金融庁の審議会は、高齢化で人生100年計画を立てる必要が出てきており、年金だけでは2,000万円不足するという調査結果を公表しました。
老後に安定した生活を送るためには、不足する2,000万円を準備する必要があります。しかし、簡単に貯まる金額ではないため、資産を投資で効率良く増やすことが求められます。
そこで今回は、資産を投資で増やすにあたり、代表的な投資方法の特徴とリスクについて分かりやすく解説します。資産は投資で増やす
高齢化の進行で男女とも平均寿命は80歳を超えており、女性の平均寿命は90歳目前です。
平均寿命の延びで人生100年計画を立てる必要が出てきており、金融庁の審議会によると年金だけでは2,000万円程度不足すると言われています。
「家族や夫婦で旅行したい」「趣味や習いごとを始めたい」といったゆとりある老後生活を送るには平均34万円/月必要です。
一方、年金のみの収入だと平均23万円/月と、毎月10万円不足するとされており、3,000万円程度不足するという意見もあります。
仮に、30歳から65歳までの35年間で、毎月3万円ずつ貯めても1,260万円しか貯まっていないため、不足する老後の生活費を十分補えません。
しかし、同額の資産を投資すると以下のような結果になります。
- 年率1%で運用:1,509万円
- 年率3%で運用:2,230万円
- 年率5%で運用:3,422万円
ただ単に資産を貯めるのではなく、資産を投資で増やした方が効率良く貯められることが分かるでしょう。
投資はリスクを伴うので注意
「効率良く資産を増やすには、とにかく利回りの高い投資方法を選べばいいのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。
利回りが高い投資方法は、利回りが高くなるのに合わせてリスクも高くなるため、リスクに注意する必要があります。
例えば、銀行預金の場合は、ペイオフという制度によって1金融機関あたり1,000万円と利息まで保証されます。
そのため、金融機関が経営悪化によって破綻しても、その金額を上回っていない限りは資産を失う心配はありません。
しかし、元本が保証されているという安心感はあるものの、利回りは1%を大きく下回っています。
6つの代表的な投資方法とリスク
資産を投資で増やすと一口に言っても、様々な種類があります。
そのため、自分の目的に合った投資方法がどれなのか、それぞれの特徴やリスクについてよく理解しておくことが重要です。
代表的な資産の投資方法は以下の6つです。
- 国債投資
- 投資信託
- 不動産投資
- ソーシャルレンディング
- 株式投資
- FX
それぞれの特徴とリスクについて見ていきましょう。
国債投資
国債投資とは、国が発行している債券を購入して保有することで利息を得る投資方法です。
以前は個人が直接国債を購入することは不可能でしたが、個人向け国債が登場したことで個人でも国債投資できるようになっています。
国債投資は、元本保証が明言されているわけではありませんが、国債で予定通りの利息が支払われないということは国の破綻を意味します。
発行している国の経済状況が悪いなど、発展途上国などではあり得るかもしれませんが、日本はそのような心配はほぼありません。
利息はメガバンクなどの普通預金よりやや良い程度ですが、ペイオフのように元本保証の上限が決まっていため、うまく組み合わせると良いでしょう。
投資信託
投資信託とは、自分自身で資産を運用するのではなく、資産運用のプロであるファンドに資産を預けて代わりに運用してもらう投資方法です。
資産運用のプロが代わりに運用してくれるため、投資の知識や経験、投資の時間を確保できない人に適していると言えます。
また、資産が少ない場合でも始められるほか、利回りが10%以上のものもあるため、効率良く資産を増やしていくことが期待できます。
しかし、いくら資産運用のプロが代わりに運用してくれると言っても、元本が保証されているわけではありません。
最悪の場合には投資に回した資産がなくなる可能性もあるので十分に注意しましょう。
不動産投資
不動産投資とは、投資用の不動産を購入して家賃収入を得る投資方法です。
入居者がいる限りは継続的に安定した家賃収入を得られるのが特徴です。
また、不動産という安定した資産への投資であることから、条件を満たしていると資産が少ない場合でも金融機関から融資を受けて始められるというメリットがあります。
全ての返済が完了した後は、不動産を一括で売却することでまとまった資金を得ることも可能です。
しかし、1棟アパート投資などの場合には、空室が出ても他の空室で補うことが可能ですが、1室投資の場合には空室が生じると家賃収入が0になるので注意が必要です。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、企業に対する融資で、融資する代わりに利息を受け取るという投資方法です。
似たような企業に対する融資として社債がありますが、社債は一口の金額が大きいため、なかなか投資方法として選択しにくいという問題があります。
一方、ソーシャルレンディングは一口が社債よりも少額であるにもかかわらず、利回りも5%以上のものが多いという特徴があります。
しかし、会社が破綻してしまえば、融資した資産を回収できなくなるので注意が必要です。
ソーシャルレンディングの中には担保がついているものも多く、担保がついている案件を選べば元本割れのリスクを抑えられるでしょう。
株式投資
株式投資とは、証券取引所に上場されている株式の売買をする投資方法です。
株式投資は価格変動が大きいことから大きな利益が期待できるほか、株式投資は売買による差益だけでなく、株主優待や配当などの利益を狙うことも可能です。
しかし、予想が外れた場合は大きな損失が生じる可能性もあるので注意が必要です。
また、証券取引所が定めている上場基準を維持できなくなった場合や経営悪化で破綻した場合は、株式の価値が0になる可能性があります。
資産が0になるリスクと隣り合わせにあるので十分に注意しましょう。
FX
FXとは、国が発行している通貨の売買をする投資方法です。
FXは株式投資と同様、大きな利益が期待できるほか、スワップポイントと呼ばれる配当に似たような利益を狙うことも可能です。
しかし、こちらも株式投資と同様、予想が外れると大きな損失が生じる可能性もあるので注意が必要です。
通貨の価値が0になることはほぼありませんが、レバレッジを効かせた取引では0にならなくても運用に回した資産を全て失う可能性はあります。
そのため、FXを始める際はレバレッジを低く設定するなど、リスク管理を徹底することが重要と言えるでしょう。
まとめ
ただ単にお金を毎月3万円ずつ30歳~65歳まで35年間貯めただけでは、1,260万円しか貯められません。
これでは、金融庁の審議会が試算した老後の不足する金額2,000万円を補うことは不可能です。
そのため、老後の不足するお金を効率良く貯めるには、ただ単にお金を貯めるのではなく、資産を投資に回して効率良く増やすことが重要です。
しかし、投資は大きなリスクを伴う可能性があります。
リスクを抑えながら確実に資産を増やしていくには、数多くある投資方法の中から自分に合ったものを選ぶことが重要です。投資方法の特徴やリスクなどをよく理解するなど事前準備をしっかり行ってから投資を始めましょう。