将来に備えるために資産運用を検討している、または既に行っている人は多いと思います。
しかし、運用方法を1点に絞っている場合には、万が一の事態が生じた時の損失を1点に受けるのでリスクが高くなります。
資産運用のリスクを少しでも抑えるには、自分の運用目的に合う理想のポートフォリオを作成することをおすすめしますが、どのように作成すればいいのでしょうか?
そこで今回は、理想的な資産のポートフォリオの作成方法について解説します。
理想的な資産のポートフォリオとは?
生活費の足しにする目的や老後に備える目的などで、資産運用を検討しているまたは既に資産運用を行っている人もいます。
しかし、資産運用と一口に言っても数多くの種類があるため、どの資産運用を選べばいいか分からない人も多いのではないでしょうか?
例えば、国内の株式投資で1社だけを選んで投資していた場合は、もしその1社の株価が急落する、または会社が破綻するとその損失を1点に受けることになります。
そのようなリスクを少しでも避けるために重要なのがポートフォリオの作成です。
ポートフォリオとは、自分の運用目的に合わせて理想的な運用方法を組み合わせることです。
しかし、資産運用の初心者の中には、どの組み合わせが理想的なのか分からない人も多いと思います。
ポートフォリオを作成する際にはどんな資産があるのか、目的に合わせたポートフォリオの作成方法について詳しく見ていきましょう。
ポートフォリオを作成する際の3つの資産
ポートフォリオを作成する際には、以下の3つの資産をどのように組み合わせるかが重要です。
- 株式
- REIT
- 債券
それぞれの資産の特徴について詳しく解説します。
株式
株式とは、証券取引所を通じて会社が発行している債権を取引することで差益を得る資産運用の1つです。
価格変動が大きいので大きな利益が期待できる一方、損失が生じた場合にも大きくなってしまうというデメリットがあります。
株式は、国内株式以外に先進国株式、新興国株式に分けることができます。
先進国株式とはアメリカやフランスやドイツといった先進国、新興国株式とはインドやブラジルといった新興国が投資対象です。
株式の中では、国内株式が最もリスクが低く、先進国、新興国の順にリスクが高くなります。
リスクを少しでも抑えたい場合には国内株式の比率を高くし、リターンを求める場合には新興国の比率を高くします。
REIT
REITとは、不動産投資信託のことです。
直接不動産オーナーにはならず、間接的に不動産オーナーになるのが特徴です。
個人を対象とした住居を保有して管理するだけでなく、オフィスビルやホテル・リゾート、商業施設なども保有して管理するため、リスクがうまく分散されています。
入居者や利用者がいる限り、安定した賃貸料収入が得られるほか、売買によって利益を得ることも可能です。そのため、全体的に投資リスクが低い資産運用と言えます。
REITは、国内REITと先進国REITに分けることができます。
株式と同様、国内REITの方がリスクを低く抑えられるため、リスクを抑えたい場合には国内の比率を高くし、リターンを求める場合には先進国の比率を高くします。
債券
債券とは、国や会社などがお金を調達する際に発行するもので、取得することで利息を得る資産運用です。
国や企業などが破綻しない限りは安定した利息を得られるため、株式やREITと比較するとリスクが低いと言えますが、反対にリターンが少ないと言えます。
債券は、国内債券と為替ヘッジ先進国債券、新興国債券に分けることができます。
リスクは国内債券が最も低く、為替ヘッジ先進国債券、新興国債券の順にリスクが上昇。
リスクを抑えたい場合には国内の比率を高く、リターンを求める場合には新興国の比率を高くします。
目的に合わせた理想的な資産のポートフォリオ
株式・REIT・債券ではそれぞれ特徴が異なるほか、各資産の中でもどれを選んだかによってリスクとリターンの大きさが異なります。
組み合わせ方は人によって異なるため、資産運用の目的に合わせた理想的な資産のポートフォリオを作成することが求められます。リスクを抑えることを優先して少しでも資産を増やしたいのか、また積極的にリターンを狙いたいのかといった資産運用の目的は人それぞれです。
最後に目的に合わせた理想的な資産のポートフォリオについて詳しく見ていきましょう。
リスクをできる限り抑えたい
資産を増やしたいものの、リスクをできる限り抑えたい人のポートフォリオは、国内債券の比率を70%程度に設定し、残りを国内REITと国内株式で分けるのが理想的です。
全てを国内で統一することに加え、3つの中でリスクが最も低い債券の比率を高めることで、リスクを最小限に抑えながら資産を増やすことができるでしょう。
リスクを抑えつつリターンを狙いたい
リスクを抑えつつリターンを狙っていきたいという人のポートフォリオは、先ほどよりも国内債券の比率を50%程度と低く設定し、残りを国内REITと国内株式で分けるのが理想的です。
リスクが低いものの、リターンも少ない国内債券の比率を下げ、その分を国内REITと国内株式に回すことである程度のリターンが期待できるようになります。
しかし、ポートフォリオ全体を見ても国内で統一してリスクをしっかりと抑えているため、安定した資産運用が期待できるでしょう。
海外資産も狙ってみたい
リスクを抑えることよりも海外資産を狙うことに注力したいという人のポートフォリオは、先進国株式と国内REITを各30%程度、先進国REITと国内株式を各10%程度、残りを国内株式で分けるのが理想的です。
海外資産を狙うと言っても、最初から全力で海外資産に挑戦することはリスクが高いため、リスクを中和するようなポートフォリオを構成することが重要です。
例えば、30%を占める先進国株式はハイリスク・ハイリターンと言えますが、20%を占める国内債券はローリスク・ローリターンと言えます。
しかし、これらを組み合わせることで、うまくリスクを中和することが可能です。
多くのリターンを得る目的で海外資産に投資したい人は、うまくバランスの取れたポートフォリオを作成することがポイントと言えるでしょう。積極的にリターンを狙ってみたい
リスクをあまり気にせず積極的にリターンを狙っていきたいという人のポートフォリオは、先進国株式を60%程度、新興国株式を40%程度に分けるのが理想的です。
新興国株式の比率を高くするか低くするかは、資産運用の目的が何なのかにもよりますが、比率を高くしすぎると万が一の事態が生じた場合のリスクが高くなります。
資産を大きく減少させてしまう可能性もあるため、積極的なリターンを狙っていく場合もリスク対策が重要と言えるでしょう。できる限り資産を分散したい
できる限り資産を分散することでリスクを抑えたい、あるいはチャンスをものにしたいという人のポートフォリオは、国内・先進国・新興国の株式、REIT、債券をバランスよく組み込むのが理想的です。
1つの資産によって得られる利益は少ないものの、保有していなかったことによって資産を増やすチャンスを逃す機会損失を減らす効果が期待できるでしょう。
まとめ
資産を1点に絞っていると、万が一の事態が生じた場合の損失を1点に負うことになってしまいます。
将来に備えるための大切な資産だった場合は取り返しがつかないため、ポートフォリオを構成して自分の目的に合った理想的な資産運用を行うことが重要です。ポートフォリオは、1度作成して終わりというわけではありません。
リスク管理を徹底する場合には、その時の状況に応じてポートフォリオの比率を変更する必要があるため、常に見直しを行うように心掛けましょう。