「手元にお金を残しておけば安心」と思っている人もいるかもしれませんが、お金の価値は変動するため、必ずしも安心とは言い切れません。
物価が上がってお金の価値が下がるインフレが発生した時は、お金を手元に残していてもあまり意味がないため、お金を他の資産に変えるなど、資産保全を行うことが重要です。
そこで今回は、インフレリスクに備えるための資産保全の方法について解説します。
資産保全は重要?
会社からもらった給料から生活費といった支出を引いて、残ったお金を貯金している人も多いと思います。
普通預金に入れておけば、いつでも自由にお金を引き出せるというメリットがありますが、メガバンクの普通預金の金利は0.001%なので、100万円預けても1年で10円しか利息が得られません。
また、お金として保管しておくことにはインフレリスクを伴います。
インフレリスクとは、物価が上がってお金の価値が下がることです。通常、景気が良い状況が続いていれば、物価は徐々に上昇すると言われているため、お金を手元にそのまま残していても、年々価値が下がっていくことになります。そこで重要なのが資産保全です。
資産保全とは、お金として持ち続けるのではなく、お金を現物資産に変えて保管することで、インフレリスクを抑えることです。
インフレリスクに備えるための6つの資産保全
基本的に経済発展を続けている限りは景気が良いため、インフレになりやすいと言えます。
そのため、お金を持っていても価値は下がるため、お金として持ち続けるのではなく、他の現物資産に変えた方が良いと言えます。
しかし、他の現物資産に変えると言っても、何に変えればいいか分からない人も多いのではないでしょうか?
資産保全に適した現物資産としておすすめするのが以下の6つです。
- 不動産
- 国債
- 社債
- 株式
- 外貨
- 金
それぞれの現物資産の特徴について詳しく見ていきましょう。
不動産
お金を不動産に変えるだけでは、毎年固定資産税が掛かって資産を減らすことになるのであまり意味がありません。
そのため、お金を不動産に変えた後は、不動産を貸し出して家賃収入を得ることをおすすめします。
そうすれば、毎年掛かる固定資産税を補えるだけでなく、うまくいけば安定した家賃収入を生活費の足しや老後の私的年金にすることも可能です。
しかし、不動産投資には、空室リスクや自然災害リスク、家賃滞納リスクといった数多くのリスクを伴います。
空室が生じる、地震や火災で建物を失った場合には安定した家賃収入が得られなくなります。
また、需要の低下によって資産価値が下落する可能性もあるため、不動産に変える際は立地条件や周辺の需要などを考慮しながら選びましょう。
国債
国債とは、国が発行している債権を取得することで、利息を得る運用方法です。
銀行預金は、ペイオフと呼ばれる預金保護制度によって1金融機関あたり1,000万円とその利息までが保護されています。
一方、国債にはペイオフのような元本保証制度がありませんが、発行しているのが国なので、国が破綻するような事態が生じない限りは元本割れしないというメリットがあります。
通常は個人が国債を直接購入することはできませんでしたが、現在は個人向け国債という商品が登場しており、個人でも国債投資を行うことができるようになっています。
銀行の普通預金よりも金利が高いというメリットがありますが、他の資産運用と比べると利回りは低いというデメリットが。
安全資産ではあるものの、大きな利益は期待できないでしょう。
社債
社債とは、会社が発行している債権を取得することで、利息を得る運用方法です。
社債にも会社が破綻しない限りは元本割れしないという特徴がありますが、会社が破綻しないとは言い切れません。
そのため、国債よりも比較的リスクが高いと言えます。
また、社債は、購入最低金額が高く設定されていることが多いため、ある程度の自己資金がないと社債を取得できないというデメリットも。
しかし、社債の利回りは、個人向け国債や貯金の利回りが1%を下回っている中で、1%を超えているため、効率良く資産を増やすことができます。
自己資金がある程度準備できて、会社が破綻した場合のリスクを許容できる人の場合には、おすすめできる資産保全の方法と言えるでしょう。
株式
株式とは、証券取引所に上場されている株式を購入して売却することによって差益を得る運用方法です。
価格変動が大きいため、大きな利益が期待できる一方で、損失も大きくなるハイリスク・ハイリターンなのが特徴です。
株式は売買によって得られる差益だけでなく、配当金や株主優待を提供している企業では、年に数回配当金や株主優待を受け取れます。
資産保全の手段に株式を選べば、差益・配当金・株主優待の3つが得られるため、少しでも資産を増やしたい人には適しています。
しかし、運用できる資金が少ない場合には、取引できる株式が少ないというデメリットが。
例えば、ユニクロのファーストリテーリングの株式を購入するには、2019年10月現在では695万円の資金が必要です。
また、株式を発行している企業が破綻した場合や上場廃止になった場合には、株式の価値が0になります。
資産保全にはなるものの、リスクが大きいのでリスク管理を徹底することが重要と言えるでしょう。
外貨
外貨とは、日本円を貯金するのではなく、外貨に換えて貯金する資産運用です。
日本円は、インフレリスクを伴いますが、外貨に交換していれば、インフレで日本円の価値が下がっていても影響を受けません。
株式と比べて、外貨は大きな価格変動が生じることはほとんどないため、少しでもリスクを抑えながら資産保全したい人に適していると言えます。
また、外貨は為替変動による差益だけでなく、外貨によっては金利差で年数%の利息も期待できるという特徴があります。
しかし、為替変動によっては差損が生じる可能性があるほか、普通預金のようにペイオフの対象にならないというデメリットが。
国が発行している通貨であるため、価値が0になるというリスクはないものの、元本割れや銀行が破綻した場合に保証されないリスクは大きいでしょう。
金
金とは、金を取得して売却することで差益を得る運用方法です。
他の資産保全の方法では、売却による差益以外にも配当金や利息などの定期的な利益が得られますが、金はそれらの利益がありません。
単純に売買によって差益を得るしかできないのが大きなデメリットと言えます。
そのため、金の運用だけでは利益が期待できませんが、他の資産と組み合わせることで、少しでも他の資産のリスクを抑えることが可能です。
例えば、金は安全資産と言われており、社会情勢や経済情勢の悪化によって株式が売られて価格が下がった時に金が買われる傾向があります。
そのため、株式と金を組み合わせれば、株式のリスクを抑えることにつながります。
資産保全では1つの資産に絞るのではなく、複数の資産を組み合わせた方がよりリスクを抑えることができるでしょう。
まとめ
「銀行にお金を貯金しておけば、万が一の事態でもすぐ引き出せるので安心」と考えている人も多いと思います。
しかし、いくら銀行にお金を貯金していても、物価が上がってお金の価値が下がるインフレリスクの影響を受けるので、あまりおすすめしません。
そこで重要なのが資産保全です。資産保全とは、お金を他の現物資産に変えて保有することです。
資産保全の方法には、不動産、国債、社債に変えるなど、数多くの方法があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、資産保全を行う際にはそれらの違いをよく理解してから取り組みましょう。