老後は働いて収入を得ることが容易ではないため、何らかの備えがない限りは年金だけが老後の収入になります。

そのため、年金の受給額が減っている状況では、老後の生活資金が足りるか不安に感じている人も多いことでしょう。

では、老後はどの程度の資金が必要なのでしょうか?

そこで今回は、老後の生活にどの程度の資金が必要なのか、また老後資金を効率良く貯める方法について解説します

老後貧乏に陥る人が増えている

老後貧乏に陥る人が増えている

老後は退職金に加え、年金を掛けていれば継続的に年金収入が得られるため、老後の生活も安心と思っている人もいるでしょう。

しかし、実際の老後生活は想像よりも厳しく、厚生労働省の調査では2017年度の高齢者世帯の生活保護受給は全体の52.7%を占めています

なお、前年度と比べて2万7,679世帯も増加しました。

母子世帯や障がい者世帯の生活程受給世帯数は、2016年度と比べて2万3,629世帯も減少したことを考えると、高齢者の老後貧乏が大きな問題となっていることがよく分かります。

老後貧乏が増加した主な原因は、老後の生活費と年金の受給額を比べると年金の受給額が下回っていることです。

そのため、いくら年金を掛けていても老後のための貯金などの備えをしていない場合には、老後の生活費が不足して老後貧乏に陥る可能性が高いため、老後の事前準備が重要と言えるでしょう。

老後にはいくら資金が必要か

老後にはいくら資金が必要か

年金だけでは老後の生活費が不足することが分かりましたが、安心して老後を暮らすにはいくら資金が必要になるのでしょうか?

定年まで会社に勤めて年金を掛け続けた夫と専業主婦のモデルケースでは、1ヶ月あたり約22万円の年金が支給されます

それに対して、高齢無職世帯は1ヶ月あたり約26万円の平均支出となっているため、毎月約4万円不足します。

仮に年金受給開始年齢である65歳から85歳までの20年間を元気に過ごすと、「4万円×12ヶ月×20年=960万円」が必要です。

しかし、現在の日本の平均寿命は、男女ともに80歳を超えているほか介護や病気といった特別な出費を伴う可能性があるのでもっと多くの資金が必要です。

仮に100歳まで元気に過ごすと、720万円を上乗せした1,680万円不足します。

特別な出費を考えると、2,000~3,000万円は老後資金が必要と言えるでしょう。

老後資金を効率良く貯める方法とは

老後資金を効率良く貯める方法とは

老後資金を準備するといっても、子供の教育資金や住宅・車の購入などで支出を伴うため、簡単にお金が貯まるものではありません。

では、どうすれば老後資金を効率良く貯まるのでしょうか?

老後資金を効率良く貯める方法として以下の2つが挙げられます

  • 無駄な支出がないかを見直す
  • 資産運用で収入を増やす

それぞれの方法について見ていきましょう

無駄な支出がないかを見直す

働いて得られる収入にはある程度の限界があるため、無駄な支出がないか見直して支出を抑えた分を貯金に回すことで、老後資金に少し余裕が出ます。

また、無駄な支出がないかを見直す習慣を身に付ければ、老後の少ない年金収入でもその範囲内に抑えられる可能性があります。

身の回りに潜む主な無駄は以下の2つです。

  • 使わない車の売却を検討する
  • 持ち家の売却を検討する

それぞれの無駄について見ていきましょう。

使わない車の売却を検討する

1つ目は使わない車の売却を検討することです。

子供が小さい頃は、家族一緒に車に乗って出かけることが多くても、子供が成長すると個々に過ごすことが多くなるため、車が不要になるケースも出てきます。

車は使っているかどうかに関係なく、所有しているだけで自動車税だけでなく車検などの費用も発生するため、意外と支出が多くかかります。

そのため、使う機会が少ない場合には自動車税率が低い軽自動車やエコカーに買い換える、もしくは売却することで無駄な支出を抑えられるでしょう。

持ち家の売却を検討する

2つ目は持ち家の売却を検討することです。

子供が成長して独立すると、持ち家の場合には使わない部屋が生じて空間を持て余す可能性があります。

そのまま所有していても問題はありませんが、固定資産税は所有している限り発生するため注意が必要です。

そのため、持ち家にこだわりがない場合は、売却して賃貸住宅に住み替えることも選択肢の1つです。

そうすることで、固定資産税が発生しなくなるため、無駄な支出を抑えられるでしょう。

資産運用で収入を増やす

老後資金を効率良く貯めるには、支出を抑えるだけでなく資産運用で収入を増やすという方法も挙げられます。

資産運用の主な方法は以下の4つです。

  • 不動産投資
  • REIT
  • 投資信託
  • ソーシャルレンディング

それぞれの方法について見ていきましょう。

不動産投資

1つ目の方法は不動産投資です。

不動産投資とは、不動産を購入して貸し出すことによって家賃収入を得るというものです。

自己資金が少ない場合でも、条件さえ満たしていれば金融機関の融資を受けられます。

運用によって得られる家賃収入の一部で融資の返済をした残りは、老後の備えとして貯金できるほか、いざ老後を迎えた場合は私的年金代わりになります。

また、まとまった資金が必要な場合は、不動産を売却して資金を得ることも可能です。

そのため、老後の備えに適した運用方法と言えるでしょう。

REIT

2つ目の方法はREITです。

不動産投資は金融機関の融資が受けられない場合、まとまった資金が必要になるため自己資金だけで始めるのは容易ではありません。

REITとは、複数の投資家から資金を集めて不動産投資をして、得られた家賃収入を分配するというものです。

少額から不動産投資できるほか複数の不動産に分散投資するため、不動産投資のリスクを軽減できます。

老後資金は確実に貯めていく必要があるため、リスクを抑えながら安定した家賃収入が得られるのは、魅力的と言えるでしょう。

投資信託

3つ目の方法は投資信託です。

投資信託とは、自ら株式や国債に投資するのではなく運用のプロが代わりに運用してくれるというものです。

運用によって得られた利益や配当などは、分配金という形で支払われます。

投資信託は、100円と少額から始められるほか運用のプロが代わりに運用してくれるので運用の手間を省くことが可能です。

また、10%以上の利回りが期待できるものもあるため、効率良く老後資金を貯められるでしょう。

ソーシャルレンディング

4つ目の方法はソーシャルレンディングです。

ソーシャルレンディングとは、会社に対して融資してその利息を受け取るというものです。

ソーシャルレンディングを手掛ける会社が、融資する会社の調査をしてから受け付けるため、貸し倒れのリスクが低いのが特徴です。

貸し倒れのリスクが低いにもかかわらず、5%以上の利回りが期待できるものや担保などを提供することで元本保証が付いているものもあります。

REITと同様、リスクを抑えながら安定した収入が得られるので魅力的と言えるでしょう。

まとめ

まとめ

高齢者の生活保護の実体を見てみると、老後の資金の不足が顕著に表れていると言えます。

そのため、自分も老後貧乏になって生活保護に頼らずに済むためにも、事前に老後に備えておくことが需要です。

老後に必要な資金は人によって異なりますが、2,000~3,000万円の貯金があれば、比較的余裕があると言えます。

老後に必要な資金はすぐに貯まるものではないため、計画的に資産運用や無駄な支出を抑えながら貯めていくようにしましょう。

おすすめの記事