少子化が進んでいる日本では、高齢化によって国民の生産性が徐々に低下するため、将来は円安になると言われています。

「円安になっても海外に出かける人以外は大きな影響を受けないのでは?」と感じた人もいると思います。

しかし、円安は日々の生活に影響を与えるため、円安になった時に備えて対策を練ることが重要です。

そこで今回は、将来円安になった場合にはどうなるのか、円安になった時のリスクについて解説します

将来円安になる2つの理由

将来円安になる2つの理由

「円」は日本が発行している通貨で、海外旅行に出かける際は現地の通貨に交換しなければ使うことができません。

例えば、現地の通貨が1通貨100円なのが80円になっている場合、現地の通貨をより多く手に入れられるので得をすることになります。

このような状況を円高と呼びます。

反対に1通貨120円になっている場合、交換した際に手に入れられる現地の通貨が少なくなるので損をすることに。

このような状況を円安と呼びます。

日本は以下の2つの理由から将来円安になると言われています。

  • 少子化による生産性の低下
  • 少子化による税収の減少

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

少子化による生産性の低下

国が発行している通貨の価値は、経済情勢や世界情勢の影響を受けます。

例えば、少子化によって生産性が低下すると市場規模が縮小します。

さらに少子化になると消費も落ち込むため、さらに市場規模の縮小が加速することに。

少子化によって生産性が低下すると市場規模の縮小は株価にも影響を与えるほか、需要が低下することで不動産価格も下落するなど国全体の力が弱くなります

人口が増加している、または生産性が向上している国が発行している通貨と円を比べると前者の価値の方が高いと判断されて、円安が進行します。

少子化による税収の減少

国が活動するには財源が必要です。

これらの財源は国民からの税収で補っていますが、少子化になると労働人口が減るため、税収が減少します。

税収が減少することによって活動に必要な費用を補いきれなくなるため、国債を発行して不足を補わなくてはなりません。

しかし、日本は莫大な国債を発行しており、歳入から歳出を引いたプライマリーバランスが常に赤字に陥っている状況です。

これ以上赤字が膨らんだ場合には日本が破綻する可能性が出てくるため、自然と日本円を手放す人が増えて、円安が進行します

このように、日本は円安が将来進行する可能性が高いと言えますが、円安が進行すると何かデメリットがあるのでしょうか?

円安の2つのデメリット

円安の2つのデメリット

「円安に陥っても海外旅行に出かけない限りは大きな影響がないのでは?」と思った人も多いかもしれませんが、実際そんなことはありません。

円安には以下の2つのデメリットが挙げられます。

  • 物価が上昇する
  • 輸入企業の業績が悪化する

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

物価が上昇する

国内で自給自足できるものは円安の影響を受けません。

しかし、輸入に頼っているものは円安の影響を受けて仕入価格が高くなるため、物価が上昇します。

物価が上昇しても収入が増えるわけではないため、物価上昇によって国民の生活は厳しくなります

老後のために余裕を持って備えていたはずでも、円安が進行して物価が上昇した場合には資金が底をついてしまう可能性があるので注意が必要です

そのため、物価が上昇して支出が増えた場合でもある程度は乗り切ることができるように、お金を事前に少しでも多く蓄えておくことが重要と言えるでしょう。

輸入企業の業績が悪化する

例えば、取引先の通貨が1通貨100円だったのが120円になったとします。

このような状況では仕入価格が1.2倍になってコストが大きくなることに。

「コストが大きくなったのであれば商品価格を引き上げればいいのでは?」と考えた人も多いと思います。

しかし、安易に商品価格を引き上げても、消費者が財布の口を堅く閉じてしまいます。

そのため、多少の値上げは実施しても、ある程度は輸入企業が負担することに

その結果、輸入企業の利益が少なくなるので業績が悪化します

また、在庫を抱えるリスクも大きくなることで最悪の場合には破綻する企業も増えるため、株価の下落や景気の悪化につながるでしょう。

円安リスクに備える4つの方法

円安リスクに備える4つの方法

円安になるということは、円の価値が下がることを意味するため、物価上昇は避けることができません。

円安リスクに備える方法は何かあるのでしょうか?

円安リスクに備える方法として以下の4つが挙げられます。

  • 外貨預金
  • 不動産投資
  • 金投資
  • 株式投資

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

外貨預金

円安が進行するということは円の価値が下がりますが、逆に外貨の価値が上がります。

例えば、1通貨100円が120円になった場合は、資産が1.2倍に増えることに。

そのため、将来円安が進行することが分かっている場合には、円として保有するのではなく、外貨として保有することをおすすめします

そうすれば、為替差益が得られるだけでなく、円よりも多く利息を得られるでしょう。

不動産投資

将来円安が進行した場合は物価が上昇します。

物価が上昇すると不動産の価格も上昇するため、不動産を保有することによって円安リスクを抑える効果が期待できます。

また、不動産投資を行うことで安定した家賃収入が得られるため、老後の私的年金代わりになるというメリットも。

ただし、少子化によって不動産の需要が下がると不動産の価値も下落するので注意が必要です。

不動産として保有する場合は、需要を考慮しながら将来不動産の価値が下がりにくい立地の不動産を取得しましょう。

金投資

円安が進行すると外貨の価値が上がる、物価が上昇するという特徴がありました。

これらの両方の影響を受けるのが金です。

金の価値は世界の基軸通貨であるドルの影響を受けるため、円安ドル高が進行した場合は金の価値が上昇します。

また、物価の上昇がさらに金の価値を上昇させることに。

不動産と比較すると価格は安定しているため、将来の円安リスクに備えやすいと言えます。

とは言っても、金の価値が0にならないとは保証されていないので、万が一に備えて資産を分散することをおすすめします。

株式投資

株式は円の価値が下がったからと言って、不動産や金のように価値が上がるわけではありません。

では、なぜ株式投資が円安リスク対策になるのでしょうか?

例えば、1通貨100円が120円になると輸入企業はコスト増加で業績が悪化しますが、輸出企業は売り上げ増加で業績の向上が期待できます

輸入企業の株式を保有していると損をする可能性がある一方、輸出企業の株式を保有していると利益が生じる可能性が高いため、円安リスク対策につながると言えるでしょう。

まとめ

まとめ

少子化の進行によって生産性が低下する、税収が減少するため、将来円安になると言われています。

「円安になっても海外旅行に出かける人以外関係ないのでは?」と思っている人も多いと思いますが、そんなことはありません。

円安が進行すると物価が上昇する、輸入企業の業績が悪化して景気が悪くなるので注意が必要です。

円を保有していても円安の状況では円の価値が下がります。

外貨預金や不動産投資などの円安リスクを抑えるための対策を事前に練っておくようにしましょう。

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