一般的な病気の場合、病院で診察を受けて治療を受けることによって症状が改善するのが一般的です。
しかし、難病の場合は病院で診察を受けて治療を受けても、目に見える改善が期待できない可能性があります。
治療に多くの費用が掛かってしまいますが、何か補助は受けられないのでしょうか?
そこで今回は、難病になった場合にもらえるお金について解説します。
難病だともらえるお金がある?
一般的な病気や怪我は、病院で治療を受けることで完治します。
しかし、難病は名前の通り治療が難しい病気であるため、治療を受けても改善が容易ではありません。
治療が長引いて治療費が重む、難病のせいで就業できないので収入が減少することから、生活が困難な状況に陥る可能性が高いと言えます。
しかし、申請によってもらえるお金もあるため、うまく活用すれば難病とも向き合うことができるようになりつつあります。
難病とはどのような病気のことを指すのでしょうか?
難病について詳しく解説します。
難病とは
難病とは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に定められている333の病気です。
発病の原因が分からず、治療方法が確立されていない希少な疾病で、長期間の療養を必要とします。難病には、以下のような疾病が挙げられます。
- 筋萎縮性側索硬化症
- パーキンソン病
- 筋ジストロフィー
- 全身性エリテマトーデス
筋萎縮性側索硬化症とは、手足、のどや舌などの呼吸する際に使う筋肉などが徐々に痩せて力がなくなる病気です。
パーキンソン病では、脳の一部に異常が発生して円滑な運動を行うことができなくなります。
筋ジストロフィーとは、時間の経過とともに筋肉が徐々に壊れることで筋力が衰える病気です。
全身性エリテマトーデスでは、免疫システムに異常が生じる自己免疫疾患で、正常な細胞を攻撃します。
知っている病名もあると思いますが、難病は指定された333で終わりではありません。
日々新たな難病が追加されています。
難病になった時に困ることとは
難病になったことで日々の生活にどんな変化が生じるのでしょうか?
難病になった場合、以下のような点で困る可能性があります。
- 病名が知られていない
- 誤解が多い
- 周りの目が気になる
- 治療費が大きくなる
- 収入が不安定になる
それぞれについて詳しく解説します。
病名が知られていない
「難病の患者に対する医療等に関する法律」の制定によって、現在は333の疾病が難病指定されています。
しかし、難病の中には認知度の高い難病もありますが、基本的には希少な疾病であるため、病名があまり知られていません。
認知度が低いため、理解してもらいにくいと言えます。
誤解が多い
認知度が低いという理由で誤解が生じやすいと言えます。
例えば、「難病を患っている人に近づくと感染するのではないか?」「難病という理由でさぼっているのではないか?」などです。
難病の中には、外観上難病を患っていることが全く分からず、本人しかその症状の大変さが分からない疾病もあります。日常的に車いすを使用していてもいざという時には動けるので、「演技なのでは?」と誤解されやすいのが難病の特徴と言えます。
周りの目が気になる
難病を患っている人の中には、治療に使用する薬の影響で髪の毛が抜ける、顔が丸くなるといったように、容姿に変化が生じるケースもあります。
また、筋力が徐々になくなる難病の場合には、人工呼吸器をつける必要があるため、周りの目が気になります。
治療費が大きくなる
難病は発病の原因が分からず、治療方法が確立されていない希少な疾病で、長期間の療養を必要とすると言いました。
つまり、治療方法が確立されていないということは完治する可能性が低いため、症状が悪化しないようにうまく向き合っていくしかないのが現状です。
長期間の療養を必要とするのが一般的であるため、治療費が大きくなってしまうと言えるでしょう。
収入が不安定になる
難病を患うと日常生活に支障が出るのが一般的です。
難病を患う前のように就業するのが困難になるため、収入が不安定になります。また、筋力に症状が現れる難病の場合には、就業すら困難になって収入が就労による収入がゼロになる可能性も。
そうなると、生活保護を受給しつつ生活することになるため、困窮が生じやすいと言えるでしょう。
指定難病の医療費助成制度について
難病を患った場合には、治療に必要な支出が増える、就労が困難になるので収入が不安定になります。
その結果、困窮が生じやすいと言いましたが、難病に指定されたことでもらえるお金はないのでしょうか?
難病に指定された場合、指定難病の医療費助成制度を利用することが可能です。
指定難病の医療費助成制度とは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」の施行とともに始まった指定難病を対象とした助成制度です。国が定める333の難病を患っている人が医療費助成制度を利用することができます。
申請対象者
333の難病のいずれかを患っている人が必ず医療費助成制度を利用できるというわけではありません。
まずは難病指定医を受診して、診断書の交付を受けます。
その後、都道府県・指定都市に必要な書類を添えて申請しますが、症状の程度が認定基準に該当する場合のみ医療費助成制度の支給認定を行います。
では、難病に該当しているにもかかわらず、症状の程度が認定基準に該当していないという理由で不認定となった場合は諦めるしかないのでしょうか?
軽症高額該当
難病の症状の程度が各疾病の重症度分類等に該当しない軽症者の場合でも、医療費助成の対象になります。
それが軽症高額該当です。
難病を患っていて、高額な医療を継続的に必要としている人が対象です。難病を患っている人は、長期的に高額の医療を必要とするため、これらの医療費助成制度を受けられることは大きな支えと言えるでしょう。
傷病手当金
治療に必要な費用は、医療費助成制度で補うことができますが、就業できないことによって収入が少なくなることを補う方法はないのでしょうか?
難病に限った話ではありませんが、病気や怪我などで会社を病んだ場合にもらえるお金があります。
それが傷病手当金です。
傷病手当金とは、病気や怪我で休業中に被保険者とその家族の生活を保障する目的でもらえるお金です。傷病手当金を申請できるのは、業務外で生じた病気や怪我の療養のために休業する場合に限られています。
また、仕事に就くことができない、連続する3日間を含む4日以上仕事に就けない状態の必要があります。
休業していた期間も何らかの給与の支払いがなされている場合には傷病手当金を受け取ることができません。
また、傷病手当金はずっともらえるわけではなく、受給期間は最大1年6ヶ月と上限が設けられています。
それ以降は収入がなくなるため、もらえるお金を少しでも増やしたい場合は保険の併用をおすすめします。
まとめ
単純な病気や怪我の場合は、健康保険を使って数回通院すれば症状が改善しますが、難病を患ってしまうと、希少な疾病であることから長期間にわたる治療が必要になります。
長期間にわたる治療を受けるための治療費がかさむ、就業が困難な場合は収入が減るため、生活が困窮する人も少なくありません。
そのため、難病になったことによってもらえるお金がないのか気になっている人もいると思いますが、治療費に対しては医療助成制度、収入に対しては傷病手当金を受け取ることができます。
しかし、全ての人が医療助成制度や傷病手当金を利用できるわけではありません。
そのため、万が一に備えて保険に加入するといったように、もらえるお金を少しでも増やせる体制を整えておくことをおすすめします。