結婚や出産、子供の進学、住宅の購入など、人生には数多くのライフイベントがあります。
それらのライフイベントには支出が伴うため、ライフイベントを問題なくこなせるように貯金している人も多いと思います。
貯金と聞くと日本円での貯金以外にも外貨での貯金もありますが、外貨に分散することに何かメリットやデメリットはあるのでしょうか?
そこで今回は、資産を外貨に分散することによるメリット・デメリットを解説します。
資産は外貨に分散した方が良い?
人生には数多くのライフイベントがありますが、それらのライフイベントにはある程度の支出を伴います。
そのため、ライフイベントが生じても資金がなくて対応できないというトラブルを未然に防ぐ目的で、株式投資や不動産投資などの資産運用を検討している人も多いのではないでしょうか?
資産運用には、皆さんが日常的に行っている貯金も含まれます。
貯金と聞くと、日本円での貯金を想像する人が多いと思いますが、日本円だけでなく外貨で貯金するという選択肢も。
資産運用の世界には「1つのかごに卵を盛るな」という格言があります。
1つのかごに卵を盛っていると、かごを落とした時に全てが割れてしまうことを意味しています。
つまり資産運用を行う際には、リスク対策の一環で資産を分散しておいた方が良いということを意味していますが、預金も日本円と外貨に分散した方が良いのでしょうか?
資産を外貨に分散するメリット・デメリットを見ていきましょう。
資産を外貨に分散するメリット
資産を外貨に分散する主なメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 為替差益が生じる
- 円預金よりも金利が高い
- インフレリスクを回避できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
為替差益が生じる
為替差益とは、為替変動によって通貨の価値が変わり、日本円に戻した時に利益が生じることです。
例えば、1通貨100円の通貨を100万円保有していたとします。
ある程度の期間が経過して通貨を確認したところ110円になっていた場合には、資産が110万円に増えます。
日本円で貯金していても100万円は100万円のままで、ただ100万円に対して利息が付与されるだけです。
日本円を貯金していても差益が生じて資産が増えることはないことを考えると、少しでも資産を増やしたい人にとっては資産を外貨に分散した方が良いと言えるでしょう。
円預金よりも金利が高い
昔の銀行預金金利は数%程度あったため、定年退職までに働いて貯めた分の給料と退職金を銀行に貯金すれば、利息と年金だけで十分に老後は安心して暮らすことができました。
しかし、三井住友銀行やみずほ銀行などのメガバンクの普通預金金利は、0.001%とかなり低い水準です。
100万円貯金しても1年で10円程度の利息しか手に入りません。
一方、外貨預金の金利は日本円の金利よりも高く設定されているのが一般的です。
中には、1%以上の利息が付与される通貨もあります。
日本円だけでなく、うまく資産運用の選択肢に外貨を混ぜながら分散すれば、より効率良く資産を増やすことができるでしょう。
インフレリスクを回避できる
インフレとは、円の価値が下がって、物価が上昇する現象のことです。
日本円の価値が下がる要因として、通貨を発行している日本の経済の低迷が挙げられます。
「日本は先進国なので問題ないのでは?」と考えている人も多いかもしれませんが、意外と日本の経済は低迷する可能性が高いと言われています。
その理由は少子高齢化です。
日本の経済が成長し続けるためには、現役世代の労働力が必要です。
しかし、少子化の日本では現役世代の労働力が少なく、高齢化が進行しています。
ただでさえ、国の借金が多い状況であるにもかかわらず、このまま少子高齢化が進行するとさらに国の借金が増える事態に。
そうなると、日本の信用低下が原因で通貨価値が下がり、インフレが進行します。
しかし、外貨を保有していれば、日本円の価値が下がるのに反し外貨の価値は高くなるため、インフレリスクにもしっかりと備えられるでしょう。
資産を外貨に分散するデメリット
資産を外貨に分散するメリットとして、為替差益が生じる・円預金よりも金利が高いなどが挙げられました。
資産を外貨に分散することに何かデメリットはあるのでしょうか?
資産を外貨に分散する主なデメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 為替手数料による損が発生する
- 元本割れの可能性がある
- ペイオフの対象にはならない
それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
為替手数料による損が発生する
どのような資産運用の手段を選んでも、基本的に手数料が発生しますが、外貨預金はその手数料が比較的高いというデメリットがあります。
どの金融機関で外貨預金を行うかによって異なります。
例えば、米ドルでの預金を行う際は、選んだ金融機関によっては、1ドルあたり0.01~0.5円程度の手数料が発生。
仮に100万円を米ドルに交換して貯金すると、100~5,000円程度の手数料が引かれます。
いくら金利が高くても、貯金した時点では元本割れの状態からスタートするため、なかなか利息だけでは回収できません。そのため、資産を外貨に分散する場合には、長期的な運用を意識することが重要と言えるでしょう。
元本割れの可能性がある
資産を外貨に分散することで為替差益が期待できると言いましたが、必ず為替差益が得られるとは限りません。
例えば、1通貨100円の通貨を100万円保有していたとします。
ある程度の期間が経過して通貨を確認したところ90円になっていた場合には、資産が90万円に減ります。
日本円で貯金していれば100万円は100万円のままで安定した利息が手に入っていたにもかかわらず、外貨に分散したことで資産を減らしてしまうことに。少しでも資産を増やしたい人にとっては資産を外貨に分散することをおすすめしますが、元本割れのリスクを負いたくない人にはあまりおすすめできないと言えるでしょう。
ペイオフの対象にはならない
銀行は口座開設者の貯金を運用して利益を得ます。
利益の一部を利息として支払うため、双方に「WIN-WIN」の関係が成立していると言えます。
しかし、運用に失敗すると銀行が破綻する可能性もあるので注意が必要です。
ペイオフとは、預金保険機構によって銀行が万が一破綻した場合でも、元本1,000万円までとその利息を保証してくれる制度です。
この保証があるおかげで安心して貯金できるのですが、外貨預金にはこのペイオフは適用されません。
資産の分散目的で外貨預金を行っていて銀行が破綻した場合には、全額失ってしまいます。
そのため、資産を外貨に分散する際はなるべく規模が大きく、経営状態の良い銀行で貯金を行うように心掛けましょう。
まとめ
日本円で銀行に貯金をしている人も多いと思いますが、日本円の貯金に適用される金利は低いため、大きな利益は期待できません。
そこで登場するのが外貨預金です。
外貨預金には、為替差益が生じる・円預金よりも金利が高いというメリットがある一方、為替手数料による損が発生する・元本割れの可能性があるというデメリットが。また、ペイオフが適用されないため、万が一銀行が破綻した場合には預けていた資産が保証されないというリスクも。
しかし、資産を分散した方がインフレリスクを抑えられます。
資産を外貨に分散する際は、リスク管理を徹底しながら行いましょう。