抑えることです。

支出を抑える最も良い方法は、無駄な支出が潜んでいないか探すことです。

例えば、住宅ローンを金利が高い時期に契約したにもかかわらず、現在のような低金利の状況でも従来の契約のままでいるなどです。

住宅ローンの借入金額は数千万円になるため、金利変動の影響を大きく受けます。

そのため、金利が下がった場合には金融機関に相談するまたは借り換えを検討すれば、大幅に無駄な支出を削減できます

また、子供たちが成人(独立)して車を使用する機会が減った、または家の部屋が余っている場合には、車や家を売却するのも1つの選択肢です。

車は使用しているかどうかに関係なく自動車税がかかるほか、家も所有しているだけで固定資産税がかかるため、場合によっては売却した方が良いでしょう。

得られる収入を増やす

老後資金を準備する手段の2つ目は得られる収入を増やすことです。

会社から貰う給料を急に増やすことはできないため、収入を増やすためには、本業とは別に働くか、資産運用で収入を増やすかのどちらかです。

どちらの方法にもメリットとデメリットがあるため、それぞれの特徴をよく理解してから自分に合った方を選ぶことが重要です。

それぞれの収入を増やす方法について見ていきましょう。

働いて収入を増やす

1つ目の方法は働いて収入を増やすことです。

労働の対価として収入を得るため、安定かつ確実に収入を増やせるというメリットがあります。

しかし、公務員は勤務先以外での勤務が原則禁止されているほか、一般的なサラリーマンでも会社の就業規則で禁止されていると、この方法は原則利用できません。

もし利用できる場合は、仕事が休みの日にアルバイトをするという方法が挙げられますが、アルバイトは労働の割に得られる収入が少ないのであまりおすすめしません

おすすめはクラウドソーシングです。

クラウドソーシングとは、家に居ながら仕事の依頼を引き受けて仕事に取り組んで報酬を得るものです。

アルバイトのように勤務先に向かう必要がないほか、専門的なまたは資格が必要な仕事の場合にはないように見合った報酬が得られるでしょう。

資産運用して収入を増やす

2つ目の方法は資産運用して収入を増やすことです。

資産運用と一口に言っても、数多くの方法があります。

貯金も金融機関が預けたお金を運用して利息を付与してくれるため、資産運用の1つですが、老後の不足する資金を補えるほどではないので効率的とは言えません

老後の不足する資金を資産運用で補う際には、大きな収入を得る必要があるので「利回りが高い」、本業との両立があるので「手間がかからない」などを意識しながら運用方法を選ぶ必要があります。

例えば、不動産投資は得られる家賃収入が多く管理を不動産会社に委託できるため、条件を満たしています。

また、投資信託も自分で運用するわけではなく運用のプロが代わりに運用してくれるほか、中には10%以上の利回りが期待できるものもあるため、条件を満たしています。

このように条件に合った運用方法を見つけることが重要ですが、資産運用は働いて収入を増やす方法とは異なり、確実に収入が増えるとは限りません。

元本割れのリスクを伴うため、リスク管理を徹底しつつ運用することが重要と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

貰える退職金が少なくなっているほか、年金も老後の生活費と比べると不足しているため、老後の備えをしっかりとしておく必要があります。

しかし、不足する金額は退職金がいくら貰えるか、年金がいくら貰えるかによって異なるため、どのくらい不足するのかあらかじめ確認しておくことも重要です。

老後に必要な7,000万円の資金を全て補う必要はないにしても、教育費やローンの返済といった支出も多いため、補うことは容易ではありません。

働いて収入を増やす、資産運用で収入を増やすなど、計画的に老後の資金を貯めましょう。

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