キャッシュフローとはお金の流れのことです。
株式投資を行う際は、どの会社に投資するか決めますが、経営状態が良いかどうかの判断材料としてキャッシュフローが用いられます。
しかし、キャッシュフローと一口に言っても営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの大きく3つがあるため、どれが何を意味しているのか分からない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、投資キャッシュフローとはどんなものなのか分かりやすく解説します。
投資キャッシュフローとは?
キャッシュフローとは、お金がどのように流れているのか知るための資料です。
株式投資を始める際は、最初に投資先の企業を決める必要があります。
「大手企業に投資すれば問題ないのでは?」と考えている人も多いかもしれませんが、大手企業だからと言って安心できるわけではありません。
例えば、大手航空会社の1つの日本航空(JAL)は経営破綻によって過去に一度上場廃止になりました。
経営再建で業績が回復したので再度上場しましたが、上場廃止で株式の価値が無価値になりました。
しかし、キャッシュフローを理解して株式投資を行っている人は、企業の経営がどのような状態なのかを読み解けるため、上場廃止のリスクを抑えることが可能です。
そのため、株式投資を始める際はキャッシュフローをしっかり理解してから始めることをおすすめします。
キャッシュフローは全部で3つ
キャッシュフローと言っても、キャッシュフローは1種類だけではありません。
株式投資で成功するには、以下の3つのキャッシュフローの違いを把握しておくことが重要です。
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
それぞれのキャッシュフローについて詳しく見ていきましょう。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローとは、企業が営業活動で得られたお金と営業活動で支出したお金を表す資料のことです。
営業キャッシュフローがプラスだった場合は、営業活動で得られた利益が多く、会社の経営状態が良いことを意味します。
一方、営業キャッシュフローがマイナスだった場合は、営業活動で得られた利益が少なく、会社の経営状態が悪いことを意味します。
営業キャッシュフローは、単純にプラスを優良企業と考えても問題ありません。
株式投資を始める際は、営業キャッシュフローがプラスの企業の中から選びましょう。
投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローとは、投資活動によって取得した資産や売却した資産を表す資料のことです。
資産は設備や土地、建物などの固有資産と株式や社債といった有価証券などに大きく分類されます。
投資キャッシュフローがマイナスということは、それだけ投資の割合が多いということを意味し、投資キャッシュフローがプラスということは資産を売却して利益が生じたことを意味しています。
営業キャッシュフローとは性質が異なり、投資キャッシュフローがプラスだったとしても良いとは言い切れません。
投資キャッシュフローがマイナスの企業の方が投資先として良いケースもあるため、投資キャッシュフローについては後で詳しく説明します。
財務キャッシュフロー
財務キャッシュフローとは、財務活動でお金を借りた、お金を返したのかを表す資料のことです。
銀行からの資金調達もしくは銀行への借入返済、株主への配当金支払い、自社株買いなどが財務活動に該当します。
借入返済や配当金支払い、自社株買いは財務キャッシュフローのマイナス要因ですが、優良企業の多くはこれらを行っているのが一般的なので、財務キャッシュフローのマイナスが優良企業を見分けるポイントと言えます。
ところが、成長を続けている企業は資金調達を積極的に行うため、財務キャッシュフローがプラスになっているケースも。
経営状態が悪いにもかかわらず、財務キャッシュフローがマイナスという企業もあるため、財務キャッシュフローを判断材料にする際は注意が必要です。
投資キャッシュフローを見る際のポイント
投資キャッシュフローは、プラスだから良い、マイナスだから悪いとは一概に言えません。
そのため、投資キャッシュフローから投資先を選ぶ際は、企業がどんな経営状態にあるのか見極めながら判断することが重要です。
投資キャッシュフローを見る際の主なポイントは以下の4つです。
- 投資期におけるキャッシュフローのマイナス
- 投資期におけるキャッシュフローのプラマイゼロ
- 回収期におけるキャッシュフローのマイナス
- 回収期におけるキャッシュフローのプラス
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
投資期におけるキャッシュフローのマイナス
企業が成長する、資産を増やすにはある程度の投資が必要です。
例えば、工場設備の充実を図るための修繕や新設、余剰資産の運用などです。
これらの投資は企業の業績を向上させる、資産を増やすためには必要不可欠なので、企業が成長する重要な時期にキャッシュフローがマイナスなのは好材料と言えます。
株式投資で投資先を選ぶ際は、適切なタイミングである程度の投資ができているかどうかしっかりと確認しておきましょう。投資期におけるキャッシュフローのプラマイゼロ
企業が成長する重要な時期にキャッシュフローがプラマイゼロということは、適切な設備投資が行われていないことを意味します。
つまり、受注があったとしてもそれをこなせるための設備が整っていないため、業績向上があまり期待できません。
また、適切な設備投資が行われていないということは営業活動が順調でない可能性も高く、経営悪化による上場廃止のリスクも高くなるので注意が必要です。
回収期におけるキャッシュフローのマイナス
回収期が到来しても、まだキャッシュフローのマイナスが続いている場合は、さらに成長を続けていると考えられます。
逆に、投資を回収できずに投資だけがどんどん大きくなっている可能性もあるので十分に注意が必要です。
投資期におけるキャッシュフローのマイナスは好材料ですが、回収期におけるキャッシュフローのマイナスは好材料とは言えないケースが多いと言えます。
そのため、投資キャッシュフロー、営業キャッシュフロー、財務キャッシュフローといった他のキャッシュフローと見比べながら適切な経営ができているかどうかを判断することが重要と言えるでしょう。
回収期におけるキャッシュフローのプラス
回収期が到来してキャッシュフローがプラスになっている場合は、投資した分をしっかり回収できていることになるので好材料と言えます。ただし、キャッシュフローがプラスになっている企業であれば何でも良いというわけではありません。
キャッシュフローがプラスになっている理由が、投資期の借入返済を行うために所有中の不動産や設備などを売却している可能性があります。
そのような状況では、キャッシュフローがプラスになっていても好材料とは言えないため、なぜキャッシュフローがプラスになっているのか確認することが重要と言えるでしょう。
まとめ
安心して運用できる投資先を見つけるには、企業のキャッシュフローをしっかり理解することが重要です。
しかし、企業のキャッシュフローと言っても、この記事で既に触れたように営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローと種類が多いのでそれぞれの違いを理解する必要があります。
特に投資キャッシュフローはプラスだから良い、マイナスだから良いとは言い切れません。どの時期にプラスまたはマイナスなのかで意味が違うため、よく理解してから株式投資を始めることをおすすめします。