老後の生活費が不足しないように、事前に備えておく人も多いと思いますが、どのくらいの生活費がかかるか把握しておけば、計画的に準備を進めやすいと言えます。

また、平均的な生活費の中には、見直すことで削減できる項目もあるため、内訳を確認することも重要です。

そこで今回は、老後の生活費がいくらかかるのか、またその内訳についても解説します

老後の収入はいくらくらいか

老後の収入はいくらくらいか

年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられているのに合わせて、企業も退職の年齢を60歳から65歳に引き上げ、60歳で一度退職させて65歳まで再雇用するといった取り組みをしています。

60歳で早期退職した場合は何らかの備えをしていない限り、年金収入が得られる65歳まで退職金や貯金を切り崩しつつ生活することになります。

老後唯一の安定収入である年金は、どのタイプの年金に加入しているかで受給額が異なります。

タイプ別の平均的な受給額は以下の通りです。

タイプ別年金平均受給額
  • 独身男性・女性の国民年金:55,464円
  • 独身男性の厚生年金:144,652円
  • 独身女性の厚生年金:114,045円
  • 既婚男性片働きの厚生年金:200,116円
  • 既婚女性片働きの厚生年金:169,509円
  • 既婚で共働きの厚生年金:258,697円

 

会社勤めではなく、自営業などの場合には厚生年金ではなく国民年金に加入しますが、国民年金は厚生年金の平均受給額と比べると3分の1から2分の1という結果になっています。

このように人によって受給額は大幅に異なるため、自分の老後の収入がいくらくらいかを事前に確認しておくことも重要と言えるでしょう。

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後の生活費はどのくらいかかるか

老後を安心して暮らすには、老後の収入について把握しておくだけでなく老後の生活費がどのくらいかかるかも把握しておく必要があります。

老後の生活費は、一人暮らし、または夫婦によって大きく異なります。

それぞれの老後の生活費の内訳を、総務省統計局が2018年5月に発表した「家計調査」の結果を参考に見ていきましょう。

無職一人暮らしの生活費内訳

無職一人暮らしの1ヶ月あたりの生活費は、以下のような内訳となっています。

無職一人暮らしの1ヶ月あたりの生活費
  • 食費:37,242円
  • 住居:18,305円
  • 水道光熱費:12,967円
  • 家具・家事用品:5,790円
  • 被服:4,368円
  • 保険・医療:7,729円
  • 交通・通信:14,777円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:18,115円
  • その他:36,079円
  • 合計:155,373円

 

無職一人暮らしは子供や孫への教育資金が必要ないため、その分の支出は抑えられるのが特徴です。

なお、65歳で退職してから90歳まで25年間元気に過ごした場合は、「15万円×12ヶ月×25年=4,500万円」が生活費としてかかります。

独身男性・女性の国民年金や厚生年金と比べると支出の方が多いため、不足分をしっかりと補えるようにすることが重要と言えるでしょう。

無職夫婦の生活費内訳

無職夫婦の1ヶ月あたりの生活費は、以下のような内訳となっています。

無職夫婦の1ヶ月あたりの生活費
  • 食費:71,657円
  • 住居:14,898円
  • 水道光熱費:22,501円
  • 家具・家事用品:10,253円
  • 被服:8,437円
  • 保険・医療:14,467円
  • 交通・通信:30,709円
  • 教育:3,485円
  • 教養娯楽:25,546円
  • その他:54,181円
  • 合計:256,032円

 

無職夫婦は子供や孫への教育資金が必要になることもあるため、無職一人暮らしとは違い平均して3,500円程度の支出があるほか、ほとんどの項目が一人暮らしの2倍であるのが特徴です。

なお、65歳で退職してから90歳まで25年間元気に過ごした場合は、「25万円×12ヶ月×25年=7,500万円」が生活費としてかかります。

既婚男性・女性の片働き、共働きの厚生年金と比べると支出の方が多いため、一人暮らしの場合と同様、不足分をしっかりと補えるようにすることが重要と言えるでしょう。

生活費の内訳で注意するポイント

生活費の内訳で注意するポイント

無職一人暮らしの1ヶ月あたりの生活費と無職夫婦の1ヶ月あたりの生活費を比較すると、単純に2倍になっておらず、一人暮らしの支出の方が多い項目も見られます。

例えば、住居の項目を見てみると、一人暮らしでは18,305円であるのに対して、夫婦では14,898円と一人暮らしの住居費の方が多くなっています。

一人暮らしで持ち家にする人はあまりいませんが、夫婦はマンションや戸建などの持ち家にする人が大半です。

そのため、一人暮らしでは現役当時から老後にかけて賃貸住宅の賃料が発生しますが、夫婦では住宅の修繕費用がかかる程度なので、一人暮らしの方が割高です。

また、水道光熱費は通常使用量で値段が変動しますが、基本使用料は使用量に関係なく一律でかかります。

一人暮らしでは使用量が少なくても基本使用料の関係で水道光熱費が高くなりやすいため、生活費が意外とかかることを想定して老後に備えておきましょう。

不足する老後の生活費を補う方法

不足する老後の生活費を補う方法

老後の収入と生活費を比較すると老後の生活費の方が多いため、老後の備えをしっかりとしていない場合は「ちゃんと貯金しておけば良かった」と後悔する可能性があります。

では、不足する分の老後の生活費はどう補えばいいのでしょうか?

不足する老後の生活費を補う方法は以下の2つです。

  • 内訳を見直して無駄な生活費を削減する
  • 収入を増やして不足する生活費を補う

それぞれの方法について見ていきましょう。

内訳を見直して無駄な生活費を削減する

1つ目の方法は、内訳を見直して無駄な生活費を削減することです。

例えば、上記の生活費の内訳を参考にしながら、それぞれの項目で平均生活費よりも上回っている項目がないかを探します

平均生活費と比べて水道光熱費が高い場合には、ガス会社と電気会社をまとめるといった工夫で基本使用料を抑える、もしくは料金プランが安い会社に変更すれば無駄な生活費を削減できます。

また、電気代が高い場合には老後の期間を考えてLED照明に切り替えれば、水道光熱費を抑えられます。

他にも、子供が成人(独立)して車を使わなくなったり家の部屋を持て余したりするような場合は、売却を検討するのも無駄の削減につながります。

自動車税や固定資産税などが削減できるため、削減できた分を老後の生活費に回せば少し余裕が出るでしょう。

収入を増やして不足する生活費を補う

2つ目の方法は、収入を増やして不足する生活費を補うことです。

本業とは別に仕事をして、収入を増やす方法もありますが、公務員や就業規則で本業以外に働くことを禁止している会社の場合は、仕事をして収入を増やすことはできません。

そのため、それらを踏まえると資産運用が収入を増やすのに適していると言えます。

資産運用と一口に言っても、株式投資やFX、投資信託など様々な運用方法がありますが、老後の不足する資金の額は大きいため、ある程度収入が期待できる運用方法の方が良いと言えます。

株式投資では価格変動が大きいため、ある程度の収入が期待できますが、取引できる時間が土日祝を除いた平日の9時~15時と限られているため、サラリーマンには取り組みにくい可能性があります。

FXに関しては、ある程度の収入が期待でき、且つ土日を除いて24時間取引できるため、サラリーマンでも取り組みやすいのが特徴です。

投資信託は、運用のプロが代わりに運用してくれるため、資産運用の手間を省けます。

それぞれの運用方法に特徴があるため、資産運用で収入を増やして不足する生活費を補う場合は、メリットとデメリットをよく把握してから始めるようにしましょう。

まとめ

まとめ

無職一人暮らしの1ヶ月あたりの生活費と、無職夫婦の1ヶ月あたりの生活費を比較すると、単純に2倍ではなく無職一人暮らしの生活費の方が割高になります。

「一人暮らしの方が高い」と分かっても、平均だけでは何が原因で割高なのか判断できません。

しかし、内訳を見れば、住居費や水道光熱費が高いことが分かるため、内訳を確認することが重要と言えます。

また、生活費の内訳と自分たちの生活費を比較すると、生活費の無駄がどこにあるかがより分かりやすくなります。

生活費の無駄をなくせば削減した分を老後の生活費に回せるため、内訳をしっかりと確認しましょう。

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